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街コン潜入大作戦①

女もすなる街コンといふものを男もしてみむとてするなり。
どうも現代の紀貫之ことまつしたです。というわけで、初めて街コンに参加したときの話を書こうと思う。

きっかけはマッチングアプリで三者連続写真盛り盛り詐欺に遭い、スマホを駅のホームに叩きつけて号泣した事である。その体験談も後々書こうと考えている。(実際はスマホを叩きつけたりなどしていない。この記事に書いてあるまだ新しいスマホである。

マッチングアプリ落ち武者に成り下がった私の前に現れた一筋の光、それが街コンだ。いきなり対面する訳だから写真詐欺にはどう考えたって合わない。最先端の画像処理技術も街コンの前では無力なのだ。

早速私は「京都 街コン」という単語をgoogle検索窓にぶち込み、情報収集に勤しんだ。流石は古都京都と言うべきか、街コン開催情報は山のように見つかった。なかなかあけっぴろげにしづらい話題だからあまり馴染みが無いが、街コン市場の規模の大きさに圧倒された。
しかしやはりと言うべきか、どのイベントも男女平等とは言い難い条件が示されている。男性の方が女性の数倍参加費が高いのだ。しかも男性にいたっては年収300万以上、高学歴、大企業勤務、30歳以下といった見た目完全無視の条件まで課されているではないか。またしてもスマホを叩き割りたくなったが、幸い曲がりなりにも上記4条件を満たしているという安堵感からなんとかスマホは無傷で済んだ。まあ、マッチングアプリと違って女性タダではないので、そこはまだ良心的なのかもしれない。値段はピンキリだったが、とりあえず男性5000円、女性1000円という全体から見て平均的な値段と思えた街コンに参加することにした。日程は一週間後の日曜日。

これは良いネタになるぞと思い、同期に街コンに挑戦する旨を告げた。いじられることを期待してのカミングアウトだったが、反応は予想と違った。
「めっちゃええやん!どんなんか見てきて!」
という感じである。みな街コンの存在は知っていたが、値段やプライドなど様々なものが邪魔をして実行に移せないでいたのだ。そんな折私が今度そこに乗り込むと耳にしたものだから、そりゃ生のレビューを聞きたくなるのが同然だろう。私は参加後に戦果を報告することを約束した。
同期の期待を一身に背負い、街コンに乗り込む先遣隊に任命された私はなんだか誇らしげな気分だった。自衛隊の方はこんな気分で仕事をしているのだろうか(絶対違う)

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そしていよいよ作戦決行の日。季節は蝉の声が聞こえ始めた初夏だった。私は服装や髪形に乱れが無いことを入念にチェックして家を出た。電車を乗り継ぐこと約30分後、会場である雑居ビルに着いた。

「これが今日の戦場か....」

気分としてはポケモンリーグ四天王に挑む直前のそれと同じである。一つ深呼吸をし、意を決して会場の扉を開けようとしたが、鍵がかかっていた。もう開始5分前だというのにまだ開場していないのか?しかもビルの廊下には誰もいない。不安が胸に渦巻き、額からは変な汗が流れだした。しかし扉の向こうからは薄っすらとBGMが聞こえてきたため、まだ準備中なのだろうと察した。
薄暗い廊下には当然空調は効いていない。汗ジミができていないかをチェックしながら、今か今かと開始の瞬間を待った。
~つづく~

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