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ストロープワッフルに未練たらたらな話

忘れられないお菓子の一つに、オランダのストロープワッフルというものがある。


まずはストロープワッフルというものについて説明しておこう。ストロープワッフルとは、円形のワッフル生地の中にキャラメルを挟んで焼いたお菓子のことである。食感はパリッ!サクッ!としており、日本にあるワッフルとは似ても似つかない。

とは言え、スターバックスにも置いてあるし、カルディや成城石井で購入することも可能なので、食べたことがある方もいらっしゃるかもしれない。

オランダではこのストロープワッフルはスーパーでも売られており、手軽にそして安価に楽しめるスイーツなのだ。


わたしが初めてストロープワッフルに出会ったのは、当時オランダのアムステルダムに住んでいた叔母達に会いに行った時のことだった。

ゴーフルのような見た目のそれをそのまま食べようとすると、「コーヒーカップの上に載せて温めてから食べるんだよ」と小学校に上がったばかりの従姉妹が教えてくれた。

なるほど、温めることで少しトロッとさせたキャラメルソースとサクサクとしたワッフル生地の食べ合わせは絶妙だった。

わたしが気に入ったからか、帰り際に叔母が手土産として持たせてくれたものが、チョコレートでコーティングされたストロープワッフルである。

家に着いてから食べてみてびっくり、チョコレートがかかっているものの方が断然に美味しい。当時わたしは学生としてイギリスに住んでおり、あまり豊かな食生活を送っていなかったからかもしれないが、筆舌に尽くし難い美味しさだった。

一枚一枚を大切に食べていたつもりだったが、ざっと20枚ほど筒状のケースに入れられていたストロープワッフルは三日と持たずに全てわたしの胃袋に収まった。少しえんみも効いており、強いて言うならば味はロイズのチョコレートポテチに似ているかもしれない。


チョコレートがけのストロープワッフル美味しかったなあと思いつつも、そう頻繁にオランダに行けるものでもないし、やや記憶が薄れかけていた頃だった。幸い、再度アムステルダムへ訪れる機会がやってきたのだ。

「またアレを食べることが出来る! 見つけたら二箱、いや三箱は買って帰ろう」とワクワクしながらアムステルダムに降り立ったはいいものの、残念ながらその願いが叶うことはなかったし実は今も叶っていない。

正直なところ、完全にたかをくくっていた。ストロープワッフルがオランダ名物であることは知っていたので、オランダに行きさえすれば簡単に購入できるだろうと思っていたのだ。

しかし意外や意外、ストロープワッフルは確かに至る所で売られていたが、チョコレートがかかっているものは全く見つからなかったのである。


食べられないとなると、尚更チョコレートがけのストロープワッフルへの思慕が募る。もう一度あの、チョコレートでコーティングされたワッフルが食べたい…。ストロープワッフルが食べたいんじゃない、チョコレートで包まれたストロープワッフルが食べたいのだ。

幸運なことに、そんなに日が経たないうちにオランダを再訪する機会が訪れた。今度は滞在していた日数をフルで使い、スーパーや高級食料品店、お菓子屋さんと「チョコレートがかかったストロープワッフル」を探し求めた。

なんとかワッフルの上半分にチョコレートがかかっているものを見つけることが出来たが、わたしが食べたのはワッフル全部がチョコレートに包まれているものである。

何の成果も得られないのはつらすぎるので、しぶしぶそれを購入して帰ったが、やはり叔母から貰ったストロープワッフルには敵わない。全身がチョコレートに包まれているものを求めているので、半身しかチョコレートに浸かっていないワッフルは到底満足のゆくものではなかった。

勿論、オランダに行くことが決まった時に叔母にそれとなく尋ねてみたのだが、哀しいかなどこで購入したのかも覚えていなかった。今思えば、叔母達が住んでいたエリアにある、個人のお菓子屋さんみたいなところで売られていたのかもしれない。


あれから数年経ったが、チョコレートでフルコーティングされたストロープワッフルのことを未だに忘れることが出来ない。もし次オランダに行く機会があれば滞在先や街の人に尋ねまくって何としても手に入れて帰りたいと思う。



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