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視察報告 東京都渋谷区子育て支援拠点「渋谷区ネウボラ」尼崎市議会議員 池田りな

こんにちは。尼崎市議会議員 池田りなです。視察の報告をいたします。

テーマ: 渋谷区の子育て支援拠点「ネウボラ」について
日時:2024年4月23日(火) 15時~17時
場所:東京都渋谷区「渋谷子育てネウボラ」

【概要】
2021年8月開設、渋谷区子育てネウボラ(こども家庭センター機能を含む)は、「出会う、集う、語る、つながる。」「地域みんなで子どもを育てる。」をコンセプトとした子育て拠点施設です。こども家庭センターでは、これまで別々の組織であった「母子保健」と「児童福祉」を一体化し、全ての妊産婦、子育て世帯、こどもを切れ目なく支援しています。

ネウボラはフィンランド発祥で、フィンランド語で相談の場・アドバイスの場の意味を指します。  渋谷区ネウボラの施設には、子ども家庭支援センター・子ども発達相談センター・教育センター・保健相談所・子育てひろば・カフェが入っています。

▶こども家庭センターについて 令和5年8月3日 p4 https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001127396.pdf

渋谷区ネウボラは、2019年10月開設した尼崎市のいくしあ(こどもの育ち支援センター)と同様の子育て支援拠点としての役割を果たしており、お互い情報交換をしていると渋谷区の担当者からもお聞きしました。いくしあでは、保健所・子ども家庭部・教育委員会など、子育てに関わる事業を総合に連携しながら支援してきた各部署が1か所に集約されています。

▶尼崎市HP https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/kosodate-kyoiku/kodomo-ansin/1016009/1018129/index.html

尼崎市の「いくしあ」と渋谷区のネウボラは、子育て支援の拠点として共通の役割を果たしており、両者は情報交換を行っているとのことです。特筆すべき点として、2つの取り組みが挙げられます。

渋谷区ネウボラの施設内に設置された「渋谷区神南ネウボラ子育て支援センンター」は、子育て中の親子が気軽に立ち寄れる遊び場やカフェスペースを備えており、子どもの一時預かりも行っています。これにより、自治体の窓口に直接相談に行くハードルが高い保護者も、遊びに来た際に相談できるようになっています。

尼崎市の「いくしあ」では、同様の取り組みは難しいかもしれませんが、遊び場の充実や認知度向上に取り組むことで、より気軽に子育て相談ができる環境を整備できるかもしれません。

渋谷区では、妊婦を対象に保健師による「妊婦面接」を実施しています。妊娠期から保健師と相談関係を築き、必要なサービスを紹介することで、安心して出産に臨め、出産後も継続した支援が受けられるようになっています。

このような取り組みは、尼崎市の「いくしあ」でも参考になるかもしれません。妊娠期からの寄り添いと継続的な支援は、子育て家庭の不安を解消する上で有効だと考えられます。

尼崎市がいくしあの施設内で、渋谷区ネウボラのように、カフェスペースを作るのは予算やスペースの面でも難しいですが、遊び場がもう少し充実できるのではないかと考えます。いくしあは、駅から遠く利便性が悪いので気軽に子育て相談にはいけないと子育て世代からご意見をいただいています。

また、いくしあの認知度向上が必要だと常々考えております。認知度を施策の1つとして、「尼崎版ネウボラ いくしあ」などネウボラという言葉を入れることを市に提案しています。

2点目は、渋谷区の妊娠期からお母さんに寄り添う取り組みです。まず、保健師が16週から32週の妊婦の区民を対象に、妊娠・出産・子育てを一緒に考える「妊婦面接」を実施しています。常勤保健師が相談対応し、継続した支援を行っています。妊娠中に保健師と相談関係を築き、必要なサービスを紹介することで安心して出産に臨むことができます。保健師は出産後も継続した相談者になり、育児不安が解消されます。

https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kodomo/ninshin/ninshin-sodan/ninpu.html


尼崎市では、全員対象の妊婦面接は行っていません。母子手帳を受け取ったときに、保健師さんと面談がありますが、「何を相談したらいいかわからなかった」「保活のこともそこで教えてほしかった」などといった当事者からの声をいただいています。母子手帳を渡すタイミングが全員の妊婦と直接会える機会なので、この機会を逃さないことが重要です。尼崎市において、妊婦面談がもっと丁寧に行えるよう提案していきます。

