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会議

CMを作ることになった。テレビやラジオで流される、あのCMではない。近所の公民館主催の「CMを作ってみよう」という講座だ。この町の良さをアピールするCMを作るテイで、企画・演出・撮影・編集などを学ぶ。
中学生対象だが、友人が講師をしており、彼女が「せっかくだから、ママたちも作らない?」と声かけたところ、七人が集まった。チーム名はmamatomo7(ママトモセブン)だ。わたしの役割は「イエロー」らしい。

近所の大学の学食にmamatomo7が集まって、さて、どうしますかね、と会議が始まった。講師とは別に映像作家がサポートに入るので、映像制作については、みんな素人。でも面白いことをやってみたい人たち。「あなたはどう?」と水を向けられると「わたしはね…」と意見をはっきりいう。

そこには中身のない発言をする人も、自分の主張だけを延々と語って周囲をうんざりさせる人も、誰かの顔色をうかがって考えを変えるような人もいない。さらには相手の意見を否定する人もいないし、わたしにはわかりませんとサジを投げる人もいない。

議長の役割をするのがくだんの講師なのだが、彼女はみんなの話を引き出し、メモを取りながら、話の流れをコントロールする。自分の意見も言い、みんなを笑わせながら、それぞれの案をアレンジしていく。誰もが蚊帳の外になることなく、mamatomo7の一員としての自覚が生まれる。

これ、完璧な会議じゃない?すごいね。

やる気のある人が集まっているし、利害関係がないからmamatomo7はうまくいっている、と言う人もいるかもしれない。生産性のないお遊び講座と仕事を一緒にするな、と思う人もいるかもしれない。でも、この経験が、わたしには「自己肯定感」や「作品の完成度への意欲」、さらには「個々が協力を惜しまないチームワーク」に結びつくと感じたのだ。これだけで、公民館の講座に参加した価値はあったと思う。公民館、あなどれない。


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