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広島ヘイト街宣へのカウンター - 2019年12月22日(日)/広島県広島市

2019年12月22日(日)、広島県広島市中区(本通交差点・洋服の青山前)で行なわれた差別扇動団体「日本第一党」の街宣に対するカウンターの記録


【動画】

2019.12.22広島ヘイト街宣へのカウンター(6分30秒)


【写真】

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 この日のカウンターは広島県警察との衝突から始まった。警察が言うには「ここにいてはいけない」らしく、高圧的に移動を迫ってきたが、特に根拠が示されることはなかった。
 広島市では市内中心部で定期的にヘイト街宣が行われていて、差別に反対する人々が集まって抗議をしてきた。これまでカウンターは、警察によって無理やり横断歩道を挟んだ反対側のドコモショップ前の歩道に押しやられていた。しかし今回は警察の干渉にも負けず、レイシストの目の前で抗議を行った。


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 日本第一党は、党首をはじめとしたメンバーに逮捕者や有罪判決を受けた者が複数いるという、実際に他者に危害を加える可能性がある危険な極右排外主義者集団だ。ヘイトスピーチが違法となった今も公の場で差別行為を繰り返していることからも、要注意なグループであることは明らかであろう。
 広島県警察は、違法行為であるヘイトスピーチを放置し続けるばかりか乱暴に振る舞う日本第一党には好き勝手にさせ、非暴力な抗議に徹しているカウンターの前には複数の警官を配置し行動の自由を阻害していた。警察が本当に対峙しなければならないのはどちらなのか、(既に遅すぎるが)真剣に考え直すべきだろう。


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警察法
第二条2 警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。


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 降り出した冷たい雨のおかげか、いつもより近くにいたカウンターから発せられた罵声の効果なのか、レイシスト達は早めに街宣を切り上げて姿を消した。かつて雨が降っていても長時間の街宣を行った例もあるので、もしかしたらカウンターの勝利と言っていいのかもしれない。


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 機動隊に囲まれ公安警備に叱られながらレイシストを叱りつけたり、自身がレイシストの口撃の対象になったり、街宣の最前線だけがカウンターではない。
 直接的なカウンターを行う裏で、街ゆく人々への周知を行なっていた人の存在も忘れてはいけない。今回のカウンターを呼びかけた「C.R.A.C. Okayama,Hiroshima」が用意したフライヤーが現場で配布されていた。広島市内でも一番人通りのあると言ってもいい場所で、目の前にヘイトスピーチの見本があったので、受け取ってくれる人は多かった。

 禁止規定や罰則がないとは言っても、ヘイトスピーチ対策法(解消法)では「許されない行為」と明確に宣言されている。差別煽動集団を手厚く警護し、差別に反対する市民を不当に押さえ込んだ広島県警察は自らが差別に加担していることを認識し悔い改めるべきだ。


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HIROSHIMA AGAINST RACISM !!!


【警察装備品コラム002:服装の違いは所属の違い】

 その警察署の管轄区域内で警察活動を行うのは、そこを管轄している警察署に所属している警察官だ。しかし、これは基本であって、実際の現場には所轄署員以外の警察官がいることがある。特にデモや街宣などの社会運動や政治活動の場には必ずと言っていいほど、管外の警察官の姿が見られる。 
 今回の街宣では、所属の違う3つのグループが警備を行っていた。それぞれの所属と服装の特徴を記しておくので、この記事の掲載写真を見返してみてほしい。

広島中央警察署 警備課(私服)
[私服+黒色メッシュベスト+略帽+白色腕章]
 当該地を管轄している所轄署の警察官で、警備の実務を担っていた。指揮官は警部。
 服装はカジュアルな服に略帽(紺色で白線入りの帽子)を着用。ローカルメイドの「POLICE」メッシュベストを着用し、左腕には小さく「中央」と書かれた「警察」腕章を着装。

広島県警察本部 警備部(スーツ)
[スーツ+略帽+白色腕章]
 県警本部からやってきた警備部の警察官で、どこの課員なのかは聞けなかったので不明だが警備課だろうか。現場は警備部の警部が主導権を握っていたように見えた。あるいは、所轄署の警察官は現場の警備が主な任務で、警備部は日本第一党やカウンターへの対応が主な任務だったので、単にそう見えただけかもしれない。
 服装は全員スーツを着用。左腕には何も書かれていない「警察」腕章を着装し、略帽を着用。警備部員は服装の統一がなされていなくて、腕章だけの者もいれば略帽だけの者もいた。

