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私の転身ストーリー。会社員から外資CAへ

「海外で仕事をしている」
「どこの国?」
「アラブ首長国連邦」
「え、どこそこ!?」

美容院やネイルサロン、初めて会った人と話す時はいつもこんな調子だ。UAEというと「やっぱりお金持ちが多いの?」「石油王と出会いある!?」がお決まりの会話。

そんな私がここUAEに来たのはちょうど1年前の2023年3月。UAE国営の航空会社にCAとして就職するため転居してきたのだ。
なぜ、会社員として働いていた私が海外航空会社のCAになったのか。

就職活動に悩みまくった大学生時代

就職活動が始まった当初、私はいわゆる3月1日に始まるクリック戦争の参加者の一人であった。某就活サイトの画面と毎日にらめっこをしながら、ひとまず上から条件に合いそうな企業を全てピックアップしていく。志望動機という志望動機もなく、応募する企業と私自身との共通点を探してはエントリーシートの作成に明け暮れる毎日。

とある企業のグループディスカッションを受けに、最寄駅から企業まで歩いていたある日の朝。ふと周りを見渡したら、私と同じく真っ黒な服に身を包んで歩いている何十人もの学生たち。急に足取りが重くなる。
私はこの何百人の中の一人に埋まっていってしまうのだろうか。会社の色に染まって、自分の個性が消えてしまうのでないか。
そんな沸き上がってきた違和感が全身を駆け巡る。しかし、同時に自分自身の就活の軸が明確に定まった瞬間でもあった。

元々考えていた「全方位にプラスになるビジネス」に加えて、「文化醸成など会社カラーを作っていく段階に携われる企業」
この軸を埋めてくれたのが、新卒として入社することになる当時創業8年目の医療系ベンチャー企業であった。

今まで捻りだしていた「ガクチカ」の羅列は一切やめて、ありのままの自分で臨もうと向かった最終面接。どんな話をしたのかもうほとんどうろ覚えだが、その時最終面接を担当してくださった方が、君面白いねと言ってくれたことだけは記憶に残っている。その一言は、就活用の自分としてではなく、ありのままの自分として会社に受け入れてもらえたのだという喜びを与えてくれた。

ちょうど卒業を迎えた2020年春。元々旅行好きだった私は、どうせ行くなら遠くの国から攻めようということで、一人アイスランドに飛んだ。
様々な国から参加者が集まって、共同生活をしながらボランティアや学習を行うというワークキャンプに参加するためだ。

その最中、コロナウイルスが急激に流行りだし、フライトのキャンセルや施設の閉鎖が相次いでいたが、ギリギリプログラムを終え日本へ帰国することができた。

卒業式はなくなり、私の学生時代はなんとなく幕を閉じた。

医療系ベンチャー企業に新卒入社

2020年4月。入社式は異例のオンライン。下はパジャマに上だけ正装。今じゃリモートワークが主になった会社員には当たり前に見られそうな光景だが、当時はなんだか変な感じだった。

1年目は経営企画部の統括チームに配属になり、クリニックや病院の経営/収支管理を担当。元々事業開発に興味があった私は、1年目の終わりに社内公募制度に応募し、事業計画の策定や面接を経て、2年目からは事業開発室へ異動となった。

3年目に入ったころ、何気なく過ぎていく毎日に何とも言えない焦燥感を感じていた。新規事業企画の仕事は毎日学びのあるものであったし、自分が求めていた仕事でもあった。ただ、あまりにもゴールに向かって行き急いでいる感覚がしていた。

そんな中、高校時代の友人が1か月間語学留学のためにドバイに行くと聞いた。「遊びに来てよ」という彼女の言葉に、コロナウイルスの猛威にかられ、2年間もの間旅行から随分離れた生活をしていた私の心は異常に高鳴り、「行こうかな」と言った翌週には既にドバイ行きの飛行機の中だった。

数年ぶりの海外旅行。全てが新鮮で、抑制されていた心の奥底にある何かが、むくむくと冬眠から目覚めていく感覚だった。

そのドバイ旅行をきっかけに私の人生は大きく変わり始める。

ドバイ旅行から戻った私はすぐさま人生計画を作成しだした。20代後半をどう過ごすか。キャリア構築などでよく言われる「will, must, can」という3軸。大学で経営や経済学を専攻した私には、人生における「Vision」があったが、それと「Dream」は違っても良いんじゃないか、visionに向かって最短距離でキャリア形成をしていくよりも、心踊る沢山の寄り道から起こる偶発性を楽しんでも良いんじゃないか、そんなことを思いながら20代後半の私の人生について思いを巡らせた。

目の前には大学時代に書いた「人生のやりたいことリスト100」。「世界131か国に行く」、「旅するように働く」、その目標を果たすにはこのタイミングしかない。そう思いたった私は新卒でお世話になった会社を離れ、中東の航空会社に応募することを決意する。

持ち前のリサーチ中毒を生かし、綿密に戦略を立てて臨んだアセスメント。

結果は合格。

合格通知を受け取るまでは「絶対に合格したい!」という気持ちでいっぱいだったが、感情というのは本当に勝手なもので、合格通知を受け取ってからは嬉しい気持ちよりも本当に自分できるかなという不安に駆られた。
それでもなんだか自分の心が解放されていたのは、自分の人生のハンドルを自分が握っているという自信が持てたからなのかもしれない。

海外の航空会社に就職。UAEへ渡航。

ついに出発の日。期待と不安、いつぶりにこんな感覚を味わっただろうか。

就活の時、自分自身を一言で表してくださいという課題に私が使っていた言葉、「挑戦し続けるビギナー」。今となっては少し恥ずかしいが、思いとしては当時と同じであった。
初心者の時は誰でもわからないことが多くて、必死に学ぼうとするが、慣れてくると手を抜いてしまったりそれ以上の学びを見出だすことに疲れてしまう。そんな自分を鼓舞するため、たまに初心者になる環境に身を置き、学び続けなければいけない。そんな熱い思いがまだ自分にあることを再認識しながら、飛行機に乗り込んだ。

UAEについたのは日本時間の夜中。今まで留学や旅行で訪れたどの国よりも異空間だった中東の国。少し不安になってきて、家族の睡眠時間の確保よりも誰かと話したいという思いを優先し、LINEの通話ボタンを押す。

つながらない。

なぜ。。。?

他の機能は全て使えているのに電話だけできない。焦ってネットで調べてみると、UAEは通話などの規制が厳しくLINE電話は使えないとのこと。泣きべそをかきながら「なんでこんな電話もつながらない国に来てしまったのだろう」と後悔したことを今でも覚えている。笑
(今はVPNという解決策を見つけたため、通話できない問題は解消済みだ)

そんな感じで始まった私のUAEライフ。
トレーニングは思った以上に大変だった。いや、予想していた10倍は大変だった。行く前にある程度調べてはいったものの、なんとかなるだろうと思っていた能天気な私の心を見事にへし折り、トレーニング期間に何度泣いたか数える方が難しいくらいであった。それでもなんとか乗り越え、晴れてCAとしての仕事が始まった。

CAとして生活して1年。今思うこと。

CAとしての実際の生活やおもしろ話はまた別で書いていこうと思うが、
ちょうど入社から1年経った今思うこと。

それは、
本当にこの選択をして良かったということ。
世界のことをもっと知りたい、国境を越えて人を繋ぐ仕事がしてみたい、そんな直感的な思いでチャレンジしたこの仕事。その思いを果たせたことはもちろん、CAの仕事のすばらしさを実感する機会となった。

飛行機は、人々の人生において、特に印象深い思い出になる場所であると思う。新婚旅行で最高にハッピーな人、早く家族や友人に会いたいとわくわくしている人、留学や海外就職など親しい人たちと離れる寂しさや不安でいっぱいな人。たった数時間、数十時間のフライト、だけどその時間にその人たちが感じる感情は人生においても非常に大事な瞬間。そんな瞬間に立ち会えることの素晴らしさを、この仕事に就いて初めて感じることができた。

そして、この仕事のもう一つ大好きなところ。
それは滞在する国々の空港出口だ。人々が税関を抜け出てくる中、自分の目的の人はまだかまだかと期待のまなざしで眺める人、大きな垂れ幕を思い切り広げている人、大きな花束を腕いっぱいに抱えた人。私の待ち人でもないのに、なぜか心がじんとして目頭が熱くなる。日々色んなニュースで胸を痛めることもあるが、あーまだ世界は温かい、そんな気持ちにさせてくれる。

私はこの4月で仕事を辞めて帰国する。
それもそのはず、24歳で結婚した私だったが、一般的に新婚と呼ばれる結婚1年目に「このタイミングしか挑戦できない、1年くらいだけやる!」と海外就職を決め、遠くへ飛んで行ってしまったのだから、その言葉は守らねば。

本当はもう2~3年続けても良いかな~なんて思っていた時期もあるが、ちょうど年末から、コロナ感染、肺炎、副鼻腔炎、中耳炎とCAの職業病と言われそうなものは全てかかり、自ずと1年という元々の約束は果たされることになった。

自分の決断に感謝できる人生

この1年は人生におけるどんな1年とも比較ならないくらい、得たものも人生への影響も大きい1年であった。この経験が今後の私の人生の何かの点とつながっていくことを願いながら、ひとまず帰国後は規則正しい地上生活を満喫したいと思っている。

私のこれまでを振り返ると、周りから「本当にあなたは何をしだすかわからない」と言われることもあったが、自分の心の声を大切にすることで、見えなかった道が切り開いていったような気がしている。

「心躍る」そんな感覚を大切に、いつの時代も将来の自分が今の決断に感謝するような人生を送っていきたい。


note初投稿の記事で、振り返りも含め自分自身の人生について書きました。
多くの人が楽しんでもらえると嬉しいです。


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