姿勢制御×嚥下機能⑥ ~舌骨と姿勢~
こんにちは。今日も姿勢制御と嚥下機能についてお話させて頂きます。
前回は
”舌骨の可動性が求められる場面は嚥下5期モデルの咽頭期である”
というお話でした。
今日は最終章
”舌骨と姿勢”
ということで、
”姿勢と舌骨の関係性”
について、お話させて頂きます。
脳卒中後遺症後は
いわゆる”手足の運動麻痺”に加えて
”姿勢制御の問題”も加えて出現します。
※神経系の話はまた後日、説明予定です。
ですので、上のスライドのように
身体が丸まった姿勢になる方が多くないでしょうか?
このような姿勢になると舌骨の可動性が制限されやすくなります。
どのように制限されてしまうかをもう少し、頭頸部に着目してお話します。
健常人ではこのように、
舌骨の動きに直接関与する
主動作筋(舌骨上筋群)と拮抗筋(舌骨下筋群)と
また、それらの筋肉の動きがどのように振舞うかに重要な
安定筋(後頭下筋群)がこのように関係しています。
頭頸部のアライメントにより、舌骨に直接関与する筋肉への影響が異なる為、そもそもの頭頸部の安定性に寄与する後頭下筋群の状態は大切です。
脳卒中患者さんでは
”胸椎屈曲”
”肩甲骨の不安定性”
”下位頸椎の屈曲”
”上位頸椎の伸展”
いわゆるヘッドフォワードとなりやすくなります。
そうなると
主動作筋、拮抗筋、安定筋の関係性が崩れてしまいます。
主動作筋
舌骨上筋群(前方)は伸張。
舌骨上筋群(後方)は短縮。
拮抗筋
舌骨下筋群は伸張。
安定筋
後頭下筋群は短縮。
そして、不安定さを代償する為、
胸鎖乳突筋の過剰固定・過緊張が出現しやすくなります。
さて、まとめます。
脳卒中による姿勢制御の問題により、
頭頸部のアライメントにも影響が出ます。
それにより、舌骨に関与する筋群が短縮、伸張され、正しく収縮することが困難になります。すると、舌骨の運動が制限されてしまいます。
つまり、舌骨の運動軌道である
”①挙上後退、②挙上前進、③下降後退”
が制限されてしまいます。
特に脳血管疾患では
舌骨の前方移動が障害されやすいです。
そうすると、嚥下反射の際に舌骨が正しく動くことが阻害され、結果として飲み込みにくいという嚥下障害に関与している可能性があります。
ですので、臨床では
もちろん頭頸部のアライメントも大切ですが、そのアライメントを生み出している下肢や体幹、肩甲帯を含めた全身の姿勢制御に目を向ける必要があります。
さて、今日は舌骨と姿勢ということで、特に矢状面からみた姿勢と舌骨の関係性をお話させて頂きました。
次回は続きで、前額面からみた姿勢と舌骨の関係性についてお話させて頂きます。
次回に続く、、、
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