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マッチングアプリ体験談:11~12人目

11人目:赤ちゃん言葉で愛でたい男


仕事:
営業
年代:
40代前半
アプリ:
東カレ

江戸前寿司のお店へ到着してから、コースランチだと知った。この人もコースかぁ。カウンターで食べるから、大将に会話が筒抜けで微妙だなぁ…。
コースにしたがる男性が多すぎるから、次は私からデートプランを提案しよう。

ガツガツしていなくて物腰柔らかな男性だった。初対面で人の懐にヒョイッて入り込むのが上手そう。たくさん話題を振ってくれる。
ただ、なんちゅーか…、この人、変だ…。椅子ごと私の方に向き、生暖かい目で私を見つめながら、赤ちゃん言葉でオウム返しをしてくる。それ以外の会話のバリエーションは皆無。

「赤酢のシャリって初めて食べます。おいしい!」
「うんうん、おいちいねぇ」

「〇〇さんは遅くまで働いて、翌日早くから朝活してるからすごいです」
「うんうん、しゅごいよねぇ」

なんだ?コミュ力がおでかけ中なのか??
なんか色々おかしいし、年下女を赤ちゃん言葉で可愛がりたいタイプの男性は好みじゃないんだ。序盤でもうないなーって思っちゃった。すまん。

おかしいだろ、カウンターなのに…


12人目:ヤリモクに変貌した男


仕事:
IT系&奏者
年代:
30代前半
アプリ:東カレ

彼とはメッセージの序盤で意気投合した。
会う前に4時間も電話した。仕事、夢、恋愛、アート、星占い、脱毛、哲学、経済、宗教、音楽…。彼は色々な分野に興味があり、そこが私の好みだった。

でも、彼は仕事の都合で数ヵ月後に地方へ移住することが分かり、関東に住み続けたい私は「描いてる未来が違いすぎる」と言ってお付き合いは断った。
あまりにも気が合ったので「いっそ友達になろう」ということで話がまとまり、1週間後に美術館デートをすることにした。

彼は色白で細身、目が切れ長で韓流スターみたい。
ライトダウンした展示室のソファに座り、肩をくっつけたままインスタレーションを鑑賞した。

色気もなくハンバーガーにかぶりつきながらお互いのことを語り、話し足りずクレープ屋をはしご。これから頑張りたいことを楽しそうに語る若者を見ながら食べるデザートは格別だ。「引っ越してもがんばって」とエールを送って別れた。
その後、彼とは数ヵ月に1回、LINEで近況報告をする仲になった。程よい距離感の男友達ができたことがうれしかった。


翌年、彼が関東に来ると言うので会うことに。引っ越し前にできなかった壮行会をしてあげたくて、彼のために魚がおいしいレストランを予約した。

なんと、一年ぶりに会う彼は以前の彼とは別人で、キラキラした目で仕事を語ることはなく、見下すような表情であざけ笑うようになっていた。

「俺は稼げるスゴい男。俺が言えば上は動く」
「周りは田舎モン。センスがない。クソで頭が悪いしやり方も間違ってる」
「山籠もりは娯楽がない。マジ仙人。クソだりぃ」

彼、こんな人だった?引くくらい変わったな…。文句とか愚痴とかそういう可愛いレベルじゃなくて、俺以外の人間はすべて下等生物くらいに思っている感じがする。

二重人格を疑うレベル


「でも、自分で辺鄙な場所にある職場を選んで転職したんでしょ?元々そこに暮らす人をディスるのは違うんじゃない?そういう可愛くない愚痴なら、私、聞かないよ」
「真面目か。つか、マグロ全部食っちった」
「別にいいけど。もう食べたくないし」

彼が刺身を早食いしただけでお店を出たがったので、「ああ、これは来る」と察し、即、帰る宣言をした。
彼は大きなトランクと楽器を持っていたんだけど、楽器は人任せには出来ないからと言ってトランクを私に押し付け(!?)、びっくりしてもたつく私の腕に絡みつき、猫なで声でホテルに行きたがった。
あぁ、やっぱりね。来ると思った。

眠いよー。休憩しようよー。
俺、宿取ってないんだよー。
りんさんと楽しみたいんだよー。
何もしないからお話しよーよー、だめ?
りんさんちでもいいよー?遠くても行く!

は?しらんがな。

何もしないわけないだろとか、漫喫で寝ろよとか言いながら彼の手を振りほどき、また腕を掴まれる。その攻防戦が20分も続いた。
やっとヤれないと分かったのだろう。低い声で「あ~あ」とつぶやき、私の手からトランクを奪い取った。

あ~あ!?
あんた、今、あ~あって言った!!??

絶句して何も言えず、駅へ向かう彼の後ろをとぼとぼついて行く。なんで私が落ち込まにゃあかんのだ。
一応「明日は早い便で帰るんだよね。元気でね」と言ったけど、彼は手をヒラヒラさせただけで振り向きもせず、改札口に消えて行った。

正真正銘のクズ。怒りを通り越して悲しい。
もう私の人生に君は要らない。消えてくれ。

りん