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USCPAを活かしてオーストラリアで就職

USCPA(米国公認会計士)を活かして、オーストラリアで仕事を2つ掛け持ちしています。

  • 日系企業での経理パートタイム

  • 日系ベンチャーで財務分析および経理業務の業務委託

オーストラリア就活事情の特殊さと自分の立場の障壁により、ここまでに至る道のりはなかなか大変でした。私のオーストラリアでの就職活動の経験を少しばかり共有させていただきます。


バックグラウンド

  • 大学は商学部でマーケティング専攻

  • ソフトウェア開発のプロジェクトマネジメント業務経験6年(PMP取得)

  • 2021年7月より夫の海外赴任に帯同するため休職中。

  • 休職中にUSCPA(米国公認会計士)全科目合格。会計関連の職種は未経験。

働きたいと思った理由

私のこの休職中の一番の目標は英語力の向上です。なぜなら、帰国後は休職中の会社の前のポジションにまた戻る可能性が高く、そこで英語が必要だからです。当時は英語の会議の録音を何度も聞いて議事録を書いているような必死な状態でした。なので、もっとスムーズに英語で仕事ができるようになりたいと思っています。そのため、私はUSCPAの勉強が終わった後は英語の勉強に注力していました。ただ、英語が一番の伸びるのは英語を'勉強すること'ではなく英語を'使うこと'(必要な環境に身を置くこと)だと考え、英語を使って何かがしたいと考えました。

一方、せっかく取ったUSCPAを活かしたいという気持ちもありました。2年ほど前にUSCPAのキャリアカウンセリングを受けた際、「35歳以上になるとなかなか未経験でUSCPAを活かす道がなくなる」と言われたので、何でもいいから会計に関する仕事に早めについておいた方が今後のキャリアの可能性を保てると考えました。

以上2点のことから、私は英語を使って会計の仕事に就きたいと考えました。

休職中の就業

私は夫の駐在に帯同するにあたり、日本の会社を休職しています。オーストラリアで働きたいと思いつつ、休職中の会社が就業を許可してくれるのかどうかが最初の懸念点でした。

ある時、私と同様に帯同休職を取得した人が人事から働かないように釘を刺されたという話を聞いてしまいました。なので、ボランティアやプロボノ等を通して経験を積むか、無償のインターンに参加することを検討しました。

インターン

無償インターンならすぐ見つかるだろうという軽い気持ちで探し、様々な企業のインターンに応募しました。しかし、どこも書類を提出しても音沙汰なし…

複数のインターンに一括で応募できるインターン専用のサイトからもアプライしましたが、そこでも全然通りませんでした。

知り合いのツテで、会計職のインターンの仲介をしている人材会社のマネージャーを紹介してくれて、私からメールを送ったのですが、それすら返信ありませんでした。

そこで、企業側のインターンを募集する理由を調べてみましたが、やはり将来当該企業で働く上で仕事内容のギャップを埋めること、優秀な人材を見極めて採用すること等が主な目的であると分かりました。私のような一時的な滞在者、かつ新卒ではなく30代の謎の人間を取る理由はないなと納得しました。

また、数か月で十数万お金を払ってインターンに参加する形式のものもありましたが、オージーの友達に聞いてみたところ「そんなの聞いたことない」と言われ、怪しいのでやめておきました。

休職中の会社への交渉

どうせ就職を諦めるならいっそ念のため自分でも本当に休職中の就職がダメなのか会社に直接確認しようと考えました。そこで、以下の内容を記載して人事に問い合わせメールを送りました。

  • 復職後、グローバル案件に携わる可能性が高く、最大限のパフォーマンスを発揮すべく海外で英語環境で仕事経験を積みたいというモチベーション

  • 夫の会社は配偶者の就労を認めていること

  • ビザはフルタイムで制限なしで働けること

  • 会社と折半で社会保険料等を支払っているが自分に収入がないため、日本での税金関係で問題になりそうなことは想定されないこと

  • オーストラリアの法律に則ってきちんと納税すること

そして、3週間後ようやく返事があり、副業申請書を提出することを前提に許可をもらえました。正直厳しいだろうと思っていたのでかなり嬉しかったのを覚えています。

帯同休暇中に限定したフォーマットで、もらうまでにも更に時間がかかったので、おそらく私のためにわざわざ作ってくれたようでした。そのため、会社で初めてのケースだったのではないかと推測しています。

