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アントニオ・タブッキの「レクイエム」で巡るリスボン #0

はじめに

私の生涯の愛読書のひとつになるであろう一冊が、イタリアの作家アントニオ·タブッキの「レクイエム」。イタリア人である作家が、唯一ポルトガル語で書いた作品である。

1999 年、初めてポルトガルに行く前にこの小説を購入した。その時は当然ポルトガルのことを全く知らない訳なので、幻想の中の架空の町にいる心地で、その世界に入り込んだものだ。
それから少しずつ、ポルトガルに行くたびに、作品の中に登場する場所に足を運んだりした。最近、また読み直す機会を得て、やっと実際の絵がおぼろげに背面に浮きてでくるようにもなった。

そこで、「レクイエム」に出てくる場所などを、撮りためた写真や記憶をつなぎ合わせて巡ってみることにした。そうしたら、また違う「レクイエム」に会える気がしたから。

まずは、ひとつひとつ巡る前に、ざっくり主人公の行動と場所をまとめてみた。

アルカンタラ桟橋
冒頭はこの場所から。「詩人」を待つが、主人公は時間を間違えたらしい。詩人は来ない。
名前も知らぬ公園
あきらめて公園へ。場所は不明。ここで新聞売りや足の悪い宝くじ売りに合う。有名なスポーツ誌「ボーロ」登場。
プラゼール霊園
タクシーで向かう。とにかく暑い。シャツがびしょびしょになったので、霊園前の市で、ラコステの偽物ポロシャツを買う。
カパリカ海岸
この海岸へ向かう人で混雑しているという描写。主人公は行かない。
架空のレストラン
ワイン(レゲンゴス)、サラブーリョ等のポルトガル料理、ミランデーラの天使の二重顎(ポルトガルの伝統菓子パポス・デ・アンジョス・デ・ミランデーラ)を失われた友人と共に食する。
ペンション・イサドラ(架空)
今は亡き父と、言葉を交わす。
国立美術館(国立古美術館)
バーでパイナップ・スモルを飲む。「聖アントニウスの誘惑」の前で模写画家と会う。
カスカイス行のコンボイオ
カスカイスの灯台
アレンテージョ会館
ボーイ長とビリヤードをする。イザベラという女性がやってくる。(この女性は、遺稿「イザベラにある曼荼羅」に再び登場する。)
テレイロ・ド・パッソ駅(フェリー乗り場)
物語売りに会う。
アルカンタラ桟橋のレストラン
詩人と会い、食事をする。アコーディオン弾きが、ファドを奏でる。

さあ、旅が始まる。

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