皆さまからたくさんのご参加をいただき、無事受付期間を終了した洋楽レコーディング風景PVアンケート。
洋楽レコーディング風景のプロモーションビデオだけを集めて鑑賞してちょっと考察するブログ企画なのですが、

最終回の今回は私が選びました。今回はこちらの作品です。

File#58 Whitney Houston「Saving All My Love For You」(1985年)

オリジナルは1978年にMarilyn McCoo と Billy Davis Jr.のために書かれたものでしたが、Whitney Houstonのデビューアルバムのセカンドシングルとなったのが本作でした。
PVはWhitney Houstonがプロモーションで訪れていたイギリスにて撮影されました。もう既にご存知の方も多いようにこの曲は不倫を描いたものですが、PVでも妻のいるプロデューサーとの恋、つまり不倫模様を描いていますね。しかし、そんな設定を忘れてしまうくらいのWhitneyのとびきりスマイルから、デビュー当時のフレッシュさを感じるのは私だけでしょうか。
”新人歌手のレコーディング風景”という演出によって、「実力派・Whitney」というイメージを打ち出すことができていたのではないかなと推測しました。

まとめ

改めまして、今回の企画にご参加いただいた皆様ありがとうございました！いくつかレコーディング風景PVと判断するのが難しい楽曲への投票もあったので、泣く泣くご紹介できなかったご回答もありました。せっかくご参加いただいたのに大変申し訳なかったのですが、ご容赦いただけますと幸いです。

さて、今回のアンケートのまとめをしていきましょう！

今回の年代別の割合

各年代別の割合は以下の通りです。1980年代が最も多かったのですが、1970年代もなかなか健闘していますね。
1960年代：3%（2曲）
1970年代：28%（16曲）
1980年代：35%（20曲）
1990年代：10%（6曲）
2000年代：10%（6曲）
2010年代：2%（1曲）
2020年代：12%（7曲）

最も投票のあった曲

最も投票のあった曲はBand Aidの「Do They Know It's Christmas?」（３票）（本文中はお二人の方からのコメントを載せています。）、

そして、Eaglesの「I Can't Tell You Why」（3票）でした！

最も古い曲

今回最も古かったのは1968年リリース、The Beatles「Lady Madonna」となりました！

最も紹介されたアーティスト

今回58曲の内、最も紹介されたのはEagles（合計4曲）でした！

アーティストのデビューから何年でレコーディング風景PV楽曲がリリースされたか

最後にこの企画を通して一つ気になっていたことがあります。それはそのアーティストがデビューしてから何年目でレコーディング風景PVを制作したのか、という点です。
アーティストがレコーディング風景の映像をプロモーションとして使うにはある程度の理由があるはずです。そして、レコーディング風景PVの多くはデビューから一定の期間を経ることで作られるようになるのではないか、という仮説を考えるようになりました。

例えば、以下のような制作動機が挙げられるのではないでしょうか。
・デビュー当初の広く一般に受けるようなPV制作期を経て、ファンを獲得した後に、ファンを喜ばせるようなオフショット的PVとしてレコーディング風景PVを作った。
・デビューより一定期間アイドル路線で売っていたが、実力あるアーティストのイメージを付けたいためレコーディング風景PVを作った。
・既に売れているので、凝ったPVを作らなくてもプロモーションが可能になった。

これは私の考えに過ぎませんが、概ねこのような仮説を立てることは可能なのではないかと思います。
今回エントリーのあった楽曲より、そのレコーディング風景PV楽曲がアーティストのデビューから何年目にリリースされたのかを年代別にまとめてみました。またデュエットソングの場合は、各アーティストごとに、デビューから何年目の楽曲だったのかを集計しました。

（Band AidやUSA For Africaのような大物が一同に会するチャリティー企画では、それぞれのアーティストが忙しい合間を縫ってレコーディングに来られるタイミングで撮影しようとしたことが、レコーディング風景PVを制作するに至った最も大きな理由の一つかと思います。そのため以上の仮説には当てはまらないと考え、大勢で歌うチャリティーソングを抜いて集計することにしました。）

デビューからレコーディング風景PV楽曲がリリースされるまでの年代別平均値

1960年代：6.5年
1970年代：8.8年
1980年代：12.3年
1990年代：6.25年
2000年代：12.3年
2010年代：34年
2020年代：27.6年
（全年代の平均値：13.4年）

2010年代と2020年代はTony Benettがしっかり平均値を上げたのでしょう。非常に大きな数になりました。今回のアンケートで回答数の多かった年代である1980年代及び1970年代を見てみると、それぞれ12.3年、8.8年とあることから、デビューから10年前後でリリースされているというのが分かります。

ちなみに、デビューから０年目で作られたレコーディング風景PVはChampaign、Eddie Murphy、Whitney Houston、Osmond Boys、Aaliyah、Ashlee Simpson、OneRepublicの7組。デビューから1年目だったのはBlueでした。
これらデビューからまだ日が浅いアーティストがレコーディング風景PVを作る理由としては、「実力派のアーティスト」であることをアピールしたいというアーティスト側、もしくは制作側の意図があるのではないかと推測します。

以上、長きに渡って続けてきたレコーディング風景PV企画はいかがでしたでしょうか。
本当にたくさんの方からご参加をいただき、全部で50曲以上の楽曲を再認識し、また出会うきっかけとなりました。ご協力いただいた皆様には厚く感謝申し上げます。
改めまして本当にありがとうございました！