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星屑215 てきとうなはなし

2020年11月3日 2023年2月10日加筆修正
 秋の初めに台風がかすめていった長雨で金木犀は一瞬で散っていったけれど、なんとなく過ごしやすい天気が続いています。抜けるような秋晴れの日、仕事に行かずにどこかに行きたいなと思うものの、そんな余裕も勇気もないのですこし遠回りして出勤しています。全く秋の匂いがしないから、時々季節感が迷子になりますね。
 なんとなく6月くらいから、生活、特に休みの日の過ごし方が変わってきていて、今もどう過ごせばいいか分からなくて途方にくれる日があります。外食をあまりしなくなって、会う友達も固定されていて、あまり代わり映えのしない日々が続く。あれ、去年はなにしてたんだっけ。どこにいってたんだっけ。そうだ、ライブに行ったり野外イベントや美術館に行ったり、単純に飲みに行ったりしていたんだっけ。今はもう、大人数が遊びに行けるようなイベント自体が少なくなってしまったし、飲みに行くのも前よりも一段と誘う人を選ぶようになってしまいました。いつもいっしょにいる人はますます仕事が忙しくなって、こちらから誘うのも申し訳ないくらい手一杯になっているう上に、ギブアップ宣言を静かにされたので見守るしかできません。それでもタイミングが会うときはなるべく一緒にいて、できるだけ近い距離で過ごすようにして、程よい距離感を探しています。
 適当に済ますご飯がどんどん適当になってきていて、これは危ないなと心の片隅で思いながら、まあでもどうでもいいやとコンビニのお総菜とサラダに手を伸ばす頻度が増えている。帰る時間が遅いとごはんをちゃんと作って食べるまでのハードルも高くなります。
 最近担当したエッセイ本に、著者が27歳のときに経験したことが書かれていました。私と同じ年齢の時に、なにをしていてもどこかでエンディングの蛍の光がかかっているような日々の中、ご飯がうまく食べられなくなった時期のこと。音楽が響かなくなった時のこと。著者が過ごしたようなことは経験していない(し、なるべく経験したくないなとも思う)けれど、少しリンクする部分があって、ゲラを読んでいて思わず泣いた。見本が上がって、改稿された文章を読んでまた泣いた。
 絶望の淵に立たされていたり、自分の将来を思って途方に暮れてどうすればいいかわからなくなった時、美味しいものを美味しいと食べれる図太さや、力強さは生きていく上で本当に必要だと思います。そして一緒に過ごしてくれる友人がいることも本当にありがたいことだと思います。当たり前のようにいてくれる存在が、いつでもいてくれるわけではないということを、きちんと心の隅に留めて生きていきたいと思う今日この頃です。


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