何でも諦めずに交渉してみるものだなと思いました。今のご時世働き方が多様化する中、会社のルールもそれに応じて変化していっている過渡期かと思うので、会社からNGを出されている場合でも一旦交渉してみるのはありなのかなと思います。

オーストラリアのレジュメ(履歴書)の書き方

オーストラリアは日本と違って決まったフォーマットがあるわけではありません。Resumeと検索すれば英語のレジュメのフォーマットが沢山出てくるのですが、そのほとんどはアメリカ等別の英語圏のものなので、オーストラリアと入力して検索した方が良いです。なぜなら、オーストラリアのレジュメには特徴があるからです。

まず他の国と違うのが、顔写真を載せないこと。肌の色で差別することを防止するため、顔写真は載せないルールになっています。載せることによりデメリットがどれだけあるか分かりませんが、載せない方が無難だと人材会社の方からも言われました。

主によく書かれる項目は以下のとおりです。

  • Summary (Introduction, Profile等タイトルは様々)

  • Education History

  • Work History

  • Qualification or Certification

  • Skills

  • Contact Information

その他にボランティア経験も書くことを推奨されます。Work Historyは詳細に書き、数ページにまたがる人も多いようです。

レジュメは多くの知り合いにレビューしてもらいました。

  • 現地で数十年働いている、面接ベテランの日本人の方

  • 国から特別に評価されて永住権を獲得した超エリートの日本人の方

  • 駐在界隈で有名な人材会社の方

  • 日本とのハーフのネイティブオージー

  • 語学学校の先生

様々な立場の方に見てもらい、よりプロフェッショナルな表現、見やすいデザイン、書くべき要素等様々な角度からアドバイスをいただき、英語表現のネイティブチェックもしてもらいました。また、日本人は謙遜しすぎる傾向にあるので大げさかなと思うくらいアピールするくらいでちょうど良いみたいです。採用担当者は他人なので、やはり他の人からどう見えるかが大事なので他の人に見てもらうのは大切だと思います。

狙っていた業界やポジション

先に記載したとおり、自分の就活の目的は一番は英語環境に身を置くこと、二番目は会計関連の職の経験を積むことだったので、以下の順番で狙っていました。未経験の経理職に就くのは普通に考えて難しいと思ったため、前職のプロジェクトマネジメントの仕事でも良いと考えていました。

  • 第一希望:現地企業の経理職

  • 第二希望:現地企業のPM職

  • 第三希望:日系企業の経理職 or 現地企業の事務職

  • 第四希望:日系企業の事務職

  • 第五希望:パートタイム(経理、事務)

  • 対象外:日本の企業にリモートで就職…Linkedin経由で何件かお声がけ頂いたが、英語を使う環境に身を置く目的にそぐわないため対象外とした。

応募媒体

企業に応募する媒体は多数あります。

求人サイト

SEEK, Indeed等の求人サイトを通じてアプライ。これは人材会社経由で応募するものと、企業に直接アプライするものに分かれます。求人広告の書き方として、「このクライアントは~」のような書き方がされているものは人材会社経由で応募するもの。「私たちは~」と書いてあれば企業に直接アプライするものだと読み取れます。

後者の場合は、アプライボタンを押すと企業のページに飛ぶケースと、就活サイトのフォーマットを使って応募するケースとあります。書類選考の結果を連絡してくれる企業もありますが、落ちた場合連絡が来ないケースの方が多いです。

LinkedIn

オーストラリアではややフォーマルな場で出会った人同士でLinkedInを交換することが多く、転職を考えているかどうかに関わらず、LinkedInをやっている人は非常に多いです。

LinkedInは他の就活サイトと同様求人広告にアプライすることができますが、一方で、DMで直接スカウトが来るところが他と違うところ。LinkedInで普段から様々なことを投稿/発信している人はスカウトが絶え間なく来るようです。

知らない人から友達申請が来た時に、とりあえず承認しておくと、その人が人材会社の人で仕事を紹介してくれたりすることも多々あります。有料会員なら月何人かは友達以外の人にDMを送れるのですが、そうでない人は友達にならないとDMを送れない仕様になっています。なので、チャンスを逃さないためにも友達申請が来た際はとりあえず承認しておくのも悪くないです。

日系のオーストラリア情報サイト

今回一番役に立ったのが、JAMS.TV, 日豪プレス等の日系のオーストラリア情報サイト。求人の欄に行くと、日本人向けにオーストラリアでの仕事の求人が載っています。求人の多くは飲食バイトやマッサージ屋さん等で一般企業の求人は少なめですが、少ない中でも書類が通る率がSEEK等に比べて非常に高いのでおすすめです。日系の会社だけではなく、現地の会社で日本人を採用したいケースもあります。レジュメを添付してメールでアプライする形式です。

