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新人デザイナーが小さく始めるUXリサーチ

UX Research Advent Calendar 2021 の 19日目の記事です🎄

こんにちは、GMOペパボのデザイナー、うえだです。新卒デザイナーとして今年の4月に入社し、今はロリポップ!のプロダクト改善を担当しています。

デザインの経験もほぼ無い状態で入社したデザイナー職の私が、なぜUXリサーチをやっていきたいのか、そしてデザイナー業務の中でどうやってUXリサーチを実践していくのか、についてゆるく書いてみようと思います🙋‍♂️

※まだまだデザイナーともリサーチャーとも名乗るには経験の乏しい私の視点から書いているので、ここ違うよ、これはこうじゃない?などご指摘あればお気軽に教えてください🙏


なぜUXリサーチをやっていきたいのか

リサーチが好きだから🕵️‍♀️

私は大学・大学院で主に質的調査を用いた研究を行ってきたのですが、それが純粋に楽しかったというのが一番大きいかなと思っています。想像も及ばなかった事実が明らかになる過程や、現場に足を運ぶことで新たな仮説やその洞察を得た時の衝撃・感動が忘れられないという経験が、今も自分をワクワクさせます🥳

デザインの意思決定・判断が苦手だから😥

私はデザイン案を提案する時、できるだけ複数案を準備するようにしています。「たくさんの案をいつも準備してすごいね!」と言われたこともありますが、それは「自分の頭では最適解を判断することができないから」で。

極端に言うと「ユーザーのことが分からないのにデザインの意思決定できなくないか?」と思っている自分が心の中に住んでいて。データ不十分な状況で「きっとこうだよね」と議論するのが苦手で、ある程度納得感を持ちつつ判断するも、どこか落ち着かなさだったり気持ち悪さが残ったりしています(学生時代の論文執筆時の思考のクセが残っているなぁと感じます)。
一方で、サービスのためには速いリリースだったり改善サイクルを回していくことが重要という考え方も納得しているので、その折り合いがまだまだ難しいなぁと思っている1年目な今です。


前提:いまの環境と現状について

「新人デザイナーのUXリサーチの始め方」について話す前に、組織や現状によって「デザイナー」や「リサーチ」に対する認識や解釈が違ってくると思うので、前提となる私の状況をお伝えしておきます。

前提1:ペパボにおける「デザイナー」の職務

まず前提として、ペパボにおけるデザイナーに求められるスキルは幅広いです。

ペパボのデザイナーに求められるスキルとマインド

新人デザイナーは「ファンダメンタルスキル」という、専門スキル(以下画像)の土台となる基礎スキルの習得がまず求められます。
専門スキルはビジュアルデザインやUXエンジニアリングなど幅広く、そしてその中の一つとしてリサーチが位置づけられています。

エキスパートスキル一覧

デザイナーになりたての私は、まず広くデザインに関する基礎スキルを身につける必要があります。
特に自分はこれまで独学でやってきてスキルは穴ぼこだらけなので、まずはいちデザイナーとして戦力になるために業務に臨みつつ修練している最中です💪


前提2:社内のリサーチ浸透度はまだ高くない

先ほどの専門スキルはすべて極める必要はなく、自身で希望を選択することができます。専門スキルの選択状況(複数選択可)は以下の通りですが、ペパボにおいては各スキルの中でも「リサーチ」の選択者が最も少ないことが分かります。(※オプショナルスキルの Management, Marketingを除く)

エキスパートスキルの選択状況 ※2021年5月時点)

人単位で見てもリサーチに専門性を持つデザイナーが多いとは言えず、社内環境においても「リサーチが浸透している」とはまだまだ遠い状況にあると解釈しています。

私個人の業務に関して言うと「リサーチをやって」と依頼されることはなく、自身のデザイン業務の中で「これはユーザビリティテストを実施した方がいいな」「これはリサーチが必要だな」と自身で判断、提案し実施するといった流れになります。

ただ、社内Slackを見ていると何らかのプロジェクトキックオフ時に探索のためのリサーチが実施されていたり、ユーザビリティテストやユーザーインタビュー・アンケートの呼びかけが行われていたりなどちらほら見かけます。必要な機会でリサーチが実施される状況ではありつつも、定期リサーチの機会はあまりなく、リサーチの仕組み化も実現できているとは言いづらい状況にあるのかな、と捉えています。


初めての「業務でのリサーチ」

私も先日、業務において初めてのリサーチを実施しました。開発中の新機能のユーザビリティテストです。
問題点・改善点の洗い出しと不確実な部分の操作性を確認するため、Figmaで作成した簡易プロトタイプを操作してもらい実施しました。

デザイナー業務の中でどうやってリサーチをやる流れに?

