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脱進化の真実 The Truth About De-evolution



随分と間があいてしまいました。

そうかぁ『パイナップル・ツアーズ』公開からもう30年も経っちゃったんですねえ。
自主映画の経験もほとんどなかったのに、なんだか面白そうだからって首を突っ込んでみたら、毎日毎日想像もつかない事が巻き起こりまくりでした。
「思い出すのもツライ」とは、俺よりもヨーリーや監督たちのセリフでしょうが。とは言え、当時のスタッフが顔を合わすと、何年経っても思い出話が尽きないんですよね。なんだかんだでその時の縁がいまだに続いているってのは不思議な感じがします。

さて、それまで何となく沖縄文化的な物から距離を取ってきた自分でしたが、数ヶ月離島に閉じこもって「沖縄」の映画に参加するとなると、自動的に「沖縄」に触れないわけにはいかないですよね。
「へぇ、この壁は”ひんぷん”というのか。え?魔除け?なるほどー」という、ほとんど初めて沖縄に来た観光客のような状態から、徐々に馴染んでいって、気がつけば近所の家の縁側で、当たり前のようにお茶を飲んでいるという状況に。
あ、そういえばやちむんが歌った「花のひんぷん」も、この伊是名島で見た光景が元になってましたね。

結局、沖縄から距離は取ってたつもりでも、意外に簡単に馴染める程度には自分の中に沖縄的な何かがあったってことなんでしょうねえ。

そこで留まっていれば「ああ、俺もやっぱりウチナーンチュだったんだなぁ」で済んだんでしょうが、島に来た当初はシャツのボタンを一番上まで留めて、(キチンと靴下も装備して)革靴を履いていたのに、現場のドタバタでいつの間にかTシャツ一枚、ヒゲも剃らず、靴下もどこかに行っちゃって、裸足のまま革靴のかかとを踏みつぶしながら歩き回るという、現代人から段々退化した猿人に向かっていったような……。
Yes,We are DEVO!

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そうそう、ボートピープルが島に来た時、野次馬に行ったスタッフから「ヨシミよりイイ服着てたよ!」何てことも言われたなぁ。
履いてたジーンズもボロボロと言うより、前から見たら肌の面積の方が広かったですもんね。しかも尻ポケットにはマジックででかでかと「アス」って書いてたし。(シリアス。笑)

撮影後、僕が島を出たのが確か11月になっていたと記憶します。夏に島に入ったので、さすがに風が冷たくなった季節に着るような服は持っておらず、ジーンズも半分裸のような状態。しかたなく撮影衣装の富士菊ちょうちんグループの法被を着て原付で家に帰ったことを思い出します。

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あれから30年かけて、再び現代人の感覚を取り戻しつつあるところですが、首里劇場でハヤシ監督のやちむん結成30周年記念映画『一生売れない心の準備はできてるか』を見て、さらに今度は『パイナップル・ツアーズ デジタルリマスター版』。この勢いでもう一度僕は退化したあの頃に戻ってしまうんでしょうか。

それもまた楽し。


沖縄よりヨシミでした。
ではまた。
2022/02/16

あ、そうだ。せっかくだから30周年を記念して『パイナップル・ツアーズ』のサントラ出せばいいのになあ。もちろん「スギモト・ブルース」も収録で。笑

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