3年前、私はうつ病になった。うつ病になったあたりの生活についてはあまり覚えていない。ただひっそりと消えてしまいたいと願い、自殺の方法を調べたり、私がいなくなっても迷惑をかけないように家の片付けをしていた。でも仕事には行っていた。もう周りに相談する気力もなかった。仕事中は何事もないように振る舞い、家に帰ったら1人静かに泣きながら横になる生活を続けていた。

　そんな生活をずっと続けるのも無理な話で、しばらく休職することになった。休職中、色んなことを考えた。今までの何がいけなかったのか。私の頑張り方は間違っていたのか。今までのキャリアはどうなるのか。将来は大丈夫なのか。彼氏はできるのか、結婚できるのか。うつ病の私を受け入れてくれる人なんているのか。考えても考えても答えは分からなかった。苦しかった。

　家族と、ごく一部の友達にうつ病になったことを伝えた。家族は地元に戻ってゆっくりしてもいい、と言ってくれた。母は県外の私の自宅まで来て、家事を手伝ってくれた。友達は気づかなくてごめんねと私に謝り、遠くから会いに来てくれた。私は価値のない、ダメな人間だと信じきっていた矢先にそんな優しさをもらい、少しずつ生活を整えてみようという気になってきた。

　うつ病の薬を飲んでびっくりしたのは、よく眠れることだ。睡眠がどれだけ大事か実感した私は、今までベッドにお金を使わなかったことを後悔した。寝返りのたびにギイギイ鳴って目が覚めるほどの、安い折りたたみ式ベッドに寝ていたのだ。

　思い切って、数万円のマットレスとベッドを買った。合計すると10万円近くの出費だった。でもこれがとてもいい投資だった。すぐに寝つけて、ぐっすり眠れる。今まで自分自身はショートスリーパーだと思っていたが、実は私の適正睡眠時間は7時間くらいであることも知った。

　数ヶ月で休職期間を終え仕事復帰したが、うつ病の治療は続いている。まだまだ長い付き合いになりそうだ。うつ病と闘うためには、上質なマットレスと上質な睡眠が必要不可欠だ。