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ぶすだとかデブだとか言うなよ。あと30年はあるのに。

高校の時の一番覚えている感触は、靴の底が抜けたことだ。確かその時はミッキーが靴底にデザインされたローファーを履いていて、ベラっととれた靴の底が自転車に乗ってる自分の足から離れていくことが死ぬほど面白かった。

ああ、まってまって靴の底とれたやばいって。秋だか冬だかのそう寒くない、まだハイソックスで自転車を乗り回しながら帰っていた時だったと思う。げらげら笑っていた私はすごく制服のスカートを窮屈に感じていた。

若いって素敵だ無敵だっていろんなところでそう言われているし、私も実際そう思う。25歳の私は18歳の私に勝てないと思う。それと同時に残酷だとも思うし同じくらい心の守り方を知らなかった。

高校のころ私は今より6キロ太っていて(これは後々自分の持病のせいだということが発覚する)友達からついたあだ名はブタだった。他国の太っている俳優さんに例えられたこともあった。こう書くと大変ひどいいじめを受けていたようにも聞こえるけれど、実際はそうでもなくてその友達たちとは今もものすごく仲がいいと思う。それでもその時確かに私の自尊心を砕いたのもまた彼ら彼女らだったように思う。(本当に勘違いしてほしくないのは、私はそれを恨んだり、憎んだりはしていないということ。)そもそも、体型へのコンプレックスはもうおおよそ中学2年のころからあったように思う。ひびだらけの自尊心なんか誰にだってどんな言葉だって多感な時期真っ只中の高校生であれば割ることなんか簡単だったと思う。

太っていることを指摘されるのは親からもだった。そのくせ食事制限系のダイエットをやろうとすると、「成長途中なんだから」と止められた。親が認めるのは運動をすることをメインとしたダイエットだけだった。

余談だけれど、「痩せたい」って思いながら打つ手なく太っていくくらいなら何でもいいから体重を落とすために絶食でもなんでもしたらいいと今でも思っている(死なないなら)。そうじゃないと心がゆがんでしまう。体に悪いよという人が沢山いるのも知っているが何よりもかによりも心に悪い。そして心のゆがみやひずみというのは、体に起こる不調よりも大変根強く残ってしまう。私がこの年になってやせ型の体型への羨望が捨てられないのはこの思春期の反動ではないかと少し思っている。現に高校の時から6キロやせた今でも、最大で10キロやせた時も鏡に映る私は肥満体型に見え続けている。(実際はそうでもなさそうなことも多少理解したうえで)


私は制服のスカートのウエストのセンチ数は72センチだった。今でもよく覚えてる。このセンチ数だからかわいく制服が着れないんだって思った。私の学校は細くてかわいい子が沢山いて、その細くてかわいい子はヒエラルキーの上にいて、いつも学校が楽しそうだった。すごく羨ましかった。そしてすごく妬ましかった。私のこの脂肪がなくなればこんな想いはしなくてすむのにとずっといつも思っていた。もちろんそんなことはなくて、実際は人を妬ましいと大した努力もせずにうらやんでばかりいる、卑屈であさましい自分に何よりも問題があったと今では思っています。少しこれを書くのは恥ずかしいです(笑)


今、私のこのメンタルのまま高校に戻れたらと23を超えたころから何度も思いました。結果をだすための努力の仕方も、うまくいかないときの気の持ちようなんかも、学校では何一つ教えてくれないんだよね。もう過ぎてしまった記憶に私は寄り添ってあげられないように、その時必要だった言葉を私は私にかけてあげられないので。できたらこれを読んでくれた学生さんとかがいたらせめて、今から誰かへの容姿に対する言及はやめてあげてくれないだろうか。その容姿の言及は5年たっても10年たっても鏡の中にのこってしまうから。ずっと鏡の中の面影は、ちらちらこちらをうかがってくるものなので。

なので私は制服を着る舞台に上がるとき、必要以上に身構えてしまう。身構えるとはちょっと違うのかな。張り切ってしまう。あの時のあの学校のマドンナたちのように、私も制服を着られるのだろうかとドキドキしてしまう。(もちろん、それが求められていないことは百も承知ですし、役柄的に要らなければ可愛く着ようとはおもいません。)


あの靴底が外れた時に、窮屈なおなか周りを感じてちょっと周りを気にして笑ってた私をいまさら助けられるとは思わないけど、もう一度高校をやり直すような気持で高校生役で舞台に立ちます。

よかったら見に来てね。

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以下公演情報

room42
2作品同時上演
タイトル「ずっ止まってる」(※こっちにでます)/「ラブ・ストーリーは特戦隊」
2021年6月9日(水)-6月13日(日)

【ずっ止まってる・あらすじ】
一度もレギュラーになれなかった野球部員のボク達が数年ぶりに集まる事に。今日は誰かの誕生日パーティーをやるらしい。それで誰かを待っているらしい。
説明は必要ですがもう文字数が足りません。
これは喋るだけ喋って、転換の時に、転換っ!、って言いたいコメディ

予約フォーム

https://www.quartet-online.net/ticket/wnb42yz?m=0jjefgj

公演詳細
room42act.wixsite.com/home/next

【タイムテーブル】
6月9日(水) 13:30(⚾️)/18:30(💓)
6月10日(木) 13:30(💓)/18:30(⚾️)
6月11日(金) 13:30(⚾️)/18:30(💓)
6月12日(土) 13:00(⚾️)/18:00(💓)
6月13日(日) 12:00(💓)/17:00(⚾️)

(⚾️)→ずっ止まってる
(💓)→ラブ・ストーリーは特戦隊

全席自由席
上演時間は約90分予定。
【料金】
来場公演
1作品:3200円
2作品セット:6000円

映像購入
2500円(1作品)

※LIVE配信ではなく、収録した映像を編集し販売させていただきます。
購入期限は6/30までですが、一度購入いただくと、視聴期限は無制限なのでお買い得です!
購入後一週間ほどで視聴URLを送付させていただきます。

作・演出
榎本純

出演

野村亮太(やまだのむら/room42)
圷智弘
岡村梨加
加藤唯
林廉(劇想からまわりえちゃん)

榎本純

【スタッフ】
舞台監督:小川陽子
音響:ムカワヤスコ
照明:田村亮太
映像:sawanofromhell
制作:飯塚なな子
当日運営:青柳糸、蒼井染

【感染症対策】

https://t.co/BdG4pERadw

【お問い合わせ】
room42.act@gmail.com

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