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[要旨]

枚岡合金工具は、工場のゴミゼロを実現したことで、見学者から高く評価され、新たな取引先の紹介を受けるようになりました。また、売上金の受取条件も、業界の慣行と異なる、100%現金受取とすることができました。したがって、自社の技術などのすばらしさを部外者にアピールできるような方法を備えることは、業績改善に有利に働きます。

[本文]

今回も、枚岡合金工具社長の古芝さんのご著書、「儲けとツキを呼ぶ『ゴミゼロ化』工場の秘密」を読んで気づいたことについて述べたいと思います。古芝さんは、同書に、工場のゴミゼロ化の副産物として、取引条件が好転したと書いておられます。「工場にたくさんの見学者が訪れるようになると、そこで出会った方々に取引先を紹介していただくことも増えて来ました。仕事で金型が必要になったときに、わが社を思い出してくださるのです。仕事は人を通じて広がっていきますが、そういう意味では、無償で開催している工場見学会は、会社の営業につながっています。

しかし、紹介だけで受注できるほど、仕事は甘くありません。紹介を受けると、担当者がわが社の金型の品質を確かめにやって来ますが、ここで、『ゴミゼロ化』の取り組みが威力を発揮するのです。工場に入ると、ゴミは1つも落ちていませんし、床はピカピカに輝いています。製品や工具はもちろんのこと、スリッパなどの備品に至るまで整備された環境のなかで、社員がテキパキと仕事をしている様子をみていただくと、受注が決まります。工場の中がこれだけしっかり整備されているのだから、『この会社なら大丈夫、品質に対しても厳しい管理がなされているに違いない』と判断されるのでしょう。

『ゴミゼロ化工場』は、ものを言わぬ最高のセールスマン、工場は最高のショールームなのです。信頼は、取引内容にも反映され、『ゴミゼロ化』に取り組む前と比べて、倒産の要因である自己手形をなくすとともに、支払いの99%を現金振込みとして、振込料も当社の負担としたのです。よろこんで支払えば、お金は友だちを連れてよろこんで戻ってくることにもなりました。新規得意先との取引条件は、業界の慣例を破り、すべて現金振込みとなったのえす」(181ページ)

工場をきれいにしたことで取引先が増えたという変化は、私も、ちょっと美談すぎるような気もしますが、そこを割り引いてみても、新たな取引先の獲得に有利になることは間違いがないと思います。また、その支払い条件も、約束手形はなくなったということで、資金繰りの改善にもつながっています。そして、工場の見学にきてもらった方たちに対し、自社の品質や技術の高さをアピールすることは、口だけでの説明は難しい面もありますが、ゴミゼロの工場を見てもらうことで、従業員の方たちの仕事へ取り組む姿勢やスキルの高さを、一目で理解してもらうことが可能になります。

その理由のひとつは、ゴミゼロの工場は、一朝一夕では実現できないものであり、そこに至るまでの地道な努力を見学者の方に容易に理解してもらえるからです。このような自社のすばらしさをアピールする方法は、ゴミゼロ化だけではなく、ISO認証取得、経営革新計画の認定などもあります。これらのような、自社の優れた面を客観的な方法でアピールできるようにしておくことは、取引先の拡大や、従業員の方の士気向上に大きく貢献することでしょう。

2022/8/12 No.2067

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