見出し画像

長女の嫁ぎ先

長女は、私をはるかに超えるユニークな子に育ったので、果たして将来この子はお嫁に行けるんだろうか?と、ずっと気がかりだった。

しかし、そんな親の心配をよそに、3年前に無事結婚。
今では2児の母として育児に追われながら、ちゃんと仕事もこなしている。

娘は、家事全般が決して得意ではない。
結婚の際、私は母親としてその点が一番気にかかっていたので、お婿さんに聞いてみた。
「お料理とかお掃除とか、この子、ちゃんとできないと思うんだけど
それって大丈夫?」
すると、彼は「あー。それは全然大丈夫ですよ。自分がやるんで。」
と優しく笑った。

母となった今では、さすがの娘も少しは家事が出来るようになって来たようだが、それでもやはり台所の主はお婿さん、かな。

娘は、作ることは苦手だが、食べることが大好きで、食に対するこだわりと追及は半端ではない。

そんな娘には、美味しいものを美味しく食べる、という特技がある。
美味しい!と感じた瞬間のリアクションがとにかく良い。
食卓を囲んでいる人が思わず笑顔になってしまうほど、幸せいっぱいの顔をするのだ。
もっともっと美味しいものを作って食べさせたい!と思わせるような不思議な力がある。

お婿さん曰く「自分の料理を食べて、美味しい!って言ってくれた人はいるけど、お皿を持ったまま踊ったのは彼女が初めてです。」

踊ったのか…それは見たことがないぞ。(-_-)

どうやら、彼もまた、娘のリアクション見たさにお料理を作ってしまっているようだ。
彼は、学生の頃、外食チェーンで店長として働いていた経験があるらしく、元々お料理が好きだという。
「少しも苦にしてませんから。」と言ってくれるお婿さん。
何ともありがたい。


しかし、ココでふと気になったのは近くに住むお姑さんの存在。
息子夫婦はそれで良くても、嫁姑となればそれはまた別の問題だろうし。

ところが…
「家事でも育児でも、どちらか手の空いた方がすれば良いし、料理なんて美味しく作れる人がやれば良いんだから~」
と、お姑さん。

聞けば、かつて嫁として嫌と言うほど苦労してきたので、自分が姑の立場になった時は、決して同じことを繰り返さないようにと心に決めていたらしい。

お姑さんは、アート系の知識や、もの創りの技術にたけた人で、ファッションに対してとても熱いものを持った人。

娘は、嫁姑の関係ではなく一人の女性として惹かれ、何か自分に出来ることはないかと考えた。
そして、一眼レフでお姑さんのファッションを撮り、SNSに上げることを思いついた。
嫁姑の程よい距離感、ファッショナブルな姑と、それを発信し続ける嫁のちょっと不思議で面白い関係がメディアの興味を引いたようで、
最近では、テレビ、新聞、雑誌などで取り上げられることも増えてきている。
先行き、写真集や個展をやろうという計画もあるようだ。

ん…ちょっぴり妬ける…良いなあ~

自分が個人レベルで楽しんでいるものを、お嫁さんが世の中にアピールしてくれて沢山の人の目に留まるようになる…
私がお姑さんだったら、きっと嬉しくてたまらないだろうなー。
思わずギュってハグしちゃうかも。


妻だから、嫁だから、家事をするのは当たり前。
ではなくて、「出来る人がやれば良い」という考え方が徹底してて、何だか気持ちが良い。
苦手なこと、出来ないことに対して、ただ攻撃するだけじゃ何も解決しない。

良い関係性を築いていくのってそう簡単じゃないけど、互いの良さを認めあうこと、発想の転換を図ることが少しでも意識の中にあれば、結果は自ずと変わって来るような気がする。


結婚は、当人同士の事だけじゃなく親兄弟、親戚まで関係してくるものだけど、長女に関してはひとまず肩の荷を下ろしても良さそうだ。

私自身、嫁姑戦争で結構な痛手を負った過去がある。
娘の今の生活を見るにつけ、良かったねーほんとに…と、嬉しさでいっぱいになる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?