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ベートーヴェン交響曲第9番を歌として鑑賞する

毎週視聴しているEテレ「らららクラシック」で、視聴者のアンケート集計による”好きなベートーヴェンベスト10”の発表をしていた。
一位はやはり、交響曲第9番であった。

そこでゲストの方のコメントが印象に残った。曰く「歌詞の内容からしても、今年こそ第九を聴くべきだと思います」と。
そうか、第九には歌詞があるのだ。そんな基本的なことに今さらながら気づかされた。

もともと第九はベートーヴェンがシラーの詩に感銘を受けて、それに曲をつけるというところがきっかけになっているという。
ということで、改めてこの歌詞を読んでみた。(なお出典はWikipedia)

歓喜よ、神々の麗しき霊感よ
天上楽園の乙女よ
我々は火のように酔いしれて
崇高なる者(歓喜)よ、汝の聖所に入る

汝が魔力は再び結び合わせる
時流が強く切り離したものを
すべての人々は兄弟となる
汝の柔らかな翼が留まる所で

ここがいわゆるサビの部分。特に二段目の「結び合わせる」という点が、今年の状況にふさわしいということなのだ。

この後も歌詞は続くが、第九は一言で言えば、「喜べ、善人も悪人も神の御許で一つとなれるのだ、神にひれ伏せ」ということ。
神かどうかは置いたとしても、何か統合のシンボルになりうるのが、この第九なのだ。
先に紹介した動画も、東西ドイツが統合した際の祝祭での演奏。
また、ナチスドイツのプロパガンダにも利用されたとも言われる。
こういう危機的な状況下では特に救済的な言説には気を付けなければいけない。

意図せずそういう業を背負わされている第九、虚心坦懐に鑑賞し、静かに今年を振り返るのは悪くはないだろう。

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