新機能開発に私がデザイナーとしてアサインされ、先輩デザイナーにレビューをもらう中で「ヒューリスティック評価だけでは判断が困難な部分があるね」という話になりました。
その先輩デザイナーから「ユーザビリティテストをやってみよう」と声をかけてもらい、私が主担当+先輩にサポートいただく形で実施する流れになりました。

具体的に何した?

簡易版ユーザビリティテストということで、1日以内でできる程度の規模感で実施をしました。やったこととしては以下です。

テスト設計→社内でリクルーティング→スケジュール調整→実施(4名)→ドキュメントまとめ・ふり返り→UI改善点の洗い出し・優先順位づけ

何が大変だった?

業務では初めて、かつ「ユーザビリティテストやった方がいいね」→「じゃぁ明日やろう!」というスピード感だったので、気持ちの準備ができないままいきなりやることになり、若干焦りました😂

また、今回のスピード感・規模感から社内でテスト対象者を集めることになったのですが、私は新人かつリモートワークメインだったので、社内と言えど面識のない他職種へのリクルーティングもめちゃくちゃ緊張しました😭 (この対象者の条件で大丈夫…?この職種忙しそうだけどOKかな…?などなど)

しかし、いざ呼びかけてみたら「協力します!」と多数の方が爆速で反応してくださったので、これは初回だけの懸念だったな〜〜〜と安堵しました☺️

また、テスト中に想定外の動きをされ、プロトタイプの準備が足りなかった点が途中で見つかってわたわたしました…が、先輩デザイナーのフォローのおかげで大きな問題なく終えることができました。


新人デザイナーがリサーチを小さく始めるためにできること

①失敗しても大丈夫なエリアから始めていく🌱

今回私が「社内でリクルーティング」したように、まずは社内で簡易的に始めてみるのがよさそうに思いました。サービスに対するバイアスが生じ得るなどデメリットはややありますが、社内でも遠いポジションの方にお願いするなどで克服できる部分かなと思います。
また、社外の場合でも面識のある知人を対象とすると始めやすそうですよね🙆‍♂️ 


②「リサーチされる側」を経験してみて、やり方を盗む🔍

初めてでもユーザビリティテストを実施できたのは「一度被験者としてユーザビリティテストを受けたことがあるから」も大きいと感じました。以前、社内で簡易ユーザビリティテストの募集があった際に手を挙げ参加したことがあり、その経験が頭に残っていました。

また、今はユーザーインタビューの実践的学びを得るために torima.in や uniiリサーチを使ってインタビューに参加し、「インタビューされる側」の経験を積んでいます(報酬もあるのでお小遣い稼ぎにもなります🙆‍♂️)。

インタビュー受ける側の立場になることで「ここもっと掘り下げてほしかったな…」「この質問すごく答えにくいな…」など、自分が実践する側に気をつけたい学びや気づきが得られ、ビジネスのユーザーインタビューとはこんな感じか〜と勉強になっています。


③機会が来る前に、本を読んでおく📚

私の場合「ユーザビリティテストやろう!」となった翌日にはテストを実施・完了する、というスピード感だったので、その前から本読んでざっと知見持っといてよかった〜〜〜!😂となりました。
「これリサーチした方が良いな?」という勘所を鍛える・機運を逃さないためにも知見を持っておくのは大事だと実感しました。

中でも特に読みやすかった、おすすめの本は以下です。

▲「はじめてのUXリサーチ」はまさに、小さくUXリサーチを始める時の手法・マインド双方で後押ししてくれる本でした。

▲ HCDライブラリーシリーズは読みやすく・とっつきやすくHCD関連のことが学べるのでおすすめです🙆‍♂️

▲ 手法はもちろん、手法を活用する上で陥りがちな失敗や重要なスタンスがしっかり述べられているので、一度頭に入れておきたいなと思った本です。


これからやりたいこと

自分個人のリサーチスキルを伸ばす・経験を積むことはもちろん、「リサーチ文化/仕組みを社内に浸透させる」も同時にやっていきたいなと思っています。

先にお伝えした通り、ペパボは現状まだまだリサーチ関連の課題が多く、これからリサーチの環境・仕組みをつくり、文化を浸透させていくフェーズにあります。既にResearch Opsが十分に機能している組織では味わうことのできない、困難さも含めて非常にうまみのあるフェーズを体験していくことになるのかなと思っています。いや〜楽しみですね。なんとなく来年あたりが過渡期かなと思っていて、個人的にも仕掛けていきたいことを画策しています。

ということで一緒に「リサーチを組織に浸透させる」フェーズに挑戦していきたい方、ぜひぜひペパボで一緒にチャレンジしませんか?🙋‍♂️
来年ももっとUXリサーチやっていくぞ〜🦦


もしサポートいただけたら、リサーチまたはデザインの本の購入にあてて、アウトプットしていきます✍️