りる

会社員をしながらシナリオライター・webライターとして活動しています。 シナリオ・セン…

りる

会社員をしながらシナリオライター・webライターとして活動しています。 シナリオ・センター通信本科在籍。元福祉職員。リラクゼーションセラピスト。ストーリーテリングも学んでいます。 夢はたくさんの人が夢中になれる物語をつくること。 自作小説なども投稿しています!

最近の記事

空想ばかりしていた元いじめられっ子が物語を届けるシナリオライターになった話

きっかけは友人の一言 「お話を考えるのが好きなら脚本家になったら?」 私がシナリオライターを目指し始めたきっかけは、友人の一言でした。劇団員の彼女にとって「物語を考える身近な職業」が脚本家だったのだと思います。 私はもともと、工場で働くただの貧乏OLでした。今は副業でYouTubeのシナリオライターをしています。現実を忘れて没頭できる物語を、多くの人にお届けするのが、私の夢です。 子どもの頃、物語の世界が私の居場所でした。 学校ではいじめられ、家では両親が喧嘩をしてい

    • 【小説】本命だから

      僕が生まれて初めてもらった本命チョコ。 それは幼稚園の時、同じひまわり組のマリちゃんとユリちゃんが競うようにしてくれたものだ。 幼稚園バスから降り、お母さん達と合流したあとのことだった。 その後二人はどちらが僕の第一夫人になるを競い合ったが、最終的に二人の間には友情が芽生え「どちらも第一夫人になる」という結論で平和的解決を迎えた。 どこにでもある微笑ましい話だ。 それはそれで大切な思い出の一つではあるけれど、バレンタインデーが近づくと僕はどうしても、ある人のことを思い出

      • 『笑顔の似合う人』(小説)

        ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 電車が遠ざかる音に振り返った啓介は、懐かしい風景に、自分が目的地と反対の改札から出てしまったことに気が付いた。 引き返そうとして、ふと思い立って腕時計を見る。 約束の十時まで、まだ時間があった。 啓介は、通いなれていた道を真っ直ぐに歩き始めた。 持参した花束が少し邪魔だった。 舗装された道路の植え込みに、紫陽花が咲いている。 昨日降った雨の雫が、葉の上で朝の陽ざしに反射して、きらきらと輝いていた。 「ほー

        • 『大事なもの』(小説)

          琉花は慎重な子どもだった。 遠足の前は、持ち物や、朝起きる時間などを詳細に記載した、自作のしおりを欠かすことなく用意していた。 琉花は頭のいい子どもでもあった。 寝坊をした場合のAプラン、みそ汁が熱すぎた場合のBプラン、お父さんのトイレが長すぎた場合のCプランなど、不測の事態に備えて最低三つは計画を練っていた。 琉花には理恵という親友がいた。 琉花は彼女に何でも打ち明けていた。 少し恥ずかしい話も、少しだけ憧れている男の子のことも、クラスの女子のちょっとした悪口も

        空想ばかりしていた元いじめられっ子が物語を届けるシナリオライターになった話

          『正しい道』(小説)

          ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 『正しい道』 なぜかいつも正しい場所にたどり着く。私はそういう子どもだった。 何を選んでも、どこで迷っても、最後には正しい道を選んでいる。 それは、大人になった今でも変わっていない。 小学生の頃、グループ学習の班行動で置いて行かれたことがある。 夏の日差しが強い日だった。 公園のトイレで手を洗うついでにハンカチを濡らして外に出たら、そこにはもう誰もいなかった。 私は彼らをたいして探そうともせず、班行動で配

          『正しい道』(小説)