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幽霊坂の標識の謎に迫る (東京都港区)

夏といえば幽霊の話が付き物だが、東京にも「幽霊坂」という坂が存在する。しかも、その入り口に設置されている標識は「謎」がたくさんあるのである。この記事では、そんな「謎」標識について解説する。


幽霊坂とは

場所: 東京都港区三田4丁目
幽霊坂の入口

幽霊坂とは、東京都港区三田4丁目に位置し、国道1号線沿いに登り口があり南東方向に伸びる約250mの坂のことである。

登り口には碑が立っている。

写真: 坂の登り口にある「幽霊坂」の碑

坂の名前の正確な由来は不明であるが、碑には幽霊坂の由来が記されている。

坂の両側に寺院が並びものさびしい坂であるためこの名がついたらしい

事実、幽霊坂の並びには8つの寺院が並んでいる。ちなみに、「幽霊坂」という坂は東京でも他に7つ以上あるらしい。そのため、この坂は「三田の幽霊坂」とも呼ばれるようだ。

幽霊坂にある謎標識

幽霊坂の登り口には、以下のような標識が道の右側にある。

場所: 東京都港区三田4丁目
幽霊坂の入口にある謎標識

本標識自体は何の変哲もない「(325の3)普通自転車等及び歩行者等専用」であり、補助標識もスクールゾーンを思わせるものである。(ちなみに、東京都ではスクールゾーンには最近は「(325の4)歩行者等専用」と「自転車を除く」補助標識の組み合わせが使われる)

ただし、その下に「(505-A)始まり」(道路の右側なので左矢印)と、「(503-C)車両の種類」が合わせて設置されている。この組み合わせは他では見ないものであり、まさに「気味が悪い」組み合わせである。

坂を登っていき、最初の├形交差点に差し掛かると、再び「(325の3)普通自転車等及び歩行者等専用」と補助標識、そして「(505-C)終わり」が、今度は道路の左側の電柱に設置されている。

場所: 東京都港区三田4丁目
幽霊坂の最初の├形交差点

周辺の交通を調べてみた

最初の├形交差点近辺までの交通規制を調べてみると以下の図のようになる。この付近には、気持ち悪い標識が2つ存在する。

「普通自転車等及び歩行者等専用」の終わりが気持ち悪い

まず、気になるのが「普通自転車等及び歩行者等専用」の区間の始まり/終わり標識だろう。「普通自転車等及び歩行者等専用」の規制自体は地点規制にも区間規制にもなるため、区間を表す標識を補助標識に伴うことは規制上はおかしくない。

しかし、スクールゾーンに使われる「普通自転車等及び歩行者等専用」の標識は、通常はスクールゾーンの入り口に区間補助標識無で置かれるため、今回のケースは他では見ない設置方法である。

「一方通行」の標識の適用区間が分かりにくい

また、├形交差点を従道路側から見ると、右への「一方通行」の標識が見える。一見、左の坂の下の方からずっと一方通行であり、この交差点では右折しかできないように見える。

場所: 東京都港区三田4丁目
最初の├形交差点を従道路側から見た時
写真: 右への「一方通行」標識

しかし、東京都の標識に詳しい人なら気づくだろう。東京都では「一方通行」標識は、規制区間の開始位置にしか使われない。もし、この├形交差点が一方通行規制区間の途中ならば、従道路に以下の標識が設置される。

また、坂の登り口には一方通行の標識は見当たらない。そのため、この交差点は左折もすることができ、左側の道路は交互通行であると考えるのが妥当である。

本当はどのような意図なのか?

幽霊坂は、国道1号の登り口から、坂を登りきって聖坂で終わるまでの間に2つの交差点がある。概観すると以下のようになっている。

図: 幽霊坂の周りの通行規制

ここで微妙に気になるのは、これらの細い路地は「最大積載量3t以上の貨物車等通行止め」や「スクールゾーン」「一方通行 (自転車を除く)」の規制が一様にかかっているのではなく、かかっているところといないところがあることである。スクールゾーンの午後の規制時間帯が微妙に異なる (幽霊坂は14-16時、もう一つは14-15時) ことだ。これらは統一してほしいものである。(幽霊坂はシールで何度か訂正しているようなので、単純な訂正間違えかもしれないが)

これらの標識から、実際に導かれる規制を道路上にプロットしてみた。車両の進める方向、貨物車通行止め規制、スクールゾーン規制の3つである。

これをもとに、おかしな標識の添削をしてみる。赤い点線で囲ったところを修正する必要がある。幽霊坂の登り口については、「普通自転車等及び歩行者等専用」の区間標識は取り、「(503-C)車両の種類」の本標識である「(305の2) 特定の最大積載量以上の貨物車等通行止め」を設置する。


図: 正しい標識の配置

坂を上った最初の├形交差点にある「普通自転車等及び歩行者等専用」標識は、実は反対向きの設置が正しいだろう。従道路を左折する車両に対して「スクールゾーン」の通知をする必要があるためだ。(規制時間が微妙に異なるため。規制時間が全く同じであれば、この標識はそもそも不要。)

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