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Women in Agile Tokyo 2024に参加しました

2月に都内で開催されたWomen in Agile Tokyo 2024に参加しました。
今年も印象的な内容がいくつもあったので、紹介したいと思います。

(2024年3月24日 10:31の投稿記事を誤って削除してしまったため、再投稿です。)

https://www.wiajapan.org/

当日は雪❄️

少し遅れてオープニングに参加したので、スポンサーや幹事の方々のコメントをいくつか逃してしまいました。

今回も男性の参加は4割くらいの印象でした。全体の参加者はKeyNoteの時に見渡すと70人程度と思われました。午後から参加者された方もいらしたようで、クロージングの時はもう少し増えていました。
参加者の年齢や性別が偏っているイベントは、テーマや立場(特にマイノリティ側)によっては独特の緊張感を感じることもありますが、今回も良いバランスだったと感じます。
Womenというタイトルで、男性も多く参加するこのバランスを実現した事務局のみなさまと、呼応した参加者の誠意と勇気はすごくステキだと、今回も感心し、感謝の気持ちが湧いてきます。

KeyNote : 日本体育大学 伊藤雅充先生

習慣化やしくみ化の大切さや多様性の確保と対話を重視した取りくみなど、スクラムコーチングにも通じる話が多くありました。

手書きメモ by RK

アクティブラーニングから行動変様につなげる

印象的だったのは、トップコーチを育てるための考え方です。
従来の座学偏重な学びではなく、アクティブラーニングを取り入れ、更にその学びを行動変様につなげるところまでを目指しているということです。そのためには、場とタスクの設定が大切とも話されていました。
学んだときは「やるぞ!」と思っていても、次の日に職場や家庭のような日常に戻ると続かないというような経験は誰しもあると思います。習慣化するまで場とタスクを用意するのは本当に大切ですし、実践的でもあります。
スクラムの場合は、スクラムイベントを通じて場とタスク設定をして行動変様につなげていますね。

多様性とパフォーマンス

アスリート人ロの男女比はほぼ1対1なのにもかかわらず、コーチの男女比は1対1にはなっていません。ライセンス取得状況では、女性コーチ比率は20%で、トップライセンスを保有するコーチになると8%程度にまで低下するそうです。男女比だけ見てもこの偏りがある状態になっているため、コーチの多様性が確保できているとは言いがたいのではないかということです。
アスリートもコーチも人間なので相性はあるでしょうし、アスリート自身がその時の自分たちに合うコーチを選ぶことができれば、より良いパフォーマンスにつながることが期待できるというのは、納得感がありました。
女性比率を上げることに対して、女性に下駄を履かせるのかと否定的に論じられることが多い点について、伊藤先生のコメントが視点としておもしろく感じたので紹介したいと思います。男性は成長過程で既に下駄を履かされている状態にあるかもしれないということも考えるべきじゃないかということです。例えば、小学校で男女のクラス代表が選ばれたときに、暗黙的に男子が議長で女子が記録係になっているとか、女子が発言するとかわいくないと言われるとか、いろいろ。そのような細かいことが、男性の発言力を高める方向に作用しているかもしれないと。

誰かのために誰かを犠牲にしない

自己犠牲は美化されることも多いのですが、誰かに犠牲を強いるしくみはサステナブルじゃないのは確かです。
アスリートもコーチも、もちろん、誰かの子だったり誰かの親だったりしますし、家族もいたりします。日本では特に社会的に性別や年齢などによるロールが暗黙的に求められていることも多く、意識的・無意識的に犠牲を強いられるシーンもあることから、アンコンシャスバイアスから生まれる障壁をまずはコンシャスにしていき、ひとつひとつ解決していくことも必要そうです。

Structured Improvisation(構造化された即興)

Structured Improvisationとは、即興演奏や創作に構造(制約条件)を与えることで、参加者に自由な表現を促し、創造性を刺激する技法です。
スポーツのポジションや、監督・コーチなどのロールはあっても、完全な楽譜やシナリオに添う試合状況はありませんし、日常のトレーニングも然りです。トップアスリートではない私たちも、いつもstructured improvisationやunstructured improvisationをこなして過ごしているのかもしれません。
Structured improvisationは、特に、スクラムイベントを通じてイテレーティブに開発していくスクラム開発手法そのものでもあると感じました。

ランチタイム

みんな大好きランチタイムは、今半のすきやき弁当❤️
お弁当を持って、お隣の参加者の方と一緒に、伊藤先生のところにお邪魔しました🎵
快くOKいただき、伊藤先生を囲んでのランチになりました。ご講演の内容やこれからの構想にも話が及び、あっという間の時間でした。先生のお子さんもアスリートで、お子さんがオーストラリアのコーチの指導を受けた際の話も興味深いものでした。ワンショットずつふりかえりを行うことで飛躍的に正確さが上がり、試合運びの戦略性が高まったそうです。緻密なふりかえり、大切ですね。
学校の部活動や体育教育を変えていくことで、社会全体のスポーツ文化をより良くしていきたいというお言葉にも、わくわくしました。
私自身はスポーツは苦手意識が強いのですが、子どもたちは運動部でがんばっていますし、体育教育についての先生の取り組み、応援したい気持ちです。

Open Space Technology(OST)

午後からはOpen Space Technology(OST)でのディスカッションを実施しました。
OSTというのは、参加者がテーマを立て、テーマごとに小グループに分かれて議論するというもの。10程度のテーブル ✕ 4−5ラウンドほど実施しました。

テーマはかなり多岐に渡っていました。

  • 講演内容ふりかえり

  • チームビルド・対話・育成・コーチング

  • 多様な働き方

  • ジェンダーイクオリティ・ハラスメント   などなど

私が参加したのは、人財育成、講演内容ふりかえり、副業・プロボノなど、5ラウンド。いろいろな視点のいろいろな考え方を聴きあい語りあい、かなり深い議論が進むテーブルも。夕方にはかなりぐったりしていましたが、充実した時間でした。
午前中の伊藤先生のお話にもあったように、私たちはそれぞれのバイアスや思い込みで自らの決断を効率化しているところがあります。OSTでは、対話によって、そのバイアスや思い込みにみんなで気がついて、目から鱗が落ちるような瞬問がたくさんありました。
あるテーブルで、とあるバイアスや思い込みによる苦しさを、「呪い」とうまく表現された方がいました。どうやってその「呪い」を解けば良いのだろうと話したところ、「呪い」を増やしてしまえばイイ!という逆説的な提起がありました。アンコンシャスバイアスで、もやもやしているより、コンシャスにして増やしてしまった方が呪いの効力(呪力?)が確かに弱まりそうです。解かなくてイイんだ! と思うと、なんだか気が楽になった気がしました。

さいごに

基調講演やライトニングトークにも、日々のスクラム開発にフィードバックできそうなポイントがいくつもありました。そして、ここ数年、集まって対話する機会に乏しくて、本当に前回のWiA Tokyoから一年ぶりに多くの方々と対話できました。学びと気づきの多い時間でした。ありがとうございました。

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