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02-1.国語にビジュアル系。

「人生振り返り」ということで連載を続けておりますシリーズですが、、、まだ10年前にもたどり着けておりません。。
…なかなかに「濃い人生」だということか?(自画自賛)

さて、前回まで長ぁ〜いこと「イベント」の話を書いてきまして、自分的にも一回ちょっと違う話を書きたくなったので、序盤で駆け抜けて色々飛ばした「教員編」について書いてみようかと思いました。

こちらの続きで読んでいただけるかと思います。

国語教師になる。

僕は教育大学を卒業し、「期限付採用」でちょこっとだけ、教師として「中学校」の教壇に立ちました。
教科は「国語」
あと、専攻してもないのに「美術」。笑
(ちょっとー、主要5科目以外、扱いゾンザイすぎじゃない?)

赴任した中学校は、田舎の超荒れた学校。
任された「国語科」は、僕と、同じく新任で入ってきた2歳下の男性教師。だけ。
前任者は以前の記事にも書きましたとおり、すでにいらっしゃらず、なので引継ぎもなく、いきなり新任2名で中学校の国語科を任されるというところでスタートしたのでした。

「…どうしましょうか?」


僕ら二人は顔を見合わせて、、、「まずはちょっと飲みに行きませんか?」
初めましてで早々ですが。
だって、何もかもわからないんだもの。笑
授業の様子も、学校の様子も、生徒の様子や学力もまったくわからないところに、突然投げ込まれた教員経験ゼロのペーペー2名。

ひと通り不安不満を吐き出しまして、

「とりあえず、まずは教育実習でやった感じで、数日様子を見てみますか」
「そうですね、それしかやりようないし…」
「すぐまた作戦会議しましょうね。絶対ね」

会って初日に、ものすごい同志になった二人なのでした。

授業初日。

教員になっての初授業。
軽い自己紹介をして、早々に教科書の最初から国語の授業をスタート、、、

できません。

私語が止まらない。
立ち歩く。
悪い生徒は、教室から出てって、いなくなる。
そして、巡回している生活指導の先生に連れ戻される。

まぁ、授業どころじゃない。

そしてさらに、愕然とします。

僕が受け持ったのは中学2年生のクラス。

ひらがなが、書けません。

普通、授業には指導要領とか指導案とかがあって、「この単元をこうやって進めて、これだけの時間数で終えて…」って事前に計画を立てるんだけど、、、全然そんなレベルじゃなかった。

ひらがな書けないとか、まったく想定してなかったよ。。。

ということで初授業終了後、早々に二人で国語科会議。約束の飲み屋で。

「…どうでした?」
「いや、どうもこうも。。。」

もう一人の先生の方は、1年と3年の国語を担当していました。
程度の差こそあれど、そっちの学年も散散な状況。

「指導要領とか単元とかのレベルじゃないですよね。。」
「だって、教科書開いたって何書いてるかわからないんだもんね。」
「…教科書教えるの、無理じゃないですか?」
「でも真面目に勉強したい子もいるんですよね。。。」
「単元は決まってるとおりにやってかないといけない、ですね。。」
「学校で国語を教える、って難しいんですね。。」
「『国語』の前に、『授業』を考えなきゃいけないんですもんね。。。」


現状の打開は、なかなかに難しい。。。
とりあえずは、授業自体は進めなきゃいけない。
うまくいく方法が、ない現状でもね。。

…行き詰まって、しばし、ご歓談。
や、「歓」んではないか笑

「そういや、何で先生は国語の教師になったんですか?」

言っても出会って数日ですから、二人ともお互いのことはよく知りません。

「僕は、物書きになりたかったんですよ。でも、いろんな流れで教師に」
「なるほど、だから国語科なんですね」
「久保田先生の方は?」
「僕は小学校の先生になろうと思って教育大に行ったんだけど、バンドをやってて詞を書いてた流れで国語の教員免許を取ったら、気づけば今ここですw」
「そうなんですねー。二人とも『先生』より『国語』、っていう感じなのか」
「そうですね、『書くことの楽しさ』とか、生徒に教えたいですよね」

「じゃあ、もう、それ、やっちゃいません?」


国語科は、僕ら二人だけ。
逆にいうと、僕らの好きなように「国語」をできる状況でもありました。

「『国語科だより』っていうのを一緒に作って、僕らが思ってることを生徒に伝えるんです」
「僕らは上手に国語を教えられる技術も経験もない。けど、書く楽しさを知ってるし、それに対しての思いもある」
「何もできないでいるより、僕らが思ってる『国語』を伝えることをやってみましょうか」
「別に、いけないこととか間違ったことをしようってわけじゃないもんね」

いつしか話は「国語」に対してのアツい思いの方になっていました。

どちらからともなく、僕らのそんな思いが重なって、「僕らなりの国語」を伝える作戦をやってみることになったのでした。

「国語科だより」という形で。

国語科だより、発行。


「国語科だより」は一枚のプリント紙面を、二人で半分ずつ分けて書いていく分担にしました。

僕が最初にやったのは、「ビジュアル系バンドの歌詞を国語科だよりに載せる」というものでした。

当時、「ラルクアンシエル」はじめ、読めないフランス語風の名前を冠したビジュアル系バンドが隆盛で、中学生諸君も例に漏れず、夢中になっていた頃。
僕も、大学の軽音楽部で色々コピーをしたし、好きなバンドもいたんですね。
僕は「歌詞がいいバンド」が好きで、それこそラルクとかも歌詞いいですよ。「Vivid Colors」とか表現が美しいなって、すごく思った。

「いい詞だ」「美しい表現だ」と感じたら、そこに「ビジュアル系だからダメ」とかそんなのはないはずで。
そういうことを伝えたくて、ドーンと歌詞を載せました。

これは「Plastic Tree」というバンドの「ぬけがら」という曲。
それに僕の一言を添えて掲載し、全校生徒に発行しました。

そしたら、国語科だより発行の日の放課後、生徒が職員室に走ってきた。

「あの歌詞載せてくれたの、先生?」

見ず知らずの3年生の女の子でした。

「ありがとう!私、あの歌詞めっちゃ好きなの」

…つづく。

読んでいただきありがとうございました!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!頑張って書き重ねていきますので、是非またお越しください。