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ここはトゥルーマン・ショーそのものだよ

小さい頃によく空想しては恐ろしくなったストーリーがある。私以外の世界中の人はみんなグルで、全員が私を騙している。


お母さんは、本物のお母さんじゃなくて、お母さん役の女優さん。小学校の帰り道にバイバイした友達は、道の角を曲がったら、お疲れ様〜と言って本当の家に帰って行くのかも……
そんな事を空想しては、ひとりでビビるというアホなことをしていた。

当時、仲の悪かった姉に、恐る恐るこの空想を話してみた。
冷たい視線と共に「んなわけないじゃん。あんたバカなの?」と言い放たれた。うん、聞く相手を間違えたな。

「いやいや、もしかしたらああやって、私をディスる役なのかも」
と、この空想は永遠に続くのである。

しかしだ、大人になってジム・キャリーの映画トゥルーマン・ショーを見て心底安心した。あぁ、私と同じ事を考えた人が、この世に最低でも1人はいたんだ。私だけじゃなかった。

それから、時を経て今わかる。あの頃、空想していた事はまんざら嘘でもなかったなと。あの映画のように急に扉を開けたらエレベーターの中でお弁当食べてる役者がいたりはしないだろうが。……

私達は、この世界と言う映画の中が本物だと思って生きている。

今見ている世界は、本物のようにしか見えないけど、でも必ずトゥルーマン・ショーのラストシーンのように出口があるのだ。

姉のように99%の人が「んなわけないじゃん」といっても、私は同じ事を言い続ける。

この世界は映画だよって……

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