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【読書ログ】『月まで三キロ』 伊与原 新

こんばんは。
「1万円選書」で選書をしていただいた本が届いてから、ほぼ毎日寝る前に欠かさず読書を続けている、凛です。

今回も、前回に引き続き、選書していただいた本を読みきったので、そのご紹介を。

この本を2番目に選んだ理由は、「ままならない人生を月や雪が温かく照らし出す」という帯の言葉に惹かれて。

今の私は、幼い頃に思い描いた人生とは全然違う人生を生きています。
それでも、大学を卒業した直後ぐらいまでは、「思い描いていた人生とは違うけど、それでもこの先が楽しみ!」という気持ちが少なからずありましたが、この1年ぐらいは、「私、本当にこのままでいいんだろうか」と自問自答ばかりで、仕事にもあまり身が入らない日々。

"ままならない人生"かぁ・・・私の人生もそうかも。
でも、そこに光が見えるってことは、今の私にとって、何かヒントになる気がする。

そんな風に思いながら、手に取りました。


読み終えてみて、物語の最後に出てくる「言葉」や「決意」に、心動かされることや勇気をもらうことが多かったなぁと感じます。
そして、描かれている時点では、”ままならない”人生だったかもしれないけど、そこまでにたしかに自分のなかや周りにあった、大切なものや人、想いに気づいていく・・・その姿にじーんと心温まる気がしました。

なかでも、私が一番気に入ったお話は、「エイリアンの食堂」というお話。
文庫本の最後の対談のなかでも上がっていたし、Amazonの書籍紹介でも取り上げられていて、どうやら人気のあるお話のようです。

妻を亡くした謙介は、遺された娘の鈴花と2人暮らし。
亡くなった妻の実家の1階で、定食屋を営んでいます。
その定食屋に、毎日決まった時間に訪れる女性がいます。

パッと見、不思議なところが多い女性。
鈴花は密かに”プレアさん”とあだ名をつけ、宇宙人だと想像していたくらいです。

そんな3人を取り巻く物語がこのお話。


この短編集のどのお話も素敵でしたが、なぜかこのお話だけ、涙が止まらなくて。
もう一度味わいたくて、全部を読み終わった後に、このお話だけもう一度読みましたが、2回目もやっぱり胸が熱くなって、涙が止まらなくなりました。

でも・・・いったい、自分のなかの何にそんなに響くのか。

2回目はじっくり味わって読みながら、自分のことを少し俯瞰しつつ読んでみましたが、正直まだ私自身も分かりません。

不器用ながらに、娘と向き合い続ける謙介の姿?
健気な鈴花の姿? それとも、文章を通して感じられる、鈴花の気持ちや心の動き?
見た目とは違って、本当は優しさ溢れるプレアさんの姿・・・?

物語を通して感じる温かさに心動かされた部分もたしかにあると思いますが、無意識に投げかけたひとことで「誰かを傷つけたのでは?」と思ったときの胸の痛みや苦しさを感じていたようにも思います。


まぁ、何事も”今すぐ”に分からなくたって大丈夫。
もしかしたら、いつか「あのとき、あのストーリーを読んで感じたものは、これだったのか」と気づくこともあるかもしれないし、もう一度時間が経って読み直してみたときに、何か自分のなかから見つかるかもしれないし…。

少し時間を置いて、また読み直しながら、自分と向き合ってみようと思っています。


なんだか、本の感想より、自分のことが多くなった気がします(苦笑)。

短編で、かつどのストーリーも続きが気になって、つい読み進めちゃう感じの本だったので、「最近あまり時間がないから、少しずつ読みたい!」みたいな方にもオススメかもしれません。
気になった方は、ぜひ読んでみてくださいね!


本日もお読みいただきまして、ありがとうございました!!




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