見出し画像

立教サービスラーニング(RSL)センターとボランティアセンターの協同企画を開催しました!

11月28日(火)、RSLセンター&ボランティアセンター協同企画「池袋で立教生ができる社会活動―みんなでつくる地域の居場所―」を池袋キャンパスで開催しました。

当日、第1部では豊島区(池袋地域)の子どもを取り巻く課題に関する講演をお聞きし、第2部では実際にその取組みの現場を一部見学しました。


第1部:栗林知絵子さんによる講演

第1部は、「認定特定非営利活動法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」理事長の栗林知絵子さんより、豊島区(池袋地域)の子どもを取り巻く課題についてご講演いただきました。

栗林さんは、2004年から池袋本町プレーパークの運営に携わり地域活動を始められました。その後、無料学習支援、子ども食堂、子どもの居場所など、地域の子どもを地域で見守り育てられるように、子どもと家庭を伴走的な支援をされています。
そんな、自他共に認める“おせっかいおばさん”の栗林さんがこの活動を始めたきっかけ、「おせっかいの輪をひろげる」というビジョンで様々な居場所を創り出してきたこと、官民協同の地域全体で取り組む見守り支援のこれから等について、昼休みの時間だけでは足りないくらいたくさんのお話しをいただきました。

★地域の子どもがみんな笑顔になってほしい

「自分の子どもだけではなく、地域の子どもがみんな笑顔になってほしいという想いでどんどん活動が広がっていった」と話す栗林さん。
その活動の始まりは2004年。池袋本町プレーパークの運営に関わる中で、様々な子どもたちと関わるようになったことがきっかけでした。

「昨日からご飯を食べていない」「(問題が起こり)自分でパトカーを呼んだ」などの話を聞く中で、地域にこんな状況の子どもがいたなんて…と衝撃を受けたと同時に、関係機関に繋いでもすぐに対応してもらえないという現状から、「このパークで関わる時間だけは、そんな子どもたちの話を聞こう」と思われたそうです。
その後リーマンショックもあり、「年越し派遣村」「ワーキングプア」などの問題・取組みが報道されましたが、仕事も住まいも無い人がテントで暮らすというニュースと、プレーパークの子どもたちのことが繋がるのではないかと感じ、子どもの貧困が本当に自己責任なのか? その背景には何があるのか?と、いろいろなことを調べていったそうです。そのうちに、親の労働・住まいの問題、ひとり親の問題等、いろいろなことが子どもの貧困につながっているのであり、決して自己責任ではないのだということに気づきました。

そんな中、栗林さんはプレーパークで関わる一人の少年の高校受験をサポートしました。無事合格しましたが、そこに至るまではいろいろなことがあったそうです。
まず、小学生の足し算に戻って勉強しました。彼は中学3年までに4回の転校を繰り返していたため、勉強がわからないことを誰にも言えなくなっていました。その話を聞いて「もし、この少年が小学生の時に出会っていたら、もっと選択肢が広がったかもしれない」と思い、自己責任ではない格差を感じ、そのことがきっかけで小学生向けの学習支援を始めました。

また、少年の母親は昼も夜も働いていたため、家族で一緒にご飯を食べるという習慣がありませんでした。そこで、このような子どもたちのためにと、子ども食堂も始めることになりました。

★自己責任の環境へのギモン

栗林さん:支援を始めた頃、世の中にはまだ「親の責任」「家族の責任」という風潮が強くあり、そんな「自己責任」の環境に疑問を感じ、みんなで見守り育てる社会を目指しました。必要な居場所をつくっていくことで、さらに様々なニーズが見えてきて、子育て中の親が孤立しないような支援、困った時に子どもが宿泊できるための施設など、親や子どもそれぞれのために「こういう場所があったらいいね!」というものを、ひとつひとつ作っていきました。

栗林さんの活動の原点でもあるプレーパークを例に、子どもの声に向き合い、子どもにとって大切な居場所の必要性を様々な方向から周囲に伝え続けることで支援の輪が広がり、本来期限付きの取組みとして予定されていた行政の計画さえも変更されたというお話もありました。

栗林さん:地域の人の声でつくる居場所のひとつひとつはとても小さな取組みでも、自分たちの力で地域を変えていくことができることを実感しました。社会課題を新聞や数字で知ることも大切ですが、自分たちで豊かな環境を作ることができるという自己肯定感にもつながります。

