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私の好きな映画のシーン(51)「ロジャー・コーマン的映画」

 ロジャー・コーマン(1926年〜)という映画監督の作品に初めて出会ったのがいつか謎のまま、ここまでかなりの作品を見てきました。
 世の人はB級映画やカルト映画などと、彼の作品をカテゴライズしているようですが、個人的にはロジャー・コーマン的映画というのがしっくりきます。もちろん、その世の中のカテゴライズの感じはよくよく分かりますけれど、やはりロジャー・コーマン的映画の持つ肌合いはなんとも言えず好きなのです。
 さて、特に惹かれるのは1960年代のロジャー・コーマン的映画です。二本立ての上映の為に製作されたような、低予算でかなりキッチュな作品群があり、「蜂女の実験室」、「恐怖の振子」、「X線の眼を持つ男」や「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」など、ワクワクしながら楽しんできました。何故ワクワクするのか…おそらく、その理由の一つはあほ勢いなのかなと思っています。「低予算だから」というあきらめを隠すことなく、それを受け止めつつ、どこかに大らかさを感じさせながらも気持ち良いわい雑さの勢いがそこにあります。あと、お馬鹿さももちろん重要な要素に違いありません。脚本開発段階でのプロデューサー、監督や脚本家たちが交わす会話の現場を覗いてみたいものです。
 我が家の映画ディスク棚には、Hollywood Horror Collectionというカルト・ホラー映画集が眠っていますが、一作見始めると止まらないはずなので、なかなか手にできずにいます。
 21世紀になってもカルト映画などのロジャー・コーマン的映画作品は作られていますが、どこかに洗練臭が漂っていて興味をそそられるものが数少なくなったようです。撮影や編集技術の向上などもあるのでしょうが、ロジャー・コーマン的映画の持つわい雑さがないように見受けられます。
 洗練臭などないシーンの数々が大好きな私は、21世紀型ロジャー・コーマン的映画が出てこないものかと願っています。中嶋雷太

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