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腰椎後弯にどうアプローチするか

加齢による変形(前屈作業など)や腰椎圧迫骨折、腰椎すべり症などによって生じる腰椎後弯変形は、高齢者にみられる代表的なアライメントの一つである。

今回は腰椎後弯変形によって生じる周囲の状態とその治療戦略を復習したので、まとめていく。


腰椎・骨・関節

腰椎圧迫骨折例では骨の癒合が得られるまで椎体前方が徐々に潰れていく。腰椎すべり症では後方へのすべりによって腰椎前弯が徐々に減少していく。

脊椎全体のアライメントは腰椎前弯の減少によって平背(flat back)となり、最終的には脊椎全体が後弯する。さらに体幹下部の重心後方移動に対応するため、頭部は前方へ偏位する。

どの変形時期でもみられる共通のアライメントは仙骨後傾、頭部前方偏位であり、この2点をどうコントロールしていくかが腰椎後弯変形を進行させないための鍵となる。


腰椎後弯位では腰部伸筋内圧が高まりやすく、特に立位での脊椎中間位から屈曲60°までの角度で屈曲角度の増加に伴い、筋内圧が上昇する。そのため、歩行時や立位時の腰部痛を訴えるケースが多い。
筋内圧の上昇に伴い、筋血流量は減少する。その結果、筋萎縮や変性が生じやすい状態となり、疼痛や筋力低下につながってしまう。

腰部伸展筋が萎縮・筋力低下することで腰椎後弯変形はさらに進行する。腰部屈筋と伸筋(下位多裂筋、仙棘筋)の筋断面積比は、正常では1.5~2:1の関係になるが、腰椎後弯変形では1:1以下になることもある。


治療戦略

一度変形した脊椎アライメントは正常な前弯位へは戻らない。そのため、立位や歩行時に仙骨前傾方向へ誘導し、頭部の前方偏位を抑制することが必要となる。
また腰部伸筋群を覆っている胸腰筋膜の組織の硬さがあると、筋内圧が上昇しやすいため、この組織の柔軟性の獲得も重要となる。

体幹部アプローチ

胸腰筋膜ストレッチ


体幹伸展筋ex



体幹上部からのアプローチ

胸椎伸展・胸郭拡大ex


体幹下部からのアプローチ

腸腰筋ex

脊椎全体の後弯がある場合は腸腰筋のストレッチから始める必要もあり


どの方向からのアプローチで良い反応が得られるか再評価しながらプログラムを調整していくと良い。


ここまで読んでいただきありがとうございました。
また次回の記事も読んでいただけると嬉しいです。

参考文献

整形外科運動療法ナビゲーション上肢・体幹.2014,林典雄 他

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