「欲しい」プログラミング入門書の目次

注目点は動きの学習

私が「欲しい」と考えるプログラミングの入門書は、プログラムの動きに注目したものである。動きがあれば、学習者に退屈感を与えることが少なくなるだろう。実際に、Processingの入門テキストを入門者集団に与えて、ソースコードの入力、実行してもらった。間違いなく実行できたら教科書に検印を押し、次の課題に移ってもらう。入力の速い学習者は、次々と課題を進めていく。最低限の解説を個別に行うが、全員を集めて解説することはほとんどしない。一度の学習時間は50分間。それを10回セットとするその学習では、退屈で寝てしまう学習者はいなかった。入力して、それを実行する活動は、退屈になりにくいようだ。さらには実行して動かない場合に、入力間違いを探す活動が、案外楽しいらしい。間違いを発見して、修正して、再実行して見本と同じ結果が得られた時に、こちらが想定した以上の満足感があるようだ。この入門者集団は、この課題に入る前に、プログラミングの検定試験に向けてC言語の基本的な学習を終えている。その学習内容を、今回の課題ではC言語と似た命令を持つProcessingで復習してもらっている。
入門者にとって最大の敵は退屈だろう。難しいかどうかよりも、活動が退屈かどうかが学習の継続を左右するだろう。そうなれば、プログラミング言語の入門書にありがちな、変数の型とか計算のルールといった学習は、後回しの方が良いだろう。動くサンプルコードを入力し、実行する中で、そのサンプルコードの一部にある変数の型についてや、計算式の解説を織り交ぜる形が良いだろう。ともかく、動くサンプルコードを中心に学習するのが良いだろう。

目次の案

動きに注目した入門書の目次を、一つ提案してみよう。

使用言語はProcessing
全30回
1回分の構成
   いきなりサンプルコード
   必要なら解説
   サンプルコードのバリエーション
   サンプルコードの簡単な変更の演習問題
   ちょっと考える必要のあるサンプルコードの変更の演習問題
   演習問題の解答例
項目によっては、この1回分を前編、後編に分ける。

<上から下へ流れるプログラム>
・ウインドウを表示する
・点を描く
・線を描く
・長方形、円を描く
・色を指定して図形を描く(定数変数の解説)
<分岐のあるプログラム>
・繰り返し構文で図形を繰り返し描く(変数の解説)
・繰り返し構文でウインドウ内を図形でいっぱいにする
・繰り返し構文と条件判断文で図形を描き分ける
・乱数を使って2度とない図形を描く(言語に用意されている関数利用の解説)
・繰り返し構文と乱数を使って2度とない図形を描く(関数の作り方の解説)
・繰り返し構文と乱数で2度とない図形を描く
<ここから、イベントドリブンなコード>
・マウスでクリックした位置に図形を描く(mousePressed)
・左から右、上から下へ動いていく図形(draw)
・キーボードを使って、押下した文字で描く図形を変える(keyPressed)
・キーボードを使って、図形の動きをコントロールする
<サンプルコード集>
 <ミニゲーム>
 ・ドッジゲーム
 ・反応速度ゲーム
 ・タイピングゲーム
 ・足し算ゲーム
 ・バッティングセンターゲーム
 <アート・インスタレーション>
 ・(五つぐらい美しく動きのあるサンプルコード)
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こんな感じでどうだろう


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