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タベラレルの塔 《童話・随筆》

【文字数:約1,000文字】

 むかしむかし、あるところにフルーツで作られた「タベラレルの塔」と呼ばれるものがありました。

 ある人がフルーツを1つ食べたら代わりに1つを足して、次の人も同じことをすることで永遠になくならない塔でした。

 しかしあるとき、旅人が言いました。

「これは林檎りんごという果物だな」

 それを聞いた別の旅人が答えます。

「いいや、これはappleアッポウだ」

 すると始めの旅人が怒りだしました。

「アホとは何だ、もしかして私のことをバカにしているのか?」

 あわてた別の旅人が言います。

「だからappleという名前なんだ、神に誓ってバカにしているわけでは──」

 始めの旅人はそれをさえぎり、

「なぜお前は私の髪がしんだことを知っている! やっぱりバカにしているじゃないか! ええい、こんなもの!」

 どなって林檎もしくはappleをつかみ、紙風船みたく握りつぶしてしまいました。

 それを見ていた髪もとい神は大変に悲しみ、人間たちに罰を与えました。

「別の呼び方を否定するのも、食べ物を粗末にしてもイカンぞ」

 そうして1つだった言葉は乱れ、永遠に続くと思われた「タベラレルの塔」も失われたのでした。


 おしまい


(参考:旧約聖書 創世記「バベルの塔」)



 ↑ そんなことを考えながら朝食のときに撮りました。

 さすがに2つはタベラレナイので、1つ食べて全部なくなったら補充しています。

 いつぞやの新聞記事で読んだのですが、20歳以上の日本人の4割は1日の果物摂取量がゼロだとか。

 若いほどその割合は高く、20~40代だと50~60%でゼロらしいです。

 あまり果物を食べないと聞いたことがあったものの、最新の結果では予想よりも高い数値でした。

 とはいえ、そうなる理由も分かる気はします。

 去年は5個入りだったのが今年だと4個になり、お値段そのままとなれば実質25%の値上げです。

 使えるお金の可処分所得が変わらないのであれば、デザートのように捉えられている果物ではなく主菜となる肉や魚、野菜などを買うのが当然なわけで。

 食べ物を粗末にしないのは神も喜ばれるとは思いますが、なんとなく果物を食べていると病気をしにくい気もします。

 コロナにインフルエンザも増加していると聞きますし、急な寒暖差や花粉にストレスなど、犬が歩くと棒に当たるなら人間は病気にかかります。

 朝に聴いているラジオ番組MCの方も1週間以上は休んでいましたから、タベラレルの塔を作りながら体調に気をつけていきたいものですね。



なかまに なりたそうに こちらをみている! なかまにしますか?