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学び直しで人生を豊かに! 十河 翔さん〜モトヤフインタビュー〜

※本インタビューは2023年11月3日に行われたもので、発言や記載内容はその当時の状況のものとなります。なお旧ヤフージャパンからLINEヤフーに合流された方々でモトヤフ会に今回参加された方々にもインタビューを受けて頂いており、その第一号として今回LINEヤフーの十河さんに東京大学本郷キャンパス内の福武ホールでお話を伺いました。十河さんは現在、東京大学・情報学環の大学院・学際情報学府にも在籍されています。

-まず最初に、お名前をフルネームで教えてください。

十河 翔 (そごう しょう)です。

-珍しいお名前ですが、いわれとかはありますか?

戦国時代に活躍し、地元一帯を治めていた十河という戦国武将がおり、十河氏の苗字はそれに由来しております。

-お生まれはどちらですか、またどちらにお住まいですか。

瀬戸内のうどん県(香川)生まれで、大学進学を機に東京にきてから、都内に住んでおります。職住近接や周辺の散策が好きで、これまでの会社に縁のあった、青山・赤坂・六本木周辺に生息してきました。

-これまでのプロフィールをご紹介ください。

卒業した高校は一応、その地域きっての進学校と言われており、地元で国家公務員や地方公務員、また大手金融機関や大企業の支社で銀行員や安定した会社員になるというのが理想的な?パターンで、医者や弁護士などの難関資格を目指す、家業を継ぐといった前提で大学に進学する人たちも多かったです。

でも自分は、まずは東京に出たいというのと、自分だけにしかできないクリエイティブな進路を模索しながら、情報や文化の発信基地である東京でメディア関連の仕事に就きたいと思っていました。

その当時は、今のようなインターネットやスマートフォンに代表されるデジタルテクノロジーが、これほどまでに興隆しておらず、東京と地方の間には、様々な情報格差や機会の格差があったと思っております。

例えば、自分が好きだったMr.Childrenやスピッツ、サザンオールスターズなどのアーティストも、東京や大阪などの大都市ではライブコンサートを開催してくれるものの、地方ではその楽しみに触れられる機会が少ないという、ファンとしてのもどかしさをよく感じておりました。

東京に居たかったので、早期から選考の始まる、在京キー局のアナウンサー試験を皮切りに、幅広く就職活動を行い、縁のあったエンターテインメント企業のエイベックス(avex)に、新卒入社しました。そして、インターネット企業のヤフー(Yahoo! JAPAN)に転職しました。

職歴と併行して学び直しも行なっており、エイベックスからヤフーに転職する前の2年間は、慶応大学の大学院(メディアデザイン研究科)で学びました。

その後、ヤフー入社後の2016年から2年間は、早稲田大学の大学院(経営管理研究科:MBA)に学びました。そして、今年の4月からは、東京大学の大学院に在学しており、3つ目の大学院で学んでいることになります。

-東京大学で学ぶことになったきっかけを教えて下さい。

東京大学では、学際情報学府という大学院に在学しています。もともと、大学卒業時に就職をするタイミングで、大学院進学には興味がありました。特に、こちらの学際情報学府は、その頃から行きたかった場所でした。

しかし、就職氷河期?の中でも縁あって内定したことや、「学校は何歳になっても逃げない。社会人経験を積んでからでも遅くはない。」という気持ちから、いったん社会に出る道を選びました。

2020年にコロナ禍になり、世の中や社会情勢、働き方など、自身を取り巻く様々な状況が、どんどん変わっていく中で、このコロナ禍が落ち着いた時、自らも努力によって何かしら「アップデート」出来ていたらという漠然とした思いもありました。

林香里・田中東子「ジェンダーで学ぶメディア論」世界思想社 2023.3.20

そのような中、かねてより興味のあった、こちらの大学院の斬新で独創的な理念や、指導教授を始めとする先生方の研究テーマに惹かれ、昨年の夏に社会人として受験し、現在に至ります。インターネットに代表されるデジタル時代のジェンダー領域で、新時代に即した研究テーマに取り組んでおります。

