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モチベーションとはなにか?(古典理論と職務特性理論)

組織行動論(Organizational Behavior)の基礎を学ぶ旅。
第二回はモチベーションについて。
古典的な理論と、職務特性理論・MPSについて。

モチベーションとは


一般には「目標に向かって努力し、その達成を目指そうとする心理エネルギー」を意味しています。

仕事におけるモチベーションは?
ワーク・モチベーションといいます。定義は以下の通り。

「個人の内部および外部にその源を持つ一連の心理エネルギーの集合体」
「仕事に関連する行動を始動し、①方向性②強度③持続性に影響を与えるもの」

いろんな論文でモチベーションが定義されてきましたが、共通するのが、
①方向性、②強度(活力・規模)、③持続性という3つの要素。

わたしの今の勉強するモチベーションを、分解するとこうだ。
「①大学院入学に向けて、②一定の勉強量を、③毎週続けている」

モチベーションの種類


どんな種類があるか?大きな前提は「外」か「内」かだ。

外発的動機:報酬・昇進など外部から与えらえる影響
内発的動機:たのしみたい、やりたいというった内面から湧き上がるもの

社会人大学院に通うとしても、会社から補助が出て行ってこいもあれば、
わたしのような、純粋な興味からという人もいるだろう。

外的報酬が内発的動機を奪う、アンダーマイニング効果はおもしろい。
報酬ありでスタートしたタスクから、報酬がとりあげられると、
そのタスクへの動機を低下させるという実験からの考察である。

ほかにはどんな種類(分類)があるか?
接近動機・回避動機というのも本能的で興味深い。

接近動機:よりよい生活をしたいから仕事をがんばるなど、対象に近づくほど充足感・心地よさが増すもの
回避動機:家に帰りたくないから残業しているなど、対象に近づくほど不快感や緊張感が高まるもの

おなじく出社・残業をしていても、モチベーションが違うかもしれません。

マズローの五段階欲求説は科学的でない


アブラハム・マズローの欲求五段階説。(1940年代)
5段階のピラミッド、見覚えある方も多いですよね。

「生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→尊厳欲求→自己実現欲求」

最初の3つは外発的、後者2つは内発的。
人は満たされていくほどに、後者を求めていくとする考えです。

最初に聞いたとき、納得感あるな~と思いました。
が、現代の心理学ではほぼ科学的にあてはまらない(!)
とされているようです。なんと。

たとえばどういこうことか?
国境なき医師団、戦場ジャーナリストなどを思い浮かべよう。
高い内発的動機が、命の危険にさらされる地域へ赴くこともあると。
たしかに、きれいな段階的欲求ではないと言えそうだ。

ほかにもESG理論、X理論・Y理論、2要因理論など、
モチベーションに関わる古典的な理論は多い。
が、メカニズムの全体構造を説明しきるものは少ないようだ。

職務特性理論(job characterisitics theoy)【1970年代~】


職務特性理論は、1970年代に社会心理学者リチャード・ハックらが提示したもので、その後80~90年代で多くの実証実験が重ねられ、現代でも支持されている。納得感があり、応用しやすい理論だ。

職務特性理論で重視されるのは内発的動機だ。
内発的動機を高める5つの要素として、以下のものがあげられた。

①多様性(variety):多様な能力を発揮できること
②実績性(identity)
:最初から最後まで職務に携われること
③重要性(siginificance)
:他者の生活・人生に影響を与えられること
④自律性(autonomy)
:自律して責任をもって仕事できること
⑤フィードバック(feedback)
:成果・結果を認識し、理解できること

わたしが人事制度改定に取り組むモチベーションを
職務特性理論で分解するとこうだ。

①自分の「収集心」「学習欲」であつめた知識や、「最上志向」「指令性」で周囲に影響を与えながらプロジェクトを推進している
②前提としての2030年の経営ビジョンづくりから携わり、制度設計当初からPJリーダーとして取り組み、来年度以降の運用フェーズも関わる予定
③うちの会社を選び、働き続けるすべてのひとに関わるしごと
④わたしの裁量のなかで創意工夫し、スケジュールを立てて、責任をもって経営陣を説得し、社員に説明をしている
⑤経営者の声、社員の声や反応を聞きながら仕事を進めている

これらを総合的なスコアとして指標化した、
Motivation Potential Score(MPS)がある。式はこうだ。

(①+②+③)×④×⑤=MPS

①~③は有意義感につながる加点式な要素。
④は責任、⑤は成果にかかわる独立要素。

やりがいを設計するとき、職務特性でどれが欠けているか?
あるいは自分の職務はどれが大きいのか?
そんな分析にもすぐ使える優れた理論だと感じた。


今日はいったんここまで。
それでは、まなびおおき一日を!
Have a nice day!!

りく


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