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【感想】遙かなる時空の中で7~このご時世にコンシューマ乙女ゲームを出し続けるメーカーに敬意と金を払いたい~

誰にも頼まれていないのに、一人謎の決意をする女。
※このサブタイトルは記事本編と特に関係はありません

前回書いたオランピアソワレの感想ですが、実はオラソワが久々(数か月ぶり?)の乙女ゲームだったもののあまりにも面白く、この乙女ゲーム熱が冷める前にやれるうちにやってやるぜ!!と意気込んでいたところ、遙か最新作が約一か月後に出ることを知りロックオン。一か月の間に別の乙女ゲーム※をこなしつつ発売日を待ち、そして満を持して

購入。
あんまり何も考えてなかったので世の中の乙女ゲーマー全員がお世話になっているといっても過言ではない某ス…ラセットも、プラボもトレボも何も予約していなかったのですが、クリアした今、時空をさかのぼって予約しろと言ってやりたいです(後悔)
冒頭の意気込みでせめてクソデカBOXは買っておくべきだった。(のきなみ売り切れらしいですね。すごい!)

※オランピアソワレと遙か7の間の1か月間、狂ったように十三支演義(無印と2)をプレイしていました。曹操様と地獄の追いかけっこをした件に関しては別途記事を投稿したいと思います。

早速感想を書いていこうと思うのですが、最初に様式美として自分の遙かシリーズプレイ歴を申し上げます。
「遙かなる時空の中で3with十六夜記 愛蔵版 PSP」
「遙かなる時空の中で6」

以上2点をプレイ済み。3の推しはヒノエ、弁慶、敦盛、6はコハクと九段です。ついでに言っておくと今回の推しは武蔵くんです。
ところでクリア後にいろんな人の遙かなる時空の中でシリーズの感想を読み漁ってたんですが、ほぼ全員が""シリーズのどのナンバリングをプレイ済みか""を書いてるのメチャクチャ面白くないですか?



それでは※例のごとくネタバレまみれ※なので未プレイの方は先にクリアしてきてくださいね!プレイ順は武蔵→五月→大和→阿国→宗矩→長政→兼続→幸村です。
あと、先に注意しておくと、武蔵君を推しすぎてほかのキャラの感想でも武蔵君のネタバレ含む話をしています。よろしくお願いします。








【宮本武蔵】

最初から最後まで天性の前向きさでブレがなくて、ラストのあの、俺は何も捨てられないから姫様にも捨てさせられないってところまで芯が通ってて最高でした。
あの手つなぎイベントがすごく好きなんですよ。見ました?全肯定武蔵君…。珍しく弱気になる七緒ちゃん(彼女も基本的には前向きかつどっちかというと楽観的ですよね、だからこそ珍しいんですけど)に対して、「大丈夫ですよ 姫様の呪詛は必ず解けます」「呪いなどでは、オレたちはくじけないからです」と根拠があるのかないのかわからないけどとにかく励まして手をつないでくれる優しさ。たまらないですね。
思ったんですけど、武蔵くんの人生において神子とのあの一連の出来事は必要不可欠ではなさそうな感じすごくないですか?怨霊の師匠に出会わなくても普通に誰かを師として成長して、なんらかのきっかけで二刀流になって…みたいな…
そのくらい彼の精神性が完成しきってて、エンディングですら神子が彼にまきこまれて着いていく形ですからね。龍神の神子によって人生が変わるんじゃなくてその神子すら自分のストーリーに巻き込んで行くんですよハーたまんねえな!
でもこれは宮本武蔵としてのストーリーが始まる前だからこそで、「彼」のストーリーって多分二刀流になって全国流浪して(よく知らないのでイメージですが)あたりから始まると思うんですよね。なのでそれまでは前日譚。すごい。龍神の神子とのあれそれすら前日譚!もう一生ついていかせてください!
ところで神子(=白龍)に選ばれてる武蔵君、もしかして:龍神の神子
※武蔵君に関しては別でnote書きます。


【天野五月】

シナリオの核になるかと思われた三鶴さんとの話は思ったより前向きでいい話でしたね!双子で同じこと(大事な事は黙ってる)してるのも面白いです。報連相の意味を調べてほしい。
血はつながっていないとはいえ、七緒ちゃんからしてみれば幼いころから兄妹として育ってきた五月と恋愛関係になることをプレイヤーに向けてどう納得させるのか気になっていたんですが、まず冒頭で実妹→血のつながらない妹、次に血のつながらない妹→神様、最後に神様→人になるという"生まれなおし"の経路を通ったことでいい感じに「兄と妹」が薄まるのがすごく上手いなと思いました。
さらに周囲から兄妹であることを突っ込ませないことで(実際に大和も「兄妹のそういうの見せられると…ではなく、幼馴染二人の、と言っている)家族関係という生々しさを中和させるシナリオの妙〜!