学び舎の情報学環・福武ホール。安藤忠雄氏の設計、100メートルの長い「考える壁」が印象的。社会との対話や新しい研究を創造していく場所

教室は本郷キャンパスの中にあり、インタビューをお受けしているこの情報学環・福武ホールは、東京大学創立130年を記念し、社会との対話から学び、新しい研究を創造していくための場として福武總一郎氏による寄付に基づき、安藤忠雄氏の設計によって建築されました。

京都の三十三間堂をモチーフにした趣ある建物で、100メートルの長い「考える壁」に沿って歩くと、とても落ち着ける場所です。

また、学内のお気に入りの場所である、130万冊が所蔵される総合図書館は、量・質ともに日本最大・最高の図書館です。本が並んでいて背表紙に見えるようなデザインが特徴的で、内田祥三氏の「内田ゴシック」と呼ばれる建物です。

130万冊を所蔵する図書館。「内田ゴシック」と呼ばれる建造物で、本が並んでいて背表紙に見えるような特徴的なデザイン

-慶応・早稲田の大学院でそれぞれ学ばれた内容も教えてください。

慶応大学大学院・メディアデザイン研究科では「『超』少子高齢化時代を切り拓くメディアソリューション」という修士論文を執筆し、メディア・ITが高齢者コミュニケーションエンターテイメントの「双方向性」と「能動性」に繋がることの証明を試みました。高齢者をテーマとして取り上げたのは、身内の介護の機会が発生したことがきっかけでした。

早稲田大学大学院・経営管理研究科では「新しい働き方が現場の生産性にもたらす影響 〜Yahoo! JAPAN の『働き方改革』を出発点に<場所>の観点から〜」という修士論文を執筆し、新しい働き方が現場の生産性に良い影響をもたらすことの証明を試みました。

-各世代で大学院で学び直しをされてきたことになるのですね。

まず、最初から3つの大学院で学ぶことを意図していたわけではなかったんです。結果として、自分の中で仕事に関連して理論的にも極めたいという興味から学び直しをしてきたら、気がついたら3つ目の大学院で学んでいたということなんですよね。蓋を開けてみれば、大学(院)の入学式には「学生」として4回も出席することになりました。笑

でも、慶応と早稲田の大学院では、産官学を跨ぐような研究テーマに取り組み、実務寄りの環境だったのですが、現在の東京大学の大学院は、純粋にアカデミックに寄り添い、強い研究志向に基づく教育機関だと実感しております。

今までは実務で経験していること自体を研究テーマにしてきた傾向がありましたが、東京大学ではアカデミックな理論に照らし合わせながら、興味や経験を演繹(えんえき)化して形にしていくことが、キャリアチェンジを前提としたものではない、大学院で学ぶ意義なのだと、日々感じています。

李美淑・小島慶子・治部れんげ・白河桃子・田中東子・浜田敬子・林香里・山本恵子「いいね!ボタンを押す前に」亜紀書房 2023.2.1

-これからも新たな分野を目指しての大学院での研究や、他にも学びの機会を求めたいと思っておられますか。

自分の中では、この東京大学の大学院での学びの機会を一つの区切りと考えていて、その成果を活かしつつ、これまで出来てなかった部分などを充実させていきたいと思っています。そのような過程の中で、探究心が芽生えれば、新たな研究や学びの文脈も生まれるかも知れません。

-ところでヤフー・ジャパンの入社時期はいつでしたか?

2012年です。エイベックス退職後に、慶応大学大学院で学んだ後に入社しました。そして現在に至ります。

-ヤフー・ジャパンに入ったきっかけは何でしたか?

大学院在学中に東日本大震災が発生し、その時、グーグルが行方不明者を捜索するサイトを立ち上げるなど、いち早く動いていたことなどを傍目に見て、インターネットの社会貢献性などを感じました。

ちょうどその頃は、スマートフォンやSNSの爆発的な普及期でもあり、これまで関わってきたエンターテインメントでも、デジタルを通じて、ますます可能性が拡がるのではないか、とも思いました。

-ヤフー・ジャパンでのこれまでのお仕事はどんな内容でしたか?

