感動!ある企業のお客様対応

1.ドローンのおもちゃ(直径12cmの大きさ)

ある方から、数年前にドローンのおもちゃを頂きました。その頂いたドローンのおもちゃを、私はすぐには開封せず、仕舞っておいたのです。興味はあっても、その時は飛ばしてみようという気が起らなかったのだと思います。

そのまま、ドローンのおもちゃのことは忘れてしまっていました。ある時、探し物をしていて、そのドローンのおもちゃを見つけ、一度飛ばしてみようという思いになったのです。

取扱説明書を読むのが嫌いで、どんなものに限らず、私はほとんどの場合、それを読まずに使い始めます。それで失敗することもあるのですが、失敗したときに、仕方なく読むという感じです。

今回もそうでした。まずは本体を組み立てて、リモコンで操作をしました。全く反応がありません。電池は新しく取り替えたのに、なぜ反応しないかと、リモコンのいろんなボタンを押しても、全く動きません。

この段階で、取説を読み始めました。細かいことが数々書いてあります。もっと簡単に動くように、「初めからセッティングして売ればいいのに」と、せっかちなもう一人の私がつぶやき始めています。

取説を読みながら、指定された操作をしてボタンを押すと、勢いよくモーターが回り始めました。「オー、動きだした。」次の操作で上昇するはずと思いきや、おもちゃのドローンは地を這うように床を走っていきました。

最初はこんなものと、動いたことを良しとして、4度操作を繰り返しました。でも、全く上昇しない。再度、取説を読み返しましたが、操作方法は間違っていないと思われます。

気を取り直して、3度チャレンジしましたが、上昇しませんでした。「おもちゃのドローンは、所詮この程度なのかな」と思いましたが、これを下さった方は、おもちゃと言えども、上昇もしないドローンなら、下さらないはずであろうから、「私の操作の仕方に、どこかまずいところがあるに違いない。」と思ったのです。

2.メーカーに問い合わせ

そこで、箱の中にあったユーザー相談室に電話をして、教えてもらうことにしました。電話をすると、女性のオペレーターがすぐに応答してくれました。まず最初に、操作をしてもドローンが上昇しないことや、床を這うように走ることを伝えますと、製品番号を教えてくださいと言われ、それを伝えますと、

「いつ頃、買われたものですか?」

「いいえ、買ったものではなく、顧客から、プレゼントされたものです。いつプレゼントされたかよく覚えていませんが、箱から出して、使ったのは今日が初めてで、ドローンの扱いに慣れていませんから、きっと私の操作方法が悪いのだろうと思い、操作方法を教えて頂こうと思って電話しました。」

「原因は、モーターが弱いからだと思われます。実は、この製品は数年前に製造中止になっていまして、モーターの交換予備はございません。」

「では、どうすることもできないのですね。私が長らく放っておいたのが悪かったのでしょうね。わかりました。私はクレームを付けようと思って電話をしたわけではありませんから、了解です。」

3.この対応、すごくない?

「お客様が初めて今日ご使用されたことを信じます。そのドローンとは別商品ですが、今売っている商品を送らせて頂きます。送る前には、商品がきちんと作動することを確かめるように致しますので、いったん商品を箱から出してもよろしいでしょうか?」

「はい、そうして頂ければありがたいです。私の手元にあるものは、そちらに送った方がいいでしょうか?」

「いいえ、それは処分して下さって結構です。では、恐れ入りますが、住所とお名前をお聞かせください。」と言われ、住所氏名を伝えました。

予想外の展開になりました。でも、私はこの時、「本当に送ってくれるのかな」と、半信半疑でした。クレーマーみたいに思われて、住所氏名を伝えたのは、「ちょっと恥ずかしいことだったかな」と思いました。

それから3日後、本当に新バージョンのドローンのおもちゃが届きました。早速箱を開けてみると、前の物よりいいものであることがわかります。前の物にはなかった撮影用カメラ付きです。

今回は、まず取説を読んで、操作をしてみました。「オー、空中に上昇」、ホバリング成功です。スピード調整もでき、上下にも左右にも、自分の操作通りとまではいかなくても、動いてくれます。空中での安定感もあります。最後には壁に激突させて、落下しましたが、期待以上の商品です。

私は、「この会社はすごいな」と思いました。何がすごいかと言いますと、一担当者であるオペレーターに、商品の取替え権限を与えていることです。普通なら、商品交換をする場合は、「上司と相談して対応を検討します。」とか、「後程こちらから連絡させて頂きます。」と言って、上司なりの責任者に判断を仰いでもおかしくないと思うのですが、私の言ったことを信じてくれ、「お取替します。」と、即答してくれたことです。また、「手元にある商品を送り返してください。」と、確かめることもされませんでした。こちらが呆気にとられるくらいです。

顧客優先とか、顧客満足度を高めたいとか、顧客第一主義をうたっている企業はたくさんありますが、それは建前で、自社の利益優先という企業がほとんどと思っていましたから、この企業は本物と思いました。

この会社が売っているもので、気に入ったものがあれば、私はここで購入しようと思いました。和合実

頂いたサポートは、利他のために使わせて頂きます。