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『君たちはどう生きるか』雑感

※ストーリーのネタバレは有りませんが、ジブリの宣伝方針に則って予備知識ゼロのマッサラで観たい方はスルーを推奨します

『君たちはどう生きるか』拝見。

まずは、宮崎御大の実写2時間説話でも、鈴木Pの愛人によるスライド紙芝居でもなく、がっつりジブリ印の鬼クォリティの長編アニメでありました!

『かぐや姫』以降は開店休業状態で、あらかたアニメーターも出払っていると聞くジブリに、こんだけの作画枚数の超大作をモノする余力が有ったとは驚きですが、エンドクレジットには日本有数のアニメスタジオが軒並み並んでるので、ほとんど外注で仕上げたと見ます。(逆らえなかったんだろうなあ)

冒頭は『風立ちぬ』ライクの戦時中の日本から始まり(ただしマルチバースの架空戦記)、力の入った重厚な画面に背筋が伸びますが、じっくりし過ぎぐらいの前フリを経てからは、みるみる『ハウル』『ポニョ』方向のクレイジー宮崎が鎌首をもたげて、好き放題に暴れ出しますw

ビジュアル・イメージは流石で、うわー!と目を剥くカットは多数ですが、グロテスクに躊躇がないので子供はキッツいトラウマを頂くでしょう。(ウジャウジャ&ボニョボニョ方向
ただ、新海誠などのイキのいい若手に、もはや絵ぢからでも負けてしまっているように見えるのは寂しい限りですな。

お話はウツラウツラと支離滅裂に迷走するばかり。それでもかつての宮崎にあった、全ての観客を力づくで引きずってゆく剛腕はもはや望めないので、正直自分はかなり退屈しました。テンポがおそろしく鈍いのは致命的ですな。(ディテールへの偏執的なコダワリは健在です)

ラストには、次世代の若者に託すべき、老境宮崎のメッセージ…何なら遺言のようなものが見えて厳粛な気持ちにはなりますが、アホーの私にはもうひとつ汲み取れませんでした。(ここをガッツリ受信できるファンは号泣モノでしょう)

まぁ奇天烈極まりない「怪作」には間違いなく、自分からは「とりあえず一見の価値アリ」とすら言えませぬが、「やめとけ!大火傷すっぞ!」とも申せませぬ。多少なりともモチベのある方はどうぞ。「大傑作やないか!何を見てたんだ貴様は!?」との叱責も甘んじて受けますw

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