広くメディアやコンテンツの領域に関わり、動画配信事業や自治体向けのサービスに関わっていました。これまでの主な職種としては、パートナー開拓業務や企業・自治体との交渉に携わっていました。

-ヤフー・ジャパンでのエピソードやトピックはありますか?

ちょうど入社するタイミングで、宮坂さん(現・東京都副知事)への社長交代があり、入社研修の時に、大きな会社の変革があると聞かされたことは、印象的な出来事でした。

また、東京ミッドタウンから、アークヒルズサウスタワーや紀尾井町ガーデンテラスへの移転など、物理的な移動を多く経験できたことも、良い思い出となっております。

-ヤフーの良さというものはありますか?

良くも悪くも「国民的」であるということでしょうか。『サザエさん』みたいな、ある種の安心感や、日本のメディアにおける象徴性なのかも知れません。
先進的な働き方を、いち早く導入してきたということは大きいと思います。サバティカル休暇などを活用することで、私自身も貴重な経験ができたと感じています。

-ご家族以外で尊敬している方がおられたら教えて下さい。

家族以外ですか・・(難しいですね。)笑 

創造性を基に文化を築いてきた方々は、シンプルに尊敬しますね。
誰も真似できないようなスポーツ人生を歩んでいて、文化だけでなく概念をも変えている、大谷翔平選手(野球/MLB)、久保建英選手(サッカー/スペイン)や

現代アートの芸術家である、ミシェル・バスキア、キース・ヘリング、アンディー・ウォーホル、バンクシー、草間彌生、インターネットやiPhoneで文化を創った、ラリー・ペイジ&セルゲイ・ブリン(Google創業者)、スティーブ・ジョブズ(Apple創業者)、

あと、古いですが、森鴎外(作家)、菊池寛と三原脩でしょうか。菊池寛と三原脩は高校の先輩でもあり、菊池寛は作家で『文藝春秋』の創立に関わり、自由な言論や芸術の促進に貢献し、三原脩はプロ野球の監督として「三原マジック」と呼ばれる独特の采配で、「神様・仏様・稲尾様」のフレーズを生みました。今春のWBC野球の世界大会では、栗山英樹監督にも影響を与えたと言われています。

そういえば、東京大学の大学院に入学したことを、母や祖母など家族が喜んでくれたことが、とても嬉しかったです。欲を言えば、教育者として、長らく教育界に貢献してきた亡き父にも伝えたかったなと、折に触れて、そう感じてます。

-ご趣味は何ですか?

エンターテインメント鑑賞や、好きな街を散策して、流行りの場所に行ったり、美味しいものを食べたりすることでしょうか。

特に、コロナ禍になってからは、1日1万歩を目標に歩くことを習慣づけています。また、オンライン英会話を始めて、海外の人と話したりするのも楽しいですね。

-ライフワークやこれからチャレンジしたいことは何ですか?

 様々な意味で、これまでの人生でまだ経験していないことを、実行していきたいと思っております。ただ、きちんと何かを決めて行うというよりは、偶発性を大切にしながら歩んでいければと考えています。あと、かねてより、100歳まで元気で長生きしたいと考えており、それが目標ですね。

-モトヤフやnote読者に伝えたいメッセージをお願いします。

好きな言葉に「知・好・楽・遊」というものがあり、ただ知ることよりも好きになること、好きになることから更に楽しくなること、そして究極的には遊びの感覚で出来ると最高!というニュアンスです。

昨今、リスキリングや学び直しが、世の中的にも注目されて話題になっていますが、自分が興味のあることや、仕事と無関係なことでも始めてみること、突き詰めていくことで、人生が豊かになるような新たな気づきや、愉しみを見つけることができるのかも知れません。

-十河さん、本日は大変ありがとうございました!

(本日のLINEヤフー十河さんへのインタビューは川村英樹が担当しました)

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