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味方の敵は敵で、敵の敵は味方で、敵の味方は敵となるとき、ここはどこ?となる

マキタスポーツ&プチ鹿島&サンキュータツオのおっさん3人がどーでもいい(けれど、案外深い)話をする東京ポッド許可局というラジオ番組があります。


いつだったかの放送で、マキタスポーツさんが叫んでいました。

「マイナスとマイナスをかけるとどうしてプラスになるんだ?!教えてくれー!」

そう!そうなのだ!
数字との濃厚接触を10代半ばにして早々と諦めてしまった身としては、この叫び、激しく同意します。

番組では、マイナス✕マイナス=プラスを理解するための<たとえ>を、いくつか取り上げていました。
なかでも「なるほどぉぉ」と唸ってしまったのがコレ。

<敵味方でたとえる>

味方(+)の味方(+)は味方(+)

味方(+)の敵(ー)は敵(ー)

敵(ー)の味方(+)は敵(ー)

敵(ー)の敵(ー)は味方(+)

数学的にはなんの証明にもなってはいないのでしょうが、文系としては食らいついてしまうほど好物な例えで、妙に納得させられてしまった。

さて、
谷川俊太郎さんが文を書き、Noritakeさんが絵を描いた
『へいわとせんそう』という絵本があります。

同じモノやコトでも居る場所、服装、行動、手にするもの、そして表情がまったく異なるという、そんなメッセージが、「へいわ」と「せんそう」では、
「へいわの◯◯」と「せんそうの◯◯」とに分けて描かれています。

両者の比較がずっと続いたあと、最後の3つだけ比較は
「みかたの◯◯」と「てきの◯◯」に分かれます。

「みかたの◯◯」

「てきの◯◯」

そこに描かれていたのは…

あ…

そうか、そうだよな…当たり前のことだけど、どきっとしてしまった。

描かれていた「みかたの◯◯」「てきの◯◯」を見ると、味方をプラス(+)、敵をマイナス(ー)と区分することの無意味さ身勝手さに改めて気づかされます。

こっち側から見たら

敵(ー)の人も、(ー)側から見たら味方の人で、

しかも、

(ー)側にいる人全員が敵であるとは限らず、

もっと細かな単位で見ると
(+)でも(ー)でもない立場の人もいて、

さらには、
現時点では、敵(ー)であっても、いつどこで味方(+)側に転じてしまうかもしれず、その逆もまたあり得るし、

そもそも

(+)と(ー)を対立軸で見ること自体が間違いなのかもしれない。


こんなふうに、

マイナス✕マイナスは絶対にプラス!というわけじゃないんだよ、を気づかせてくれるのが文学や芸術で、

この絵本「へいわとせんそう」も、【へいわ VS せんそう】という対立軸がしばらく続き、最後はその対立のハシゴがそっと外されて、
その時はじめて「ああ」と、いかに自分がこれまでひとつの場所から世界を見ていたかを知るのです。

これ以上ない、というほどのシンプルな言葉とイラストだけど、余韻は重いです。

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