人材会社

人材会社の方が自分の希望に沿って企業を紹介してくれます。これは自分が動かなくても案件がくるので非常に楽です。紹介を受けた会社の書類選考はたいてい通ります。ただし、紹介を受ける際、最初は企業名は分からず業界とポジションのみ知らされます。応募すると決めて書類が通っていざ面接を受けるところまで行って初めて企業名を明かしてくれます。

企業側も、こちらの名前も顔も分からない状態で、レジュメも人材会社の人が必要な要素を抜き取って伝えられて書類選考が進みます。お互いに誰か分からない状態でのマッチングというイメージです。

企業へ直接アプライ

企業のホームページから直接応募する方法ももちろんあります。こちらは比較的書類審査の返信が来ます。ただし、ホームページには〇日or〇週間以内に結果連絡すると書かれているにも関わらず、忘れたころに来たりすることはあります。

Facebook

おすすめしません。Facebookには「Work in Australia」的なグループが多数存在します。実際に入ってみましたが、すごく時給が高くて条件の良い怪しい広告ばかり。すべてがそうというわけではないでしょうが、複数グループに参加してみましたが、詐欺のようなものが多いので使えそうなものはありませんでした。

オーストラリアの就活事情

ここからが本題!

私は100社以上の会社に応募しました。そのうちのほとんどは書類落ちしています。最初は、現地企業のAccounting Assistantのポジションで応募していました。私は会計の経験がないので、まあ落ちて当然か…と思い、本職のプロジェクトマネジメントの職種でも応募してみたところ、悉く落ちました。これだけ信頼できる複数の方々にレジュメも見てもらって仕上げているのに落ちるのはなぜだろうと思い、駐在界隈で有名な人材会社の人にLinkedIn経由でメッセージを送り、直接会って相談させてもらうことにしました。その方以外からもらった情報も含め、オーストラリアの就活事情について記載します。

未経験採用は厳しい

これは想像通りかとは思いますが、やはり会計の経験がない状態で会計の仕事に就くことはかなり厳しいです。それは新卒採用でも同じ。大学生は会計なら会計を専攻し、インターンシップを通じていきたい業界の経験を積むことが求められます。

実際私がインターンに応募しているとき、インターンですら経験が必須のところもありました。つまり別の会社のインターンやバイト等で経験を積んでから来いということです。

また、就職を諦めてバイトにするかと考えていた時期もあったのですが、無印でバイトしている知り合いに採用状況を聞いたところ「リテールの経験はありますか?ないと厳しいです。」と言われた。バイトすらそこまで経験重視とは衝撃。。(もちろん時期や状況によると思います。)

オーストラリア国内での業務経験が重視される

未経験が厳しいのは想像つく。なので前述のとおり、私は経験のあるプロジェクトマネジメントの仕事も多数応募しました。しかし、全然書類が通りませんでした。なぜなら、オーストラリアは特殊で、オーストラリア国内での経験が重視されるからです。つまり、日本での職歴は経験として認めてもらえないということです。

思い返せば現地に永住している日本人はまずは日系の会社に勤めている人が多いです。そこで経験を積んでからでないとなかなか現地の会社に就職できないからなのだと納得しました。

想像以上にコネが重要

知り合いからの紹介で採用するパータンが多いそうで、indeed等の就活サイトから応募してもほとんど書類で落ちるものだそうです。HR系の仕事をしている人の話によると、大手企業の多くはSEEK等の就活サイトから数百件の応募がくるので、まずはAIを使って経歴をフィルタリングしてその9割をはじいているとのこと。例えば200件応募があったら、そのうち20件が書類通過。ただ、面接相手はまずは人材会社であり、当該企業ではない。そこでまた多くが落とされ、実際に職場の人と面接できるのは数人程度。サイトから応募するとそういう世界だそうです。

なので知り合いのコネが大事。監査法人に入りたいならパートナー等の偉い方と知り合いになって働きたいと伝えることが早道だそうです。LinkedInから行きたい会社で働いている人にいきなりメッセージを送るようにアドバイスくれた方もいました。

また、もう一つコネの作り方の例を紹介します。私はToastmastersというスピーチクラブの体験に行ったことがあります。そこにいる人に教えてもらったコネの作り方は、Toastmastersというのは一般のものと企業メインのものと色々あり、企業のToastmastersに参加してそこで人脈を作ること。企業のToastmasetersはその企業の人しか参加できないインターナルな組織もあるけど、外部の人も参加できるものもあるらしく、ネットで調べて予約すれば参加できます。

