ゴミの日。

「初めまして」 
真っ赤に塗られた唇が少し上がった(気がした)。
深く被った帽子から見えるくりっとした目。
か細い手足と胸下まで伸びた綺麗な黒髪。
人見知りの彼女と人見知りの僕との出会い。

2人が仲良くなるのに時間はそうかからなかった。
共通の友人を通して友達になった僕たちは似た物同士。
考え方も好きな色も好きなアーティストでさえ一緒。
携帯の機種も人の運転で酔っちゃうなんて所も全部。

同じタイミングで同じ音楽を聴いてた時もある。
「この曲はね…」と曲に思い出をのせて語る彼女が愛おしくて愛らしかった。
「私、女の人とお付き合いした方が幸せかもしれない」
今思えばセクシュアルも一緒だったのかもしれない。と半分僕の願望が入った思考。
女だとか男だとか関係なく1人の人間として、友達として彼女の事が好きだった。
「結婚する?」冗談で僕は彼女にそう言った。
「もちろんです」どうやら彼女はノリがいい。
本気で「結婚する?」と伝えたら君は困るのかな。
第一僕たちの結婚は世間が許してくれない。

彼女と出会って約半年。
カラオケに行ったり、ご飯を食べに行ったり。
花火も一緒にしたし、紅葉狩りもしたし、イルミネーションだって一緒に行った。誕生日だってお祝いした。
年末には目の前で年賀状を書く彼女。
「普通」かもしれない。「普通」の「友達」
でも僕の中で彼女は友達以上に大きい存在だった。

「あなたに出会えて良かった」
彼女は嘘偽りなくそう僕に言った。
「僕もだよ、出会ってくれてありがとう」
僕も嘘偽りなく彼女にそう言った。
「これからもずっとよろしくね」
2人でそう言い合ったあの日から一年半。

「ねぇ今日君の住んでる街は燃えるゴミの日?素敵な歌だから是非聴いてみて」
そのメッセージを読んだ時僕が聴いてたのはその曲。

「今ちょうど聴いてたよ、そう、燃えるゴミの日、ちゃんと捨ててきたよ」 

「以心伝心だね!いつかライブ行きたいな…」

あなたは笑っていますか。
今日は「燃えるゴミの日」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?