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ステレオ仕様のトランスボックスを自作しました。600Ω:600Ω(途中経過の写真いっぱい)

TAMURA製ライントランス GA81720がペアで手に入ったので、2ch 仕様のトランスボックスを自作しました。

業務用放送機器から取り外したというタムラのトランス。配線は切り落とし状態。重い。
完成したトランスボックス

600Ω:600Ω。これは、通して音色の変化を愉しむ系のトランスではなく、中継現場などで役立つアイソレーション用、縁切りトランスですね。グランドリフトを両chに付けたので、ハムノイズの除去にも活用できます。

マイクもラインも受けられます。重量1.3kg。ずしんと重いです。これで、PAさんに「卓アウトください」とお願いすることができます。

半日くらいで作ったのですが、途中経過の写真撮ったので、工程をざーっと載せてみますね。


トランスとアルミケースを入手

オークションを見ていると、お目当てのTAMURA アウトプットトランス GA81720がペアで出品されていたので入札したところ、入札1件で落札。

それなら、前から考えてたトランスボックスを自作しようと思い、ちょうどよい大きさのアルミケースをと探すと、鈴蘭堂の自作用アルミケースの未使用品が出てたので、これも入札すると入札1件で落札。ほどなくして材料が揃いました。

左が鈴蘭堂の小型ケース。もう製造終了していて入手不可能品。トランスは子どもの拳くらいの大きさがあります。

これに、家にあったノイトリック製XLRタイプ レセプタクルコネクターとトグルスイッチを加えて早速作っていきます。

材料はこれで全部です

回路

今回作るトランスボックスは、オーディオの用途ではなく、中継現場やスタジオ等での使用を前提にした2入力2出力のバランスラインレベル・アイソレーター。

グランドリフトスイッチも付けて、グランドループを起因とするハムおよびバズノイズの除去にも活用できます。極性反転スイッチは今回はつけませんでした。回路は以下。

パーツ配置と穴あけ位置を決める

入出力端子とグランドリフトスイッチを取り付けるために、ケースに穴をあける必要があります。各パーツを置いてみて、なんとなくあたりをつけます。

グランドリフトスイッチを入力側出力側、どっちにつけようかなぁ
トランスとケースのサイズがバッチリ

パーツの配置が決まったら、アルミ板にマスキングテープを貼って、穴あけ位置を書いて行きます。

黄色いのがマスキングテープ

穴あけプランが固まりました。

鉄に穴をあける下準備

いざ、ケース加工(穴あけ)です。私の守備範囲は木工なので、鉄工はあまり得意ではないのですが、アルミの穴あけくらいは頑張ります。

ドリルでの穴あけの前に、下準備としてポンチを打っていきます。

センターポンチにはハンマーで叩くタイプとバネの力を利用して叩くタイプの2種類がある

センターポンチとは、鉄板等に穴をあけるときに、中心がズレないようにくぼみをつける工具です。先端が尖っており、ハンマーで叩いてくぼみを作ります。

わかりにくいが、穴あけ位置に小さなくぼみがついている

3mmネジ用のタップ加工

ノイトリック製レセプタクルコネクターはM3ネジで固定する必要がありますので、ネジ穴にタップ加工を施します。

3mmネジ(M3×0.5)は最小寸法が2.459mmなので、ねじ切り用の下穴ドリル径は2.5mmでよいのですが、私は以前から2.4mmのドリル刃を使っています。「◯.4(テンヨン)」mmの刃はホームセンターでは売ってないので通販で買います。

右端がタップ
2.4mmの穴をあけていきます

正確な垂直穴あけのため、本当はボール盤が欲しいのですが、20年間思い続けてまだ実現していません。

小さい径の穴あけ完了

本日のハイライト、24mm径の大穴をあける

鉄の中では柔らかいアルミとはいえ、大きな穴をあけるにはパワーが要ります。

XLRコネクターの穴径はΦ24mmで、ドリルであけるには大きすぎるので、ホールソーを使います。

昔買って使い続けている24mmのホールソーです。

これこそボール盤が欲しいのですが、頑張って手作業で穴あけします。

なんとか全部の穴をあけることができました。

仮組み

ケースに穴があくと、俄然完成形が見えてきます。

パーツを仮止めしてあんばいを確認します。かなりいい感じ。

完成形が見えた!(まだ配線はしていない)

24mmの穴あけも、わりとうまくいったようです。

いよいよ配線していきます。

配線して完成、動作チェック

あとは頑張って配線です。電線の取回し、不具合が出たときのメンテ性も考えて、少し余裕のある長さで配線していきます。

トランスの替えがないので、失敗しないように落ち着いて配線します。程なくして完成しました。

さっきの写真と同じですが、内部配線も済んでいます
背面(出力側)です。スイッチ類がないのでスッキリ

組み上がったので音声を通して動作テストをします。無事音も出て、歪やノイズもなくほっとしました。

デコってみました(フォトギャラリー)

これで完成でいいのですが、世界に一つだけのトランスボックスということで、デコってみました。

こちらインプット側。グランドリフトスイッチが付いています

一応「白金ピアノスタジオ」ということで。。。

アウトプット側です。

+4dBラインレベル信号の入力も問題なしです。

もう開ける必要もないのですが、ルーフをオープンして記念撮影。

かっこいい♡

洒落で、裏面にラベルを貼っておきました。

トランスボックスコレクション。右上はエクセレントオンキョー製で、それ以外はハンドメイド品です。

音質の検証

今回作ったトランスボックスは、トランスの細かいスペックがわからないのですが、いくつかのパターンで音声を通してみて、音質の確認をしました。

マイクレベルを通すのは何の問題もなく、Pro Tools用のオーディオインターフェイス(最大出力レベル +22dBu)から+4dBラインレベル信号を入れても、歪は感じません。

トランスを通した音、バイパスした音などを録音して聴き比べましたが、現場でマスターに通して使って問題ないと思いました。

Pro Toolsに録音して音質の検証

これで、PAさんに「卓アウトください」とお願いすることができます。

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