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筋肉痛で泣いたとしても

【文字数:約1,000文字】

 週末ツーリングの後は必ずといっていいほど筋肉痛になる。慈悲じひは無い。

 バイクおよび二輪車は生身で運転しているので、走行中は常に風を受けている。

 一般道の限界60km/hは風速16.7m(m/s)に相当し、気象庁による「風の強さと吹き方」というデータ一覧によれば、風に向かって歩けない強さらしい。

 さらに足元ではエンジンが振動を続けており、ひたすらダイエット用の健康器具を使っているようなものだろうか。

 X0年前と比べれば疲れやすくなったし、回復も遅くなった。

 頭のおかしいときは自転車で約100kmを週2回、トレーニングと称して走っていたけれど、きっと今は途中で体力が尽きるだろう。

なぞのこえ「おお りんどんよ ちからつきてしまうとは なさけない!」

 それ自体は加齢によるものだと諦めがつく。

 同時に新しいことに対して消極的になる理由の1つではと考えた。

 仕事に支障が出ないよう抑えるのは必須だし、ケガでもしたら笑われてしまう。なにより新しいことを覚えるのが面倒くさい。

 そうしてやらない理由が増えていき、たぶん減ることはない。

 しかし先日、2つのラジオ番組で同じことを聞いた。

 落語家の林家たい平さんと音楽アーティストの影山ヒロノブさんの話で、共通していたのは興味を持ったことに対して積極的というか、むしろ貪欲な印象を受けた。

 失礼ながら年齢を調べてみると、どちらも高齢者と呼べる60代前後だった。

 彼らよりか若いだけの私が筋肉痛を怖れるとは何事かと、自分を鼓舞こぶしたいとは思わない。

 人それぞれ興味は違うし、体力や性質によって向き不向きもある。

 見習うべきは興味を持ったことに対して積極的であること、その一点に尽きる。

 ところで、林家たい平さんが最近はそう・ことに興味があると話しており、高校の箏曲部を描いた『この音とまれ!』の曲について、熱く詳しく語っていた。

 天が泣くと書いて「天泣てんきゅう」というオリジナル曲で、偶然にも私の好きな曲でもある。

 箏に対して眠たくなる楽器という印象だったのが、これを聴いて完全に目が覚めた。むしろ泣ける。

なぞのこえ「おお りんどんよ ないてしまうとは すばらしい!」

 さすがに箏が欲しくなるまではいかないけれど、何事も触れないまま遠ざけておくのは人生の損失にも成り得ると、御年57歳となった林家たい平さんの弁に頷いたのだった。



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