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作品の幸せって?〜書店のお仕事

先週書きました、お仕事のお話。

ほんとは「この続きを書こう!」と思って書き出したんですが、書いてくうちにどんどん脱線していってしまって、、、全く違う内容が記事一本分の長さになってしまった(しかも長いやつ)。。。
そういうことって、ないですか?(…あるよね?あるよね?)

…もったいないので、「読み切り記事」な感じで投稿しちゃおうと思いますw

たぶんこれ、これから「人生振り返り連載」のどっかには書くはずのことなんだろうけど、ストーリーとして関連性を見つけるのが難しい。
書いたんならタイミング、今でしょ。

ということで、単発内容な記事です。
これまでやってきた、お仕事のお話です。
…長いです。
なので、読み切るモチベーションが必要となりますw

とりあえず頑張って書き切ったので、
時間あって、根気強く読んでいただける方は、
読んでいただけますと嬉しいです^^
よろしくお願いします*

まえがき。


これまでのnoteでも連載で書いてきましたが、僕は「主にハンドメイドを中心としたマーケットイベント」を札幌で主催してきました。

これまでの「人生振り返り連載」で書いてきたのは、10年前まで。2011年。



その頃はまだ今ほどネットも発展しておらず、格安航空LCC元年と言われるのが「2012年」だからそれよりも前で、つまりまだまだ北海道から海を渡って全国に出ていくには敷居が高く、札幌から見る「東京」はまだ遠いところにありました。

その後2016年頃まで僕は主催イベントを続け、その頃には、それまでの経緯を見てきた周囲の方々から声がかかるようになり、「百貨店の催事」や「自治体でのイベント運営」等をお願いされるようになりました。

それと同時に、そういった「イベント」という主軸の他に、「ハンドメイド雑貨」という観点からのお仕事もいただくようになった。
…名前出しちゃっていいのかわからないので、気持ちぼやかして書きますけど、「T」のポイントカードで有名な書店さんの、フランチャイズ経営の会社さん。(ほぼバレバレ笑)

そこが持ってる東京・大阪・北海道等の店舗の「雑貨部門」でのお仕事で、任されたのは「ハンドメイド作家さんのスカウト」「売り場作りのアドバイザー」といった感じのことでした。

僕のこれまでのイベント開催の実績から「目利き」としてのスキルを買われ、その会社の社長さんのお抱えのような立場で、「ハンドメイド・雑貨」関連のお仕事の時は常に同行するような感じで、お仕事をさせていただきました。

「スカウト」のお仕事。



東京の代官山や二子玉川にできた、新しいカタチの書店(こちらはTの本部直営です)。
それを皮切りに、「本やCDだけじゃない書店」「雑貨が充実してる書店」というのが現れ始めた頃です。

「雑貨コーナーにハンドメイド作品を並べたい」という社長さんの意向で、それに適うような方々を探す行脚が始まりました。全国のハンドメイドイベントを見に、社長さんと一緒に飛び回る。


でも、なんだかんだでやっぱり「東京」は規模が違うんですよね。分母となる人口規模が違うから、イベントの開催規模も、出店者の数も桁が違う。「ビッグサイト」を全部使って開催して、何千という出店者がいる。こりゃすごい。

でも。
開催日は「2日間」とかなんです。札幌のイベントと変わらない。
ということは。

「スカウト」の仕事を任された僕は、「2日間で何千」という方々を全部見て回らなきゃいけない

わけです。

…できるのか?
や、できるかじゃなくて、やらねばならない。


僕は会場内を歩きました。とにかくひたすら歩いた。社長さんが求める、お眼鏡に適う「ハンドメイド作家」さんを求めて。

歩いて。

歩いて。

ほぼ立ち止まることもなく。

…?

歩いただけ?

そうなんです。ほぼ歩いただけ
だって、立ち止まる時間なんてないんだもん。

歩いて、イイと思う方がいたらちょっとご挨拶をして名刺をいただき、また連絡しますと言って、次へ向かう。その繰り返し。ベルトコンベアーの流れ作業みたい。

…正直、上っ面を流しただけで、作品や表現の面白さまで全然入り込めないまま、片っ端から「数」を集めて回っただけでした。。。


それは僕自身に充実感もなければ、疲労感と心残りだけを残す「業務」だった。

これで本当に「ときめくような輝いた売り場」ができるのかな?…
自信をもって「この作品は素敵なんです。オススメです」って言えるのかな?…


有名なその書店の名前を出せば、それがフランチャイズの経営であろうとも、「そこで扱ってもらえるステータスが魅力だ」と、ハンドメイド作家さん達は喜んでくれる。
それが、たとえ通り過ぎるような一瞬の名刺交換でも、「商談」は成立する。

…でも、本当にそれでいいのかな?
作品は、幸せかな?

そんな思いが、僕の心の中には残っていました。
それこそまるで、noteで「内容読まずにスキだけ押すような行為」な感じに思えたんですよね。。。

押しまくっちゃダメよ。



「売り場作り」のお仕事。



「スカウト」の他に、僕に任された仕事は「売り場づくり」の仕事でした。

僕は「ハンドメイド雑貨」を扱ってディスプレイをし、イベントでも空間作りをやってきていたので、それを見てくださった社長がその部分もお仕事としてお願いされてきた。

現場は、経営する全国の「書店」。


その頃は電子書籍が出て回るようになり、音楽もデータとして扱われるようになってきた変遷期、「CD」は出回らなくなり、「本」だけでも勝負できない時代になってきた。
だからこそ、「書店」は新しい在り方を打ち出し、「雑貨を扱う」ってカタチになってきた。

