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料理物語

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食べ物に関連した物語です。
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あなたを忘れない

あなたを忘れない。 もうどのくらいの時間が私の前を走り去って行ったかわからない。 でもそ…

ああ、君を忘れたくない。

ああ、君を忘れたくない。 だが容赦無くただ過ぎる時間に気を取られる間も無く、 徐々に体温…

カフェイン

夕日が君の顔を切り取るように照らしている。 初めは黒いと思っていた瞳も、斜陽のためか薄ら…

あとがき「君はまだ覚えているだろうか/あなたは忘れてしまったかな」

この物語は、処女作である 「ああ、君を忘れたくない。/あなたを忘れない」のその後の物語です…

あなたは忘れてしまったかな。

確かにそこにいたはず。 朝が迫り暗闇が明けるように次第にその誰かを思い出していく。 最初…

君はまだ覚えているだろうか。

確かにこの手に触れたはずだ。 でも次第に霧がかかったみたいに君の顔も思い出せなくなる。 …

夢現(ゆめうつつ)

パチパチと心地よい音を立てる薪の横に寝そべる君。 虚ろな瞳でこちらを見ていたね。 否、正直なところ どこを見ているかわからなかったのが本心である。 最期に僕を見てくれていたらどんなに幸せだろうと 僕の意識が現実を捻じ曲げたのである。 そう、現実とは無慈悲である。 そう思いながら僕は香ばしい焼き魚と口へと運んだ。

無花果

紅一点、泥中の花、掃き溜めの鶴、高嶺の花、 華があるとは言ったものだ。 みな容姿、雰囲気…

りんご飴2

彼女はどうやら、りんご飴が食べたいらしい。 なんだかんだ夏祭りデートを約束した日からずっ…

りんご飴

「...りんご飴食べたい。」 緊張のあまり、ぼそっとつぶやくように 私から出た言葉とは裏腹に…

乳化

これは僕と彼女がマヨネーズと言う物語を作り上げているお話。 何を言っているかわからないだ…

コーシーフロート

贅沢品なんだから先に食べればあいいじゃないの。 「好物は後からだ。」 と悪意地を張るもの…

プレート

誰しもみな友達やパートナーと過ごしたり 出かけたり趣味を持ったり、 眩しくて手をかざすほ…

着色剤(赤)

赤、紅、朱 見渡せばどこもかしこも赤色である。 紅の豚然り、情熱の赤然り、命を燃やす赤然り。 そう言えば君は、 「私たちの血が赤いのは情熱が宿っている証なんだよ。」と 言っていた気がする。 確かに、 君を思った熱い気持ちも ライバル出現で燃えた日も 君と喧嘩をし怒りに満ちた時も 君に嫉妬した日のジェラシーも 思い返せば全て真っ赤だった。 そして今、君を目の前にして 僕が手に持った真実の愛は一輪の赤い薔薇であるし、 君の頬は赤く染まるし、 血は繋がっていないけど、