もちろん、Toastmastersに限らず、なんらかのセミナーに参加する等、行きたい企業の人と知り合えるチャンスをいろんなところに見出すことはできると思います。

面接

実際に書類が通るのは、日系の会社ばかりでした。面接を受けた会社は以下の通り。

職種

  • 現地会社の経理職2社

  • 現地会社の事務職1社

  • 現地会社のマーケティング職1社

  • 日系会社のITコンサル1社

  • 日系会社のPM職1社

  • 日系会社の事務職3社

  • 日系会社の経理職パートタイム2社

  • 日系会社の事務職パートタイム2社

媒体

  • JAMS.TV 7件

  • 日豪プレス 2件

  • SEEK 1件

  • 人材会社 3件

面接言語

  • 英語面接 6件

  • 日本語面接8件

不採用理由

面接を受けて、企業から聞けた範囲での不採用理由は以下のとおりでした。

  • 残りの滞在期間が短い&不透明なため、永住権持ちの長く働ける人を採用した

  • 顧客営業経験がなかったこと(ITコンサル)

  • SNS運用経験が豊富な人を採用した(BtoC事務)

  • オーバースペックすぎる

  • こちらに長く居住しており、長く働けて英語も堪能な人を優先して採用した

ほとんどが1つ目の、残り滞在期間が短い&不透明であることでした。私はいわゆる駐妻の立場であり、夫の赴任が終わったら日本に帰国する予定で、すでに2年間経過していること、かつ残りの期間が不透明であることがかなり大きなネックでした。正直その制約がなければ結構早めに決まっていたかと思います。なので、駐妻で企業への就職を考えてる方は、なるべく早めに就職することをお勧めします。

BIG4の就活

BIG4にも応募しました。履歴書を提出した企業はすべて書類落ち。1件、LinkedIn経由でお世話になった方がBIG4で働く日本人の方を紹介してくださり、電話で会話する機会をいただきました。

まずは簡単に会話して感触を聞きたいとのことで先方から電話をいただけました。そのときに聞いた内容がこちら。

  • 未経験なので新卒の等級からスタートとなる。

  • 日系企業担当or現地企業担当どちらになるかはわからない(=仕事で日本語を多く使うかもしれないし英語オンリーかもしれない)

  • 採用プロセスは2回。1回目は英語力を測る。日本語で聞かれても難しいようなことをわざと質問する。2回目は採用面接。

その方は私を積極的に採用しようと動いてくださったのですが、結果、その会社の規定により、Undergraduate(未経験採用)のInternational採用では、学生ビザ保持者のみが対象とのことでした。つまり、そもそもルール上、私のビザでは働けないということでした。そのため、結果的に面接を受けることなく終わってしまいました。

未経験で海外BIG4で働こうとする人はなかなか少ないかもしれませんが、もしそのような人がいればビザ等の制約も確認しておいた方がよさそうです。
※細かい条件があるかもしれないですし、他のBIG4は違うかもしれないので、これを鵜呑みにしないでください。私がここで言いたいことは、本気でBIG4等特定の会社で就職を狙っている人は、事前にビザ要件を確認し、それに応じてどのビザを取って渡航するかを戦略立てた方が良いということです。

採用となった会社

最終的に、日系の豪州情報サイトから応募した日系企業の経理パートタイム職から内定をもらうことができました。今までの職歴や資格等を評価してもらい、残り期間が短くても採用したいと思ってもらうことができました。

もともとフルタイムで働きたかったので、週数日では満足できず、引き続き別のパートタイムを探していました。ベンチャー企業を経営している知り合いに就職活動中だという話をした1か月後くらいに、向こうから連絡がきてBookkeepingと財務分析の仕事をできないかと声がかかりました。業務委託の形で喜んで引き受けさせてもらいました。報酬は自分で決めて交渉するスタイルです。今では仕事も増やしてもらい様々な経験をさせてもらっています。

最後に

レジュメは優秀な方々にレビューしてもらい仕上げ、あらゆる方法で100社以上応募して、できる限りの知り合いのツテも使い、最大限できることをやり尽くしてようやく就職に漕ぎつけることができました。当初一番希望していた完全英語環境にはなりませんでしたが、結果的に企業就職に加えてフリーランスとして働くこともでき、かつ、両方会計に関連した業務であり、様々な形で新しい経験をすることができてとても満足しています。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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