でも。
現場は「今まで本やCDを扱ってきた書店」なんですね。雑貨なんて、ましてやハンドメイドなんて、取り扱ったことがない。

本やCDって、基本「平置き」です。新しいものほど、人気のものほど、入り口に山積みにされる。積まれれば積まれるだけいい。そういう文化です。

一方の雑貨、特にハンドメイドは「使用感を想像させる」「世界観を見せる」ようなディスプレイが必要になってくる。何なら「数に限りがある」ことが希少価値・付加価値になったりする。
大量に「山積み」にされてしまうと、「作品」じゃなく「商品」として見られてしまい、魅力が半減してしまったりするんですね。


…でも、現場の書店スタッフさんたちはそんなことを知らない。

なので、何の悪気もなく、本やCD同様、雑貨やハンドメイド作品を「山積み」にして並べるんです。それじゃ、見てもらえない。
僕の仕事は、そこに出向いて、そういうことを伝えて回り、現場の売り場を直していくというものでした。

ですので、作業だけではなく、現場のスタッフさんたちともコミュニケーションを取り、ヒアリングしたり、レクチャーしたりする。現場の意見や声は、とても大事です。とにかく、色んな現場へ行きました。

その中で、どこの現場でもスタッフさんから聞こえてきたのは
「急に上からハンドメイド作品が納品されてきても、困るんだよね…」
というものでした。

なぜ、ハンドメイド作品がやってきたのか、わからない。
どう扱っていいかも、そのよさも、わからない。
そこに一律に、上から送られてくるハンドメイド作品。
作品は、喜ばれるどころか、煙たがられるものになってる。。。
その「作品」は、幸せだろうか?


もちろん、それが届いてお客さんが喜べば幸せなんだけど、、、そこに至るまでにはいくつも障壁になってるものがあって、それは一朝一夕の僕の手直しだけでどうにかなるようなものではありませんでした。
この回し方のシステムから見直して、意識を共有していかないと、変わらない。。
少なくとも社長さんはハンドメイドが大好きで、僕もその温度やイキオイとともに動かされたのだから、タネとしてはあるんだ。でも「伝わってない」。。
それが、大きな問題でした。

売り場ではとても残念な感じで、ハンドメイド作品が扱われていました。
でも、スカウトされて扱ってもらうことになった作家さんは、そのことを嬉々として話すんだろうな。SNSで発信したりブログに書いたりして。
作家さんやそれを見たファンの方々は、実際にお店に来たりするだろう。その時、どんなふうに思うかな。やりきれない残念な思いで、扱ってもらったことを悔しく思うんじゃないだろうか。

原因と結末。

何で、こんなふうになってしまっているんだろう?


僕は、遡って考えてみました。

僕が社長さんに声をかけられ、お話を聞いたとき、そこには「ときめき」があったなと思う。社長の「ハンドメイド熱」を感じられたものだった。

最初の違和感は、「スカウト」の時。
作品の
イイところに触れることなく、「数」での勝負だったこと。
全国展開している書店の「規模」「ネームバリュー」で、商談が成り立っていたこと。

そして店舗を見にいって目にした、残念な売り場の状況。。。
社長さんと、現場スタッフさんの意識のあり方と温度の差。僕の立場や力では覆すことのできない、会社の経営システムに起因していること。

例えば、これまで現場を回している人数を変えないまま、新たに未知の「ハンドメイド雑貨」を扱うということになったけど、そこへの手当や配慮は何もなく、「これまでの通常業務+ハンドメイド雑貨」となったということ。
ただでさえ一杯一杯で通常業務を回しているところに、勉強が必要な新たな業務が入ってきて、それをうまく回せる?
結果、ハンドメイドは店舗で「お荷物」のように扱われる。。。

その現状を目の当たりにして、期待でキラキラしてたはずの作家さんたちも離れていくことになる。残念な印象だけを残して。。。

この結末はというと、この話とは全然別の原因で、社長さんが解任となり、新しい社長が新しい経営陣とともに会社を回し始め、それと同時に僕も「お役御免」となったのでした。。。
「社長」が替わった会社の経営に「ハンドメイド」は必要なく、前社長さん以外に「ハンドメイド熱」がある人は誰もいなかった。
熱が「伝わってなかった」からです。

今さら言及しても後の祭りではあるけど、穿った目で見れば、

システムを変えてでも「伝える」くらいの熱が、社長さんにあったか?

とも、今は思うわけです。

会社が根っこに大事にしてるものが、「数」や「ネームバリュー」な感じがして、たぶんそこから意識を変えないと、やりたい「ハンドメイド」は難しいですよ、と社長さんに対しても助言や意見はさせてもらってきたんだけど、、、結局変わることないまま、終わりを迎えた。

…今はどうなっているんだろう、わからないけど。
「雇われ」で、主もいなくなってしまった僕は、申し訳ないんだけど、もう何かをできる立場ではないのです。。

ただ、思うのは、今いわゆる「風の時代」になって、「個」の時代になってきて、
それとは対照的な、前時代的な「数」や「ネームバリュー」といった「所有」の意識を、その会社は大事にしていたんだろうな、と。

その中で「個」を尊重すべきハンドメイドを扱うのだから、そこには手先のスキルや見栄えだけでなく、「どうやったら活かせるか、輝かせられるか」といった「意識」の部分からの見直しが必要だったと思う。

関わっていた数年前のその時から、その在り方に違和感を感じていた僕の意識は、あながち間違ったものではなかったのかな?…などと思うのです。

…って、あ、ここまで書き進めて、仕事についての記事で何でこの話を持ち出したか、思い出しました笑

「ビッグサイトの"規模"は、今の時代向けじゃないかも」ってことでした。

ま、とりあえず今回はこのへんで。

取り止めもなくただただ長い記事でしたが、
読んでいただきありがとうございました*

最後までお読みいただき、ありがとうございました!頑張って書き重ねていきますので、是非またお越しください。