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ドラゴンと食パンサンドイッチ。


ひと月ほど学校に行けなくなった事がある。夢を諦め、都落ちしたいい大人。自分に出来る事を探し直そうと選んだ学校だった。

臥せって臥せって、ある日の事、唐突に「高円寺の大家さんに会いに行こう」九州から新幹線に飛び乗った。(なんで急に…)金の心配をしつつ、ごんごん後ろに田舎町が飛んでいく。胸が高鳴った。

連なる山の尾根尾根はまるで並走するドラゴンの背。私は途中からずっと通路に出て、抜きつ抜かれつ、光る鱗の持ち主と北北西の魔女の話や≪漫画はもう描かねぇの?≫「わからない」そんな話をした。

≪good luck≫不意にドラゴンが空に向かって離れていった。目の前には関東平野。「またね」と小さく手を振った。

「まぁあ!201号室のコ!」大家さんは驚きながらも招き入れ、その辺にあった食パンでサンドイッチを作ってくれた。嬉しそうに笑いながら「どうしてまた…」私は少し考えて「わからない」心がスッと軽くなった。