花の名は Ⅲ

気の早い山桜は、昨日の風と雨に早々と花を散らせてしまいました。

そんな中、今日も、そして1ヶ月先も、姿を変えない植物があります。うつむきがちの容姿とスモーキーな色合いが魅力のクリスマスローズ。しかし、いつも咲くのはクリスマスではなく、春の始まり。今回は、そんなクリスマスローズの名前についてあらためて調べてみることにしました。

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クリスマスローズ、別名ヘレボルス(学名: Helleborus)もしくはヘレボラス。なんだかとても強そうな名前です。

古くはクリスマスのころに開花するヘレボルス種のニゲル属だけを指して「クリスマスローズ」と呼んでいたそうですが、日本では、春先に開花するヘレボルス種の他の属性のものもまとめて「クリスマスローズ」という呼称が広まっている、とのこと。
「ス」が折り重なる心地よい語感と、どこかロマンティックなイメージが想起されるのが、この名前が広まった一因でもあるのでしょうか。(名前から受けるイメージって大きいですよね。)
「ローズ」はもちろん、「ばら」に形が似ているから、ということですが、クリスマスローズはバラ科ではなくキンポウゲ科なのだそうです。植物の名前には時々こういった、全く違うけれど似ているものの名前がつけられていたりして面白いです。
和名では「初雪起こし」ともいうそうで、茶花にも使用されるとのこと。こちらの名前も雅ですね。

いつだったか届いた喪中の葉書に「故人が大切に育てていたクリスマスローズが今年も咲きました。」という言葉が、小さな花の絵とともに添えられていました。お会いしたことはない方ですが、ほんのりと温度を感じた一瞬でした。

クリスマスには咲かない、ばらでもない、華やかな春の中で、少し恥ずかしそうに咲く、この植物。花びらに見えるものは萼なのですが、この萼がだんだんと色褪せていく様もなかなか乙なもの。見かけたら、みなさんもそっと覗き込んでみてください。

数年前に道端で見かけたクリスマスローズの後ろ姿。

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雨がよく似合います。

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