 私服に略帽をかぶっている警察官の姿は、家宅捜索などの報道で目にしたことがある方もいるかもしれないが、ほとんど西日本でしか見られない地域限定スタイルだ。
 本来、略帽は警備出動に従事する機動隊などが着用する出動服(作業服)用の帽子だ。制服の運用としてはイレギュラーだが、折りたたんで携行でき便利なので西日本の私服警察官に使用され続けてきたのだろう。警察官だと分からせたい時、ポケットやカバンに入れておいた略帽を取り出してかぶればいいので使い勝手は良さそうだ。
 しかし、このスタイルは近いうちに見られなくなってしまう。2018年に新型出動服の運用が開始され、略帽も現在の舟形から丸ワイド型(要するに野球帽)へとデザインが一新された。この新型の略帽は順次導入されてきているそうなので、今の味のある略帽シルエットは数年で消え、やがて西日本の私服警察官は野球の審判みたいになってしまう。

中国四国管区機動隊 広島中央警察署特別警ら隊(制服)
[活動服+活動帽+白ヘルメット+緑色腕章+警備靴]
 制服を着ているので警備の主役かと思いきや、実のところサポートメンバーだったりする。所轄署員でも県警本部でもないけど、所轄署に在籍しているレアキャラな管区機動隊員で、通称「特ら隊」。下の写真の「中央特ら隊」は、「広島中央警察署に配置された特別警ら隊」を意味している。

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 「特別警ら隊」というのは、「事件、事故等が多発し、または特殊な警察対象がある都市部を管轄する警察署」に配置されている管区機動隊員だ。そもそも管区機動隊という存在があまり知られていないと思うので、軽く触れておく。
 簡単に説明するのは難しいが、普段は都心部の警察署や警察本部に勤務していて、サミットなどの大規模警備や大災害が発生した時に自治体という枠を越えて広く任務を行う警察官だ。広島県警察の場合、中国四国管区警察局に所属していて、鳥取、島根、岡山、山口、徳島、香川、愛媛、高知の各県警察内で編成された管区機動隊が連合編成を行い、中国四国管区機動隊として活動を行う。
 管区機動隊(略称:管機)について分かりやすく説明してある公的な文書を以下に掲載しておくので、興味があったら目を通して頂きたい。

令和元年警察白書(第1部 特集 第4節 図表特2-7 機動隊の概要)
管区機動隊
平常時には、地域、刑事、交通等の勤務につきながら、機動隊に準じた形で警備訓練を行い、大規模警備等においては府県を越えて広域運用される部隊

管区機動隊の編成等に関する規則
第三条一 治安警備活動および災害警備活動ならびに道府県警察本部長が必要と認めて命ずるその他の警察活動を行なうこと。
 二 他の都道府県公安委員会の援助の要求により派遣され、当該都道府県公安委員会の管理の下に、当該都道府県警察の管轄区域において警察活動を行なうこと。

香川県警察警備実施規則
第13条2 管区機動隊は、警備実施の中核部隊として治安警備、災害警備、雑踏警備等に当たるとともに、中国四国管区機動隊としての編成計画に基づき、他の都道府県公安委員会の援助の要求に応じて、その管理の下に、当該都道府県の管轄区域において警察活動に当たるものとする。

栃木県警察管区機動隊の運用について
2 隊員の配置
 隊員は、警備部警備第二課、地域部機動警察隊、刑事部機動捜査隊(以下、「関係所属」という。)に配置し、中隊長、中隊長伝令を警備第二課、第1小隊、第2小隊を機動警察隊、第3小隊、第4小隊を機動警察隊に配置するものとする。

 服装は活動服にヘルメットを着用。左腕には「管区機動隊」腕章を着装し、手には赤い誘導棒(通称:ニンジン)。拳銃の携帯はなし。ヘルメットの下に中帽としてかぶっている活動帽の階級章を確認すると隊長は警部だった。

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 警察の装備は都道府県警察によって微妙に違っていたりする。警察の制服や装備品は全国で統一されているわけではなく、その組織、その部隊で統一されていればいいようだ。
 広島県警察で特徴的な装備品は、警備出動隊員に貸与される「警備靴」があげられると思う。掲載写真の中で制服の警察官の足元を見てみるとオレンジ色のリフレクター付きの編上靴を履いているのがわかるはずだ。
 ここまで特徴な製品だと特定が可能で、アシックスの警察・消防向けの安全靴『ウィンジョブ RG2』とすぐに判明した。サイドファスナーが外側についていて着脱が楽そうだし、デザインも悪くない。広島県警察の警備靴はいけてると思う。

 今回のコラムのタイトル通り、服装の違いは所属の違いであることがほとんどなので、現場の警察官をよく観察してみてほしい。

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