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過去の記憶 双極性障害の鎖 ①

父の記憶
父は高学歴で、男前。英語と中国語が堪能で、貿易商では通訳もできるサラリーマンだった。真面目で頭がよくかっこいい父。自慢の父は、精神的に不安定で、転職を繰り返し、鬱になると、私たちは暴力を受ける事もあった。躾は非常に厳しく、すぐに怒るので瞬間湯沸かし器の様だった。途中、中国貿易で洋酒を取り扱い、仕事のためにアルコール度数の高い酒を飲んだ事を機に、アルコール依存症になり、気が狂った父に刃物を向けられる事があった。母が呼んだ警察に連れて行かれ、私たち姉妹は無事だった。現在ならば、父は逮捕されていただろう。その後、両親は離婚するが2年後に再会し、通い婚状態となり、晩年に再婚する。父は繊細なプライドの高人だった。精神疾患であろうとも、私にとっては、たった1人の父親で、父が亡くなって20年になので、もう全てが思い出になっている。双極性障害でも、人それぞれ症状が異なり、真面目な父は浮気も借金も無く、妻も娘も、家族だけが生き甲斐だったが、病魔に取り憑かれている時は、悪魔の形相だった。私はそう理解している。父は悪くない。むしろ、きちんと治療を受けさせず、死去後も父の事を「なまけ病」と言っている母にも問題があると思う。

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