★コロナ明けの今こそ

栗林さん:このタイミングだからこそ、みんなにとっての居場所になる場をつくる必要があります。現在、支援に必要な「3つの“間”=仲間、時間、空間」をうまく調整して、様々なノウハウを持つ企業等とも連携しながら、子どもの居場所づくりのためのプラットフォームを作ろうとしています。
例えば、子育てにはいろいろな物が必要ですが、連携により必要な物を集めて手渡すことで居場所だけでは解決できない問題への支援につなげたりすることもできます。豊島区では、もっとこのような取組みを広げることによって、孤独・孤立・困窮に優しい社会を目指しています。
この10年間で、当たり前に支援を受けられる社会へと随分変わってきました。それらの取組みにボランティアとして関わってみるのもよいと思います。

学生だからこそ聞ける話や、学生だからこそできる子どもたちへの関わりがある…これは、他の団体の方々からもよく伺う話です。

第2部:「にしまるーむ」(西池袋中学校内)の見学

第2部では、2023年5月にオープンした西池袋中学校内の居場所『にしまるーむ』を見学しました。

家庭や教室以外にも多様な居場所をつくろうとするもので、不登校の未然防止やフォロー、交流の場を目的として、区の教育委員会と「中学生の居場所づくりモデル事業に関する協定」を締結し、豊島子どもWAKUWAKUネットワークが運営しています。
利用者となる生徒からのリクエストも集めており、IKEAの家具でレイアウトされたカフェのような素敵な空間には、見学中も様々な生徒が立ち寄っていました。
訪問した学生は、WAKUWAKUのスタッフからここでの取組みについてのお話を伺いました。

現在、全国的に社会課題になっている不登校に対する取組みとして、「学校でも家でもない誰かにつながり、そこで話を受け止めてもらう。それだけでも何かが変わる。その相手は大人もいいけれども、より年代が近い大学生も必要。」と、第1部の講演で栗林さんがお話しされていましたが、大学生のメイクやファッションに興味のある中学生が話しかけてくる場面も度々あり、そのことがとても印象的でした。

〜参加者の声(一部抜粋)〜

自分が知らなかった先進的な取り組みを知ることができました。第1部の講演では、豊島区内における現状や教育体系に関して多角的に知見を深められ、非常に有意義な時間となりました。第2部の校内見学では、実際の校内における捉えられ方や雰囲気を体感でき、一層の理解が深まりました。

明るい色のラグやゲームボード、居心地の良さそうなソファが置いてあることに驚いた。自分が中学生でこのような場所があったら、立ち寄りたいと思いました。

子供の居場所づくりというと保健室のような閉鎖的な空間が第一に思い浮かびますが、今回の企画に参加することで開けた場所があることや様々な組織・人と連携して子供の力になれることを知りました。実際に中学校を訪れることでこの取り組みに活気があることも知り、ボランティアの効果も実感できてよかったです。

学校や地域に根ざした活動が行われていることが印象的でした。子ども食堂や学習教室などを通して地域が課題解決に向けて取り組むことの大切さを感じました。また、大学生の私でも何かできるのではないかと感じ、自分に何ができるのかを改めて考え、行動してみようと思いました。

スキルもコネもないところから、自分の熱意によって色々な人を巻き込み活動を大きくしていく様にとても驚きを覚えました。親だけが子供を育てるのではなく、地域の人たちで育てるという考えがすごく素敵だなと思いました。国や企業が動いてくれないと決めつけて何もしないよりも、やりたいことを周りに話すことが大事であるということを学びました。知識を得ることも大切ですが、行動を起こすことの大切さを学びました。

★おわりに

この企画では、他にも様々な団体の取組みや連携についてご紹介いただき、そのどれもが必要な支援として展開されている豊島区のネットワークの強さや、“おせっかいの輪”の愛情とパワーを改めて感じられる内容となりました。
ご協力いただきました栗林さんはじめ、豊島子どもWAKUWAKUネットワークのスタッフの方々、西池袋中学校そして教育委員会の皆さま、ありがとうございました。

みなさんも何かに関わってみようと思ったら、ぜひ池袋キャンパス5号館1階/新座キャンパス7号館2階のボラセンにお越しください。
(RSLセンターも同じ場所にあります)

認定NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク

この記事が参加している募集

振り返りnote