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あべのでじゃくったれ

2022年9月30日 近鉄アート館 SPACE9
出演:桂雀太、月亭太遊、桂天吾

  1. 天吾「強情灸」(古典)

  2. 雀太「天王寺詣り」(古典)

  3. 太遊「山城ヨチムーランド」(新作)

  4. 雀太「さぎとり」(古典)

天吾さんの「強情灸」。力強い話し方と、登場人物の威勢の良さがマッチしていると感じる。パワフルな掛け合いの中に、ふと五七調(短歌)のリズムがあらわれるのが、印象に残った。短歌の描写と、マクラで話していたシーンがリンクしたのは偶然?もしも意図的であれば、とてもおもしろい仕掛けだと思う。

雀太さんの落語は、ずっと聞いていたい心地よさがある。安定したリズムと巧みな駆け引き、そのどちらもが魅力的で退屈させない。「天王寺詣り」も「さぎとり」も、会場である天王寺周辺での物語。高層ビルが立ち並ぶ現在の天王寺周辺の景色とは異なる、落語の世界の景色を、観客がそれぞれに思い描く。沼地の質感や、鳥に触れる感触など、本当に表現が豊かでおもしろい。

太遊さんの「山城ヨチムーランド」は、登場人物が3人いる。
・語り部のひとり語り
・語り部と聞き手の会話
・聞き手と友人の会話

という3種類の語り/会話が混在するが、観客は混乱することもなく、自然と聞き分けることができる。それぞれの語り口に独自のリズムがあり、誰のセリフなのかが明確だからだろう。その明確さこそが、描かれるシーンの非現実的さを際立たせているように思う。















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