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ゾウさん、ゾウさん、お部屋がくさいのね

※お下品な表現が多数使われています。閲覧の際はご注意ください。




昨年8月、札幌市円山動物園で一頭のゾウが誕生した。
このゾウは後に「タオ」と名付けられ、今や同園のアイドル的存在となっていることと思う。眉間にしわを寄せて「土屋タオです!」とモノマネする人がいるとかいないとか。

ところで、ゾウのお世話というのはかなり大変である。動物のお世話は総じて大変だが、ことゾウに関しては実際にやってみると本当に大変だった。


小学6年の夏休み、地元の公民館事業で動物園(円山ではない)の飼育体験というものがあった。
元々動物好きな僕は、お知らせのプリントを見た瞬間に「行きたい!」と思った。動物園で動物のお世話をするなんて、なかなか体験できないことだ。
親子での参加だったので、母と一緒に参加することになった。

当日の朝、開園前の動物園にやってきた。他の参加者が数組いたが同級生はおらず、全員知らない年下の(それも見た感じ低学年の)子ばかりだ。まぁ、僕の背丈は当時130cm未満だったので、うまいこと場に馴染んでいたとは思うが。うん、身長の話はやめよう。

はじめに園長が話をした後、参加者はそれぞれ担当する動物のもとへ向かった。無論、アルロン親子の担当はゾウだ。ゾウ舎に辿り着き、飼育員さんの指示に従って作業を開始する。
僕に与えられた任務は、ゾウ舎内の清掃だった。任務了解、作戦を開始する!


しかし、開始早々、僕は出鼻をくじかれた。

なにがきついって、においだよ、におい。
ご想像のとおり、ゾウ舎はうんこまみれ。ゾウ舎に至る前からくさい。もう、本当に、うんこくさい。任務開始前からもう鼻がやられている。

うん、このうんこのにおいはヤバい。もはやゾウ舎なのかうんこ舎なのかわからなくなるほど、当たり一面にゾウの糞が散らばっている。

自分から行きたいと言い出したくせに、もう帰りたい。なんだって貴重な小学校最後の夏休みに、うんこにまみれなければならんのだ。

しかし、小学生とはいえ、課せられた仕事を全うしないのは社会の掟に反する。真面目な僕に、投げ出してトンズラするという選択肢はなかった。そもそも、母の車で来ているから一人で帰れないし。

うんこ臭に悪戦苦闘しながらも、ホースで水を撒き、デッキブラシで床をゴシゴシこする。

なお、この飼育体験には地元テレビ局の取材クルーが来ていた。
作業風景を撮影しながら、インタビュアーが参加者にいろいろ質問をしている。
僕も、まさにうんこくさいゾウ舎内をゴシゴシしているときに、飼育体験の感想を求められた。そんなん答えは決まってんだろ。「気持ち悪いです」だよ!(当然このコメントは放送されずカットされた)

それでも、作業を進めていくうちにうんこ臭が気にならなくなり、終盤はもだえることもなくなっていた。


なんやかんやですべての作業が終わった。ゾウ舎を出ると、お客さんがちらほら見える。
家に帰る前に、母と一緒にソフトクリームを食べた。くうう、一仕事した後のソフトクリームは格別に美味いぜ!
親子水入らずの時間もそこそこに、僕らは帰路に就いた。

家に帰るや否や、母が風呂を沸かし始めた。簡単な作業とはいえ、なかなかの重労働。全身汗だくでビッチョビチョだ。風邪を引かないようにしなくては。
母が「先に入りな」と一番風呂を譲ってくれたので、お言葉に甘えることにした。

風呂から上がると、ちょうど外出していた姉が帰ってきた。
しかし、その第一声は「ただいま」ではなかった。


「くっさっっっっっ!!!!!」


僕と母は、自分たちの体がうんこ臭になっていたことに気づかなかった。完全に鼻がうんこ臭に慣れていたのだ。汗もそうだが、まずこのうんこ臭をなんとかすべきだった。

姉目線で考えると、帰宅したら家がうんこくさいのだから、たまったものではないだろう。全然うんことは無縁の午前を過ごしていたのに、帰ってきたら家中うんこ臭。想像しただけでしんどい。姉よ、すまぬ。

このように、ゾウのお世話は本っっっっっ当に大変なので、僕は動物園の飼育員さんには頭が上がらないのである。


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