次に、渋谷区では妊婦面接を受けると、育児パッケージ(育児に必要なギフト詰め合わせ)がプレゼントされます。

渋谷区のように、母子手帳交付後とは別に妊婦面接を行った妊婦へ育児ギフトのプレゼントをしている自治体が増えてきていますが、尼崎市では行っていません。市内の出産経験があるお母さんたちからは「市が出産を祝ってくれると嬉しい。妊婦相談をしてプレゼントがもらえるのであれば、相談してみようかという気持ちになる。神戸市の「こべっこ ウェルカムプレゼント」のような地場産業も貰える育児ギフトセットをつくってほしい」などご意見もいただいています。

▶こべっこウェルカムプレゼントHP https://kobecco.jp/html/page3.html

本市で渋谷区のような妊婦へのギフトプレゼント実施は費用がかかることなので、難しいですが…市内の企業を募れば、広報でプレゼントをしてくれるところがあるのではないかと個人的には考えています。

〇木のジャングルジム

〇子育て中の保護者の口コミが書かれたみんなでつくろうしぶやMAP

〇S-SAP協定(区内に拠点を置く企業や大学などと区が協議して、地域の社会的課題を解決していくための協定)企業から提供された廃材でつくった子どものおもちゃ。

視察に参加していた他自治体議員からは、尼崎市の取り組み3点について質問をいただきました。

1つ目は、いくしあがあるあまがさき・ひと咲プラザの中に、子育て支援拠点いくしあとユース交流センターがあることです。ユースセンターは学校でも家でもないユース(若者たち、主に中高生)の第3の居場所です。ユースセンターがない自治体は多く、あまがさき・ひと咲プラザ敷地内に子育て支援拠点のいくしあとユースセンターの両方があることがさらに、他市からも注目されています。  

2つ目は、ユース交流センターに、若年層が心とか体のことを相談できる「尼崎ユース保健室」が開設されていることです。あまがさきユース保健室以外にも、子育て応援基金に採択された女将ラボが行う「ヌック」、一般社団法人えんぐらぶが行う「尼崎ユースクリニック」があります。  

3つ目は、尼崎市がこども家庭庁のこどもデータ連携実証事業の検証に係る調査研究の実証事業採択団体に認定され、情報管理の一元化を行っていることです。これにより、個々のこどもや家庭の状況や利用している支援等に関する教育・保健・福祉などの情報・データ分野を超えて連携させることを通じて、個人情報の適正な取扱いを確保しながら、潜在的に支援が必要なこどもや家庭を把握し、プッシュ型・アウトリーチ型の支援につなげる実証事業を実施しています。  

尼崎市にいると他市と比べてできていないことばかりに目がいきますが、尼崎市のあまがさき・ひと咲きプラザを拠点とした、子ども子育て支援の取り組みは、「尼崎モデル」として私自身も市内外に発信していきたいです。  

3点目は、発達に関して、就学前と就学後の連携をスムーズにするための渋谷区 園・学校等訪問支援事業「いんくる」(保育所等訪問支援事業)についてです。

保育所等訪問支援事業は、障がいのある子どもが保育所や学校などで集団生活を送るための支援をおこなう福祉サービスです。この事業は児童福祉法に基づく福祉サービスです。児童発達事業所や放課後等デイサービスに通うように受給者証の申請やケアプラン作成が必要となります。このサービスは、専門知識を持った支援員が保育所や学校、放課後児童クラブ(学童)などの「集団生活の場」に訪問し、子どもの様子を観察し、どのようなことに困っているのか、その原因はなにかを分析します。そして、どうすれば困らなくて済むようになるかを考え、子どもが楽しく快適に過ごせるように支援します。

渋谷区では、区が民間業者に委託して、保育所等訪問支援事業事業を行っています。区が行うことにより、保護者も利用しやすく、訪問される側の施設(保育園・幼稚園学童など)も受け入れやすいと聞きました。

 尼崎市では、渋谷区の「いんくる」事業と同様の取り組みが「施設支援事業」という名称で行われています。 この事業は、発達に不安を抱える子どもを対象に、発達相談支援担当の専門職が学校園や保育所などの施設を訪問し、その子どもにとってより良い環境を整えるための助言等の支援を行っています。「施設支援事業」はその一環で、発達に不安を抱える子どもの支援を行っているものと考えられます。今後も他市の事例を研究し、本事業の認知度拡大に努めていくことが重要だと思われます。



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