見出し画像

どこ吹く風と匂いの記憶。

アメリカに来てもうすぐ2ヶ月が経とうとしている。

旅行ではなく、住むためにやってきた。

どんな経緯で移住したかは今回の記事では割愛するが

アメリカにきてからずーっっと記憶の中にある「匂い」

「香り」を探している。

それはきっと安心したかったり

まだ心と脳が

「果たしてわたしは本当にアメリカにいるのだろうか?」

と現実では認識しながらも、まだ心と身体がその現実を探そうとしている。

から。


10月吉日、1歳の娘と猫を連れてカリフォルニアに降り立った。

(正確にはロサンゼルス空港)

アメリカの地を踏んだのは実に、11年ぶりだった。

空港の外で首を長くして待っていた夫と合流し、

外でまず吸い込む香りはどんなだろう。。

無事入国審査を通過した安堵と夫に再会して

いろんな感情で泣きながも、『下界の香り』に期待が高まる。

扉の先にあったのは、、

超くさい排気ガス、だった。笑

半ばガッカリしながらも

排気ガスは排気ガスでも、

"わたしの知らない香り"

には間違いなかった。


初めてニューヨークを旅した時。

もう15年以上前のことだが、憧れの土地で吸い込むアスファルトと都会の匂い。

アメリカの紙袋やスーパーの袋の匂い。

ビビりながらも何度も乗った、メトロの雑多な匂い。

街行く人々の、結構きつく感じるどこかの香水の香り。

食べたことのない甘いお菓子の香り。

わくわくしながら選んだはじめてアメリカで買うオードトワレ、

アメリカで買う日本にはないデザインの洋服や靴の匂い。

はじめてが散りばめられた新しくてキラキラしている

夢がいっぱいの香りばかりだった。

それらはニューヨークの晩秋を告げる

高層ビルやセントラルパークを抜ける

冷たい風が運んできてくれた記憶。


11年前は、ハワイに留学していた。

今もたまにTVなどでハワイの映像を見ると

懐かしくて切なくて、思い出してきゅんとなる。

涙が出てしまう。

それくらい鮮烈に残っている。


鬱蒼とした、湿気を含んだ風。

それに乗って

どこからかトロピカルなお花の香りがやってくる。

あたたかで心地よくて。

波の音とともにやってくる潮の匂いは

いつも大きく吸い込んで、吐いて…

身体の中を撫でてくれてた。

サンタンオイルやココナッツの香りも

ほぼ毎日学校帰りに通ったビーチでの定番だった。

帰国してからも

瓶に詰めて帰りたいほど好きだったプルメリアのお花は

毎日毎日そこらじゅうにご機嫌に咲いてくれていて

わたしの香りの記憶の奥深くに入ってくれている。


そんな風や匂いを、

どうしてもこのカリフォルニアでも探してしまう。

数日前、娘を連れて近所を散歩していていた時。

画像1

この景色の中に、どこからか吹いてきた風の中に

わたしの記憶の中の"匂い"

はやっぱり無かった。

ちょっと寂しい気がした。

だけど

12月に体験する気候としてはずいぶん暖かく、

乾いていて何となく埃っぽい風は

これから匂いの記憶として

きっとわたしの中に残っていくんだろう。

それが娘にも起きたなら

きっと嬉しいんだろう。


ちなみに…

夕方、よく娘を連れて散歩やら公園やらに出るのだが

どこかのキッチンから漂ってくるご飯の匂いは…

"魚や味噌汁" 笑

ではなくて

やっぱり洋風なシチューとか

スパイシーな匂い。


そりゃそうか。

と妙に納得して歩き出す。

匂いの記憶、ライフジャーニーは続く。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?