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老いること、大事なもの(親友)

7年ぶりに新幹線に乗った。福山に住む友達に会いにゆく。最近は出無精になり遠くまで出かけるのが億劫で、近場でドライブを楽しんでいる。2年前に会いに行くからと約束していたことを思い出し、”もう会えないかもしれないと”脅されたので、約束だけは果たしておこうと重い腰を上げた。

7年ぶりの新幹線

思い返すに、瀬戸内海の街に下車するのは初めてのような気がする。九州から大阪や東京の往復で何度も通っているはずだが、下車した記憶がない。そんな福山の旅は、前日の雪も解け、新鮮で楽しいものになった。
友達は福山の”鞆の浦”に住んでいた。家の前は風光明媚な穏やかな港が開け歴史の街でもあることを知るとここに住む友達が羨ましかった。

鞆の浦の磯のむろの木見むごとに 相見し妹は忘れえめやも

大伴家持
鞆の浦
近くの港
常夜灯
福善寺対潮楼

最近旅に出れば、ご当地の郷土料理を食べることにしている。友達が考えていた日本料理屋が2件閉まっていたが、三件目のレストランのメニューに初めて見た名前があったので迷うことなく注文した。 “鯛のうずみ”。 友達には身近過ぎて感動はなかったようだが、何がうずめられているか、興味津々であった。どこの国に行こうとも、その国の名物料理が一番旨いこと、を再確認できた。

鯛うずみ料理

街歩きの途中に、馴染みのない漢字を見つけた。”保命酒” 思わせぶりな名前だ。養命酒は母が生前毎日のように飲んでいた。保命酒が養命酒の先駆けと聞いたので土産に買って帰る。母を思い出しながら保命酒で自愛することにする。

翌日は尾道に連れ行ってくれた。尾道は朝の連独ドラマ”うず潮”の舞台であったはず。主人公の女優の名前を思い出そうとする。昔の記憶だ。すっと出てこない。年とったものだ。そのはずだ、ドラマが上映されたのは1964年、半世紀前のことだ。

林美智子

尾道の旅は運動不足のものには、坂道が多く、それも急坂が多くゆったりと楽しめない。そんな坂道をすいすい歩く友達は自然と、故郷に足腰が鍛えられている。街が展望できる千光寺までロープウエイがあり安堵する。

”ここから見える山と川がきれいで、美しい町だね” という私に、”バカいえ、あれは海だ” ”海だよ“ そうだ、今は瀬戸内海を旅している。


千光寺ロープウェイ

親友という言葉を聞かなくなった。昔は友達と親友の違いを大いに議論した。年を取ると、同じ時代を過ごし、同じような喜びと悲しみを過ごしてきた、理解し合える友も少なくなる。久しぶりに会ってもすぐ過去に記憶と時代にワープできる友が案内してくれた福山の旅は楽しかった。

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