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肩関節の苦手を一つずつ紐解く


肩関節疾患の治療に難渋するセラピストは多いのではないだろうか?
筆者も肩関節の治療に対して苦手意識があり、今も模索中だが思考整理の一助となった肩関節の特徴と筋力についての考え方をまとめた。


肩関節の解剖学的特徴

肩は他の関節と異なり、構造的に安定した関節ではない。
小さな関節窩に対して骨頭が大きく、骨性の連結が乏しい浮遊関節である。
肩甲骨が胸郭上を浮遊しているため、肩以外の関節から多くの影響を受ける。

そのため肩関節で重要なのは安定させるための機能であり、それらを筋力評価やスペシャルテストで個々に調べていく必要がある。


また肩関節は複数の関節が集まってできており、なんとなく評価しているとどの要素を評価しているのか分からず、結果がぼやけてしまう事が多い。

そのため重要なのは何を評価しているのか明確にすること、他の要素を丁寧に除外することである。これを徹底することで原因を一つずつ考えていく必要がある。

また各関節を特異的に評価するスペシャルテスト等を理解しておくと原因を切り分けることができる。


屈曲角度別の周辺関節の振る舞いを詳しく見たい方はこちらの記事で取り上げている。


肩関節に関わる筋肉

肩関節の運動に関わる筋肉は大きく2つに分類される。

肩甲帯筋群
肩甲上腕筋群

肩甲上腕筋群においては安定化に関わるインナーマッスル、パフォーマンスに関わるアウターマッスルに分けて考えるのが一般的である。
先程も記したが、肩関節の安定化に関わる筋は解剖学的特徴からも特に重要である。
またスポーツなど高いパフォーマンスを求められる場面ではアウターマッスルの機能も重要となってくる。

筋力の左右差は肩のどのポジションにおいても有意差がないことが望ましい。
また回旋運動は一般的に外旋筋力に対して内旋筋力が強いと言われている。
この内外旋のバランスが崩れることで肩の安定性にエラーが生じやすいのでは、と考察する論文もある。

肩は複数の関節が関与しながら運動するため、最大筋力は上肢複合体の筋力である。
また健常者においても、3kg以上の負荷による上肢挙上位での保持は難しく、肩甲骨・肩甲上腕関節の角度が維持できるのは全体の25%程度だと言われている。

そのため単関節としての評価は難しく、固定する部分と自由にする部分を作り条件を変えて比較することでようやく有益な情報を得ることができる。


ここまで読んでいただきありがとうございました。
好評であればより詳しい個々の内容を掘り下げていきたいです。


また次回の記事も読んでいただけると嬉しいです。


参考文献

山口光國,他.結果の出せる整形外科理学療法.メジカルビュー社.2009.


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