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Jimi Hendrix Experience - Live At The Hollywood Bowl: August 18, 1967

 ジミヘンの音源も一体どこまで出てくるのかホント不思議でもあるし楽しみでもあるが、今回は1967年8月のハリウッドボウルのライブと言うから驚く。これまでアンダーグラウンドモノでも多分聴いた事のないライブのような気がするし、それがこのクォリティの音で発掘されてリリースされるのだからなんとも素晴らしい時代としか言いようがないし、しかもYouTubeなどでサブスクでも聴けてしまうのだからなんともお手軽…、もっともジミヘンをお手軽に聴くなどと言うのは到底できないと思うが、それでも耳にするまではお手軽だから凄い。

 Jimi Hendrix Experience「Live At The Hollywood Bowl: August 18, 1967」と第された本音源はモノラルサウンドボード?オーディエンス?音源が普通にライブアルバムとして聞ける体に整えてあるのでライブの迫力や演奏やMCやジミヘンの調子も存分に聞けてしまうが、何よりも驚くのはこのタイミングでのライブ音源というそのものの価値。前年にシングルを数枚出してデビューしてはいたもののアルバム「Are You Experience?」はまだリリースされておらず、そこまで知名度も高くなかった頃、しいて言えば同じ年の6月にモンタレーで例のギターを火で燃やすパフォーマンスで話題にはなっていたかもしれないが、まだその頃のハリウッドボウルでのライブだ。演奏を聴いて分かるようにまだアドリブブルースによる壮大なる展開で存分にギターを弾きまくり宇宙を形成する次元はさほど長くはなく、せいぜい「Catfish Blues」と「Wild Thing」でやや長尺なギターソロが聞かれる程度だ。ジミヘン自身もまだこの時点ではそういう方向性を狙っていたワケでもなさそうで、伝統的なブルースならブルースに徹したプレイが中心にはなっている。それにライブのオープニングはこれ確か数ヶ月前にリリースされたばかりのビートルズの「SGT Pepper」で、こちらは話題になって売れていたはずなので、それで観客の気を引こうとオープニングに配置されているようだが、それでも見事なカバー。以降は「Are You Experience?」に含まれる代表曲も数多く演奏されているが、それこそまだコンパクトに纏まった演奏になってるし、ブルースのカバー曲も多く、あの快進撃を予感させるようなライブにはなっていないと思う。

 ただ、明らかに普通と違う次元のプレイと聴衆の引き込み方だろうとは聴いてて感じるし、この頃はブルースカバーの方が好き勝手プレイしているのでやはりジミヘン、面白い、と感激するシーンも数多く聞ける。なんとなくすごく異質な存在としてそこにいたのだろうとは想像に難くない。そんな時代の歴史の一幕をこうして聞けるのはホント頼もしいしありがたい。


好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