ところで五月、あんなに愛とエゴで七緒ちゃんを縛りつけようとしたのに、最後の最後で龍神になることを選択しても止めないんですよね。止めなかったから愛がないとかそういう話ではなく、何というか、彼が彼である以上"止める"という選択はついぞできなかったんだなって思うと彼の18年の根底にある卑屈さというか、そういうのがどこかに残っていたのかもしれなくて、その甘さが兄さんだなって思うと泣けてきた…
そんな兄さんの龍神エンド(?)、長政様の7つまでは神のうちを回収しててこれまた頭を抱えてしまった(神様のものっていうか神様として帰って行っちゃったけど)


【佐々木大和】

すごい〜!!!乙女ゲームだ!!ってなった√でした。
苦悩と成長のある王道シナリオ素晴らしい。他のキャラの√ではわからないくらい彼も重いものを抱えているんですけど、最後に父と話して「分かり合えないことがわかった」というシナリオ、陳腐な言い方になりますがすごく令和の乙女ゲームだなって思いました。親であっても他人。この価値観で物語をしめたあたりルビパ大好きです。
大和、あまり人と関わらずに過ごしてきたのか、ちょくちょく話し方とか言葉が可愛いなと思いました。「もうご馳走さま?」とか…口の悪さを出しつつ言葉の端々が多少幼いため、いい感じにマイルドになってるのも彼の魅力ですね。
元々幼馴染でそれなりに好感度高いし、そこから恋になり、最後はかけがえのない存在に、って流れがすごくきれいだった とにかく幸せになってほしい…あと全体的にギャグ調だったのも好きでした(ターラ!)
武蔵君との対比も面白いですね。お互い父親とのアレソレがあるところとか…(父殺しの物語だったのは大和でしたが)武蔵父と邂逅した時に大和がすごく怒ってたのも印象的です。
どうでもいいですが私は大和の名前を凄く気に入ってるのでエンディングのメッセージウィンドウが『佐々木小次郎』になって七緒ちゃんも小次郎って呼んでたらどうしようって真剣に心配してたんですけどそんなことなかったです。


【阿国】

あえて前情報なしで始めたので、オッ今回は女装枠いるのね!くらいの印象でした。
便宜上女装枠と呼びますが、いざプレイしてみたらこの系統のキャラ特有の不自然さ(それはそれで良いんですが)もなく、ああこれが""この人""なんだな…ぼんやり思っていました。でも夜の姿だといくぶん男っぽく喋ってるから阿国さんの時の方は意識して話し方とか変えてるのかな?って思ってたら、最後の最後で、こっちの方(阿国)が楽って言ってたので全部ストンと落ちました。キャラとしての女装や振る舞いではなく、彼としての自然な振る舞いがこれだったんだなと、さすが令和引っさげてきただけある、キャラ造形も(まだまだ色々縛りや作り込みできるところはあるだろうけど)アップデートされてて感動しました。七緒ちゃんの「自分のありのままを保つのっていろんな形があっていいと思うんですよね」という言葉は彼女が令和からきた人間だからこそ出た言葉でもあると思うので、もともと許嫁だったことも含めてこれが運命…ってなりました
大和√もそうなんですけど、何か背負ってるなと思ってたら想像以上に重たくて(毎晩悪夢で泣くのはヤバい)ちょっと泣いてしまったし、やはり許嫁だったことが発覚するあたりがすごく良かった。あと四反田マイケルさん、九段ちゃんのときもすごい好きだったんですけど今回もとても良かったです❤️


【柳生宗矩】

七緒ちゃんからの矢印強めで終始ニヤニヤしてしまった。
比較的肌色要素強めだったんですけど(だからといっていやらしさはないのがすごい)宗矩さんお色気担当なんですかね?
この√での敵、ターラの顛末ですが、大和√ではカピタンと結ばれたっぽくて幸せそうだったのにこちらでは救いがなくて、それ故に七緒ちゃんが途中で話す『結果論』の話がより印象的だなと思いました。あの選択肢の結果論の話は七緒ちゃんの価値観というかそういうのが見えてすごく良かったです。この結果論の話は徳川についた織田軍にもかかってくるのかな。
ターラとの関係は乙女ゲーム的には賛否ありそうだなとは思いましたが、個人的には宗矩さんの根幹に関わるところなので必要かなと思いました。故郷を同じくし、強い鬼の力を持つ""はらから""の二人が敵対してしまう図は見ていて辛かったです。
草履のくだり、ターラ自身も救ってくれた宗矩さんを拠り所にしていたことが判明したことで、彼が悔いた過去の行いは決して無意味ではなかったとわかったのが救いでした。結果的にはああなったけど、それまでターラがのたれ死んだりしなかったのも宗矩さんの優しさがあったからだと、そういう意味だと思いました。
ちなみに宗矩さんの好きなセリフは「お前の夢路が穏やかであることを願っている」です。え?こんな素敵な愛の言葉あります!?私普通に生きてても一生言ってもらえることがなさそうなんですけど!
あと手紙のくだりはメチャクチャ笑ったし公然いちゃいちゃも笑いました。熱烈すぎる手紙を読まされる武蔵君、聞かされる面々、喜ぶ七緒ちゃんの図は面白すぎて何度でも見てしまいますね… 結ばれたので存分にいちゃいちゃしてください!


【黒田長政】

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乙女ゲーム的要素を押さえつつ、今までやった√の中で一番いい意味でクセが少なくてすごくきれいにまとまったシナリオだな!と思いました。(私が遙か7世界観に慣れてきたってのもあるんですけど)
カリスマロード、とにかくブレなくてメチャクチャかっこいいんですよね。(彼の近習もそうなんですけど)かっこいいの定石をおさえている。
武蔵くんが推しなので彼が如何に良い上司かってのはわかってたんですが、黒田家の描写でそれがさらに補強されました。その上でふわラテとかいう要はミルクコーヒーがすきだったり、噂によるとうさちゃん人形も喜ぶらしいんでそのギャップがずるいですし、後はスチルの顔がいちいち良いですし(黒田やたら顔が良い甲斐守)、いやこんなのズルくないですか?かっこいいに決まってるじゃんね…
遙か7プレイした女みんな言ってますけど、温泉イベントでの足の指の描写にグラフィックチームのこだわりとフェチを感じました。足っていうのがまた良いですね。大事な部分は出さないけどこのスチルはエッチな感じを出したい!っていうのすごく受信しましたし、そういう意図で発信してるな…と思いました。これは持論ですがイラストによるセクシャルさは末端に出るので、足の指先という末端を描き込まれてるというのはそういうことなんですよ…。ありがとう…
似たような意味で興奮したのは、七緒ちゃんの髪をかきあげる仕草から彼女の思いをちゃんと受け取ってたところですね。誘いにのってやってもみたいなこと言ってたんで、ああ長政様ちゃんとセックスアピール的なのわかってんじゃん…ってなりました。
あとこれはシナリオ的に感動したんですけど、結ばれました!はい結婚!となるかと思ったら、黒田家として意味があるように整えた上で正室に迎えるという、ああこの世界に残る上で大事な手順をちゃんと踏んで、プレイヤー側から見て不自然ではないエンディングにしてたのがすごくうまいなと思いました。個人的に遙かシリーズに対して「いやいやそんな急に現代呼び出しといてどうすんの…仕事とか戸籍とかさ…」ってなってた部分が改善され、作り込みも不自然さがない丁寧な感じになっていたことがとても嬉しかったです。
武蔵くんの話ですが、今回もメチャクチャ優秀な近習しまくってて大好きでした。そしてここにきて火攻めとかいう兄さんの容赦のない作戦、自ルートでの容赦のなさを思い出すね…


【直江兼続】

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きました。今回の個人的ダークホース枠(事前予想でハマると思ってなかったキャラにハマること)。まぁ好きだけど年上キャラハマらんしな〜とか思ってたらこのざまですよ!
兼続さん、まさかのタイミングで普通に結ばれるなんてびっくりしました。これ一周めだったらエンディングかと思っちゃうよ!びっくりして思わず輿入れの意味調べ直しました。
分岐が早いのでそこまで遡ってプレイしたんですけど、ルート入ってからはちょっとプレイしては呻きちょっとプレイしては泣き…となかなか時間がかかりました。七緒ちゃんに感情移入しすぎて書状届けるまでメチャクチャひやひやしながらプレイしましたし、龍穴に兄さんの姿見つけたときは死ぬほど安心しました。兼続さんと天の川で再会するイベントでも泣きました。SEでぽん、ぽんって感じの背中を優しく叩いてる?演出も良かったです。
今までのキャラで一番情緒が乱されたし、会えなくなってやつれる七緒ちゃんが可愛そうで泣き、会えたのに泣き、三成さんの諸々で泣き、ついでに五月と三鶴の件でも泣いた。(泣いた。) 

そもそも兼続に関しては、√直前の展開も含めて蝶よ花よみたいなルートかと思ったら誰よりも凄惨な血のにおいと泥臭さがあったし、そのギャップがたまりませんでした。(歴史に詳しい方はそんな甘い予想は立てなかったと思うのですが…)とりあえずこの世界線のカピタン許すまじ。
他のルートでの飄々としたおじさんムーブが嘘みたいに熱くて泥臭くて、三成さんのことほんとに大事だったんだなとか、とにかく情緒的な感想に終始してしまうんですけど最高でした。あと七緒ちゃん、他のルートでも賢いんですけど兼続さん√だとそこに教養も加わるのですごく良かったですね(特にお茶会のイベントでの受け答えがかっこよすぎて。)

あと、結果にはならなかったけど、家で戦のための使えるものを物色するの楽しすぎる。異世界チート系のカタルシスはこういうところにある!って感じでしたね。。でもやはり色んな人の感想見るの面白くて、私は兼続さん√の文明の利器を持ち込んで勝とうとするあの展開は本来の歴史があるからこそ、その流れを変えんとするめちゃくちゃ滾る展開だと思っていたのですが、まさしくそこが受け入れられなくて激萎えしたっていう感想を読んでしまったのでなるほどな〜??って思いました。
ところで三成さんの死に様を想起させる部屋の描写えげつなかった…三成が死んだことが明確になった上で片割れの五月がメチャクチャ体調崩したのもすごく可哀想だったんですけど、他の三成生死不明√ではそんなことないので多分他の√では生きながらえてるんだろうな(僅かな希望)


【真田幸村】

いや~~~~……あの……いい年してアホみたいに泣いた。

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結局全員√やって思ったのは、歴史の大局は基本的には変えられなくて、なので幸村がこうなるのは必至だったんですけど、その上で七緒と幸村の決意と魂の有り様があまりにも気高くて、特に五月とのやりとりで姫を尊重すると言い切ったあたりでもう涙腺がぶっ壊れました。専用BGMのタイトルよ。

地の青龍の五月との対比がメチャクチャ捗る√でしたが、どちらの青龍も己の信じる方法を突き進んでいて、ただ幸村には五月よりも「この世界において」背負うものがちょっとだけ多くて、それ故にこの結末であったのかもしれないと思いました。
五月の言う通り、俺には理解できないけど…つまりプレイヤーである私には哀しい結末に見えても、きっとこの二人にとってはそんなことはなくて、あの瑠璃唐草の咲き誇る美しい神域で2つの魂は永遠の幸福の中にあると考えるときっと幸せなのかなとそう思いました。

幸村討死のあとの反応、長政様と涙をこらえる武蔵くん、あとは兼続さんの反応も胸をうちました。

とにかくも美しい√だったな…(このnoteまとめる時にもう一回見直したんですけどまた泣きました)

エンディングのインパクトが凄まじくてそこばかり書いてしまうのですが、シナリオでは七緒ちゃんに顔を拭いてもらう幸村、おとなしく拭いてもらってて弟ムーブを感じてニコニコしました。可愛い。
あとは幸村に上田紬を着せられるイベント、彼にもなんかそういう欲があるのかと思うとシンプルに興奮しました 男ですね。
男ですねとは言ったけど、幸村さん別にそんな所謂童貞臭はしないんですよね。個人的には現代で恋愛の話したときの、姫は恋にご興味が?みたいな言い方も余裕あったし、ものすごい不自然に童貞ムーブされるわけじゃないから、このへんの描き方はすごく好感が持てるな〜って思いました。
遙か7全般に言えますが、ヒヤヒヤする、一歩間違えば性犯罪じゃん!みたいなお色気展開がないことも含めて配慮というか読んでて気持ちよかったです。(ちなみにそういうのが良くないとは思わないタイプです。18禁だろうが何だろうが普通に好き。フィクションの中という安全圏だからこそ、普通なら無理な犯罪まがいのエロファンタジーが楽しめるというのはあるので)

印象的な台詞は例の戦のあと、幸村さんを見送る時に負けないでって言ったときの、おかしなことを言うのですね、私はもう負けたのですよ、というセリフです。何だろう、あの幸村がこんなことを…という辛く悲しい気持ちになりました。

ところで、人望があったり、良い人が早く亡くなった時に言われる「神様がその人を欲しくなってしまった」という言説が好きなのですが、幸村√もそれを感じますね。二人永遠の神域で。



とにもかくにも気合の入った最高のゲームでした。
ありがとうコーエー。メモブの